魔女になれない青年とサンタクロースとおかしなクリスマス

k強

プレゼントを探して(脚本)

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〇学校の校舎
???「やっと捕まえた!もう、逃がさねぇーよ」
「なにが逃がさないって?」
  懐中電灯の光の方向に青年を照らした。
警備員「君、見ない顔だね?ここで何しているの?」
プレゼント「ガサッ、ガサッ、ガサッ!!」
警備員「それになにか音が聞こえるのだが・・・何か隠しているのか?」
栗原 クリス「え、えーっと・・・」
  青年が困り果てていた、その時、
???「あっ!あそこに人が!!」
警備員「なんだって!?どこに・・・」
  警備員は後ろを振り返り、周りを見て探していた。
栗原 クリス(さっきの声って・・・)
栗原 クリス(いや、そんなことより今がチャンスだ!逃げよう!)
警備員「あれ?」
警備員「しまった!逃がした!」

〇住宅街の公園
栗原 クリス「・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」
栗原 クリス「・・・ここまでくれば、大丈夫だろう」
プレゼント「ガサッ、ガサッ、ガサッ!!」
栗原 クリス「チッ!おとなしくしろよ!・・・大体、お前のせいで」
???「プレゼントにお前呼ばわりはダメだって、言ったじゃないか。クリス君」
栗原 クリス「サンタさん!やっぱりアンタが・・・」
サンタクロース「ホッ、ホッ、ホッ、そうじゃ。ワシの渾身の叫び、」
サンタクロース「演技、なかなか良かったじゃろう?」
栗原 クリス「いや、演技してないじゃん。叫んだだけ」
サンタクロース「それにしてもプレゼントを取り戻してくれてありがとう」
サンタクロース「ワシの我が子同然のようなものじゃ」
栗原 クリス「そのアンタの子供が自由に飛び回るから苦労したけどな」
サンタクロース「感謝しとる。・・・残りはあと一つじゃ」

〇イルミネーションのある通り
  7時間前
栗原 クリス(今年も来たのか・・・俺の誕生日)
栗原 クリス(なんで、俺は生まれたんだろう)

〇貴族の応接間
  俺が生まれたのは西洋にある小さな村
  そこは魔女たちが住む村だった
  ・・・知らなくて当然じゃん。
  だって、魔法で村の存在を隠しているんだもん。
魔女A「もうすぐ生まれるわね!」
魔女C「きっと素敵な魔女が生まれるに違いないわ!」
  俺のお袋は魔女の長だった。
  さぞ特別な子が生まれるだろうと皆が期待していた。
  ・・・生まれたのは、俺だった。

〇貴族の応接間
魔女A「なんで生まれた子は男なの!!」
魔女C「魔女の長、可哀想・・・」
  女しか生まれてこないはずなのに、
  10年に一度に生まれてくるイレギュラーな存在。
  男である俺、クリスだ。
  さらに魔力が一切なかった。
  数年後、俺は村と
  お袋を捨て
  ニホンにやってきた。
  親戚がニホンで暮らしていたので俺は居候の身になった。
  この時からクリスから栗原クリスになった。
  名字だ!ヒャホーイ!
  ん?なぜ嬉しいのかって?
  名字だよ!?憧れない?俺が育った田舎は名字すらなかったんだもん。嬉しいって!

〇イルミネーションのある通り
栗原 クリス(お袋、元気にしているかな・・・?)
栗原 クリス(この前、隠居したって手紙に書いていたけど・・・本当かな?)
  キャーーーーッ!!
  誰か助けて──!!
栗原 クリス「なんだ!?」
  クリスは声がした方向に向かって走った。

