お荷物girl?(脚本)
〇玄関内
あん「ね〜ぇ!今日もお留守番?? つ〜ま〜ん〜な〜い〜」
あん「『今日も来なくて大丈夫??』 って、それ昨日も一昨年もおととといも聞いたわ!!」
あん「「おとととい」なんて日はない?」
あん「し、知ってるわよ!そんなの!! とにかく、もうずぅ〜っとここにいてヒマなの!」
あん「どれくらい?って・・・・・・」
あん「ひまひまヒマひまひまま・・・まひまひまひマヒまひマヒマヒ!!」
あん「これくらい「まひ」よ!!」
あん「??あれ?」
あん「もう、お願いだから連れてってよぅ!」
あん「え?「いいよ」? ほ、ほんとに??」
あん「やったぁ!!!ありがと!!嬉しいわ!!」
あん「へ?なんでって・・・ べ、別にお花見ができるかもとか、遊園地に連れて行ってもらえるかもとかそんなこと思ってないわよ!」
あん「私が行くのは、あなたを守るためなんだから!!」
あん「あ〜!その顔は信じてないわね?」
あん「まぁ、いいわ。 一緒に行くのは決まりなんだから早く行きましょ!」
〇郊外の道路
あん「ああ゛〜! やっぱり外って気持ちがいいわ!」
あん「ね、これからどこへ行く? 公園?遊園地?」
あん「しょ、く、ば??」
あん「ああ! パン屋さんね!白くてふかふかのおふとんみたいな・・・・・・ いいじゃない!ステキじゃない!」
あん「パンはない?? じゃ、じゃあ、かわいい動物がいたりとか・・・・・・?」
あん「いない!?!? あなたそんなところ、なにしに行くのよ?」
あん「「しごとをするところ」・・・・・・ 目的があるわりには浮かない顔ね」
あん「まぁ、いいわ! あたしがいるんだもの、悪いことにはならないわよ、きっと!!」
〇オフィスのフロア
あん「へぇ!ここが「しょくば」ね。 まあまあ悪くないじゃない。 なんだかとっても静かだけれど」
あん「静かにしてなきゃいけないの? ・・・・・・」
あん「・・・・・・わかったわ! それくらい簡単よ!」
あん「・・・・・・」
あん「・・・・・・」
あん「・・・あ、め、あっめ、ふ、れ、ふ〜れ あんちゃんが〜♪」
あん「歌わないで? え!?あたし歌ってた!?」
あん「・・・・・・ごめんなさい」
あん「・・・・・・」
あん「・・・・・・」
あん「・・・・・・ああ!!もう!!! つまらないわ!!!!」
あん「外に連れてってよぉ!! これじゃあ家にいるのと変わんないわ!」
あん「これからえいぎょう??外に出る?」
あん「なぁんだ!それなら早く言いなさいよね! 暑いしここで待ってて? いや!絶対一緒に行くんだから!」
あん「あたしと行ったらいいことあるわよ!」
〇オフィスビル前の道
あん「そーと、そーと、お、そ、と♪」
あん「ああー♪楽しいわ!!」
あん「動物園? それとも水族館?」
あん「あ、このビルは、もしやカラオケね?」
あん「・・・・・・」
あん「全然違う・・・・・・」
あん「・・・・・・」
あん「あ!次こそは!!カラオケ?ボーリング場?」
あん「違うじゃない・・・・・・ しかも、あなた悪くないのに謝ってばかりだし。 相手のやつは偉そうにしちゃって感じ悪い!」
あん「『べー』っだ!!!」
あん「次は楽しいところよね・・・・・・?」
あん「まだ!?!あと、5件は回るの!?」
あん「そう、わかったわ」
4件後
あん「も、もう限界!!! ちょっとは休んだほうがいいわ! というか休みましょう!」
あん「あと、一件!?!知らないわよそんなの!! 疲れたったら疲れた!」
あん「ねぇ、あそこのカフェに入りましょ!」
あん「あ、あっちのファミレスでもいいわ!!」
あん「・・・・・・」
あん「・・・・・・」
あん「ねぇ、わたしのことめんどくさいって思った?」
あん「連れてこなきゃいいと思ってる?」
あん「・・・・・・」
あん「でもね・・・・・・!」
〇オフィスビル前の道
5件目終了
あん「あ、雨」
あん「ふふふ、ふふふふ♪」
あん「あーめ、あっめ、ふっれ、ふっれ♪ あ〜んちゃんが〜♪ あなたを守れて嬉しいなぁ♪」
あん
『ね、あたしがいて、よかったでしょ♪』
ラストで明かされるあんちゃんの正体、、、それにより物語のあちらこちらで抱いた違和感が全て解消されてスッキリです!読み返すと一層楽しいですね!
なるほど!傘だったのですね!それでお荷物girl🤣
どうりで普段あまり外に連れて行ってもらえないワケですね!
すごくスッキリして清々しい気持ちでいっぱいです。
読んでいる途中は、さすがにそろそろちょっとでもいいからどこか遊びに連れてってやって🙏と思っていました😂
今回はアンブレラのあんちゃんだったけど、家に帰ったら「ヒマヒマヒマ、外に出たい」と叫んでいる物たちがまだまだたくさんありそう。断捨離したら「私を捨てる気〜?ちっとも一緒に出かけてくれなかったのにぃ〜」とか言ってまた騒ぎそう。読者の想像が広がる楽しいファンタジーでした。