〇街中の道路
  そこには
一般人A「な、なんだよ!これ!」
栗「クリ~」
リス「リス~」
マス「マス~」
女の子「栗とリスとマスが喋っている!?」
男の子「こんな声だっけ?リス・・・ってか、なんで栗とマスも喋っているの!?」
栗原 クリス「え?」
  栗とリスとマスが空中に浮かんでいた。
一般人A「クリスマスなのに、ツイて・・・」
  一般人Aが「クリスマス」って言った次の瞬間
栗「クリ!」
リス「リス!」
マス「マス!」
一般人A「うわああああっ!」
  栗とリスとマスが一般人Aに襲い掛かり
  何回もタックルしてきた
女の子「痛い!痛い!クリスマスなのに、ヤダー!」
男の子「助けてー!」
  女の子も男の子にも栗とリスとマスはタックルした。
栗原 クリス「なにこれ・・・まるで魔法」
???「そうじゃ!魔法じゃ!」
サンタクロース「やっと見つけた。栗原クリス君」
栗原 クリス「誰!?・・・なんで俺の名を」
サンタクロース「ワシはサンタクロース。君を探していたんじゃ」
栗原 クリス「サンタ!?」

〇市街地の交差点
  そんなことで俺はサンタクロースと名乗る爺さんに頼まれてクリスマスプレゼントを探していた。
  なんでサンタ服ではないかというと目立つから私服にした、と。
栗原 クリス「ハァ・・・ハァ・・・」
  クリスは目の前にある人物を追いかけて走っていた。
  魔女に対して失礼なことを言ったせいで魔法をかけられたそうだ。
  クリスマスと口にすると、栗とリスとマスが襲い掛かってくる迷惑な魔法だ。
  解くには散らばったプレゼントを探すことだ。
  人間にもかけるなんて、その魔女はどうかしている。
  ・・・なんで俺は今、走っているって?
  最後のプレゼントが目の前に走っているガキが持っていたから「返して」って言ったら
  「嫌だ」と言って逃げたんだ。・・・あのガキ、足早いな。

〇川沿いの公園
ガキ「嫌だ!これは僕のもんだ!」
栗原 クリス「返してくれないか、大事なもんなんだ」
  二人の会話が堂々巡りになっていた。
栗原 クリス「それに、親も心配しているだろう・・・」
ガキ「心配してない!!」
ガキ「パパはいないし、ママは忙しいからと言って構ってくれない」
ガキ「ママに嫌われているんだ!!」
栗原 クリス「・・・」
栗原 クリス「そんなことねぇーよ。親も意外と子供を心配しているし」
栗原 クリス「俺だって、俺が生まれたからお袋に迷惑をかけて嫌われたんじゃないかと思った」
栗原 クリス「けど、こうして今でも手紙のやり取りをしているから・・・愛されている」
栗原 クリス「だから・・・」
栗原 クリス「嫌われているとか言うなよ!」
ガキ「ホッ、ホッ、よく言うた。クリス君」
栗原 クリス「その声、サンタ?」
ガキ「サンタさん!」
栗原 クリス「サンタさん、なんで子供に?」
ガキ「変身魔法もかけてもらったんじゃ。君の母に」
栗原 クリス「お袋が!?」
ガキ「今回の事は君の母に頼まれてやったんじゃ。ほれ、手紙も」
  クリスへ 誕生日おめでとう!今回の事、クリスの活躍見ていましたよ。これからも元気にしてください。
  母より
栗原 クリス「お袋・・・」
ガキ「プレゼントを全部回収してくれてありがとう!」
サンタクロース「メリークリスマス!」
  今年のクリスマスは変。
  だけど俺にとって最高の誕生日だ。

コメント

  • クリスマスにふさわしいちょっと不思議でコミカルな雰囲気に包まれたファンタジーでした。ちょんまげが住む島国だった日本もやっとサンタクロースが来てくれたり魔女の息子が住んだりするオサレな国になったんだなあ、と感慨もひとしおです。

  • 途中に散りばめられたネタに笑いながら読ませていただきました。
    苗字がついて喜んでたところかわいかったです。笑
    やっぱりお母さんは、ずっとクリスくんのことを見守ってたんですね。

  • 世界観が面白かったです。魔女の村では当然男性より女性が格上なのですね。二ホンに来てよかったね栗原クリスくん。誕生日おめでとう!

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