あやかしなんだしっ

Too Funk To Die(公式)

第1話 はじまりなんだしっ(脚本)

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〇寂れた村
狂骨「グアハハハハ!」
狂骨「人間どもよ、我を崇め跪け!」
狂骨「すべてはこの大あやかし『狂骨』のためにあるのだ!」
???「そうはさせぬぞ!」
狂骨「ぬぐう!?」
狂骨「貴様・・・安陪野五月日(あべのめいでい)か!?」
安倍野五月日「臨・兵・闘・社・会・人・マジ・辛・い・・・」
狂骨「ぐおおお、我の体が・・・」
狂骨「吸い込まれていく・・・!?」
安倍野五月日「狂骨よ・・・この斧の中で、悠久の時を省みるがいい!」
狂骨「わ、我は死なぬぞ・・・!」
狂骨「悠久の後、必ず悪しき心を持つ者が我の封印を解き、人間どもに災厄を・・・」
「ぐあああああ!」

〇黒
(こうして我は情けないことに陰陽師ごときに敗れ)
狂骨(斧に封印された)
狂骨(そして人里離れた山奥に斧ごと隠されてしまったようだった)
狂骨(しかし、この程度で諦める我ではない)
狂骨(必ずや我の封印を解く者が現れる)
狂骨(今はひたすらそれを待ち続けるのだ)
  そして数百年が経ち──
狂骨「・・・来る」
狂骨「感じるぞ! 恐ろしい妖力を秘めた、悪しき人間の気配を!」

〇古びた神社
日下部みもみ「何ここ何ここー!?」
狂骨「・・・んん?」
日下部みもみ「チョー映えるじゃんこんなの、マジあげみざわなんですけどー!」
狂骨「待て待て待て」
  思ったより頭悪そうなのが来て、我、理解するのに時間が掛かりそう。
日下部みもみ「なんかこの斧とかちょーカワイイ!」
日下部みもみ「いっぱい撮っちゃおーっと!」
狂骨「か、カワイイ・・・我が・・・?」
  どうもしばらく見ない間に人間どもはつけあがったようだ。
  我のような大あやかしとの次元の違いを改めて理解させねばならぬ。
狂骨「・・・よく来たな人の子よ(イケボ)」
  まずは威厳たっぷりの声で語り掛ける。
  これだけで人間なぞ、襟を正さざるを・・・
日下部みもみ「柄にシュシュつけたげたらもっとかわいいかも!」
狂骨「我が名は狂骨」
狂骨「いかにも、その昔世界に名を轟かせた大あやかしである」
日下部みもみ「おっとと、ツーショ撮るなら化粧直さなきゃ」
狂骨「貴様は幸運だ」
狂骨「さあ、その一生を我の下僕として捧げるがよい」
日下部みもみ「はい、撮るよ~!」
狂骨「イエーイ」
狂骨「って話を聞かんか貴様ぁ!」
日下部みもみ「あはは、しかもしゃべってるこの斧! ちょーウケる」
狂骨「もうちょっと驚け!」
狂骨「なんなんだ貴様は!? 何しに来たこんなところへ!?」
日下部みもみ「あーしは日下部(くさかべ)みもみ! JK1だよー」
日下部みもみ「ここにはね、アウスタの写真を撮りに来たんだー」
狂骨「あうすた?」
日下部みもみ「うん。こうやってスマホで写真撮ると皆が見て「いいね」くれるの」
狂骨「???」
  何一つ言っていることがわからぬ。
日下部みもみ「でもぜんぜん「いいね」もらえなくてさー」
日下部みもみ「このお堂なら映えるものがあるかなって探しに来たんだ~」
  よくわからんが、そう言うのはふつう街で探すものではないのか?
狂骨(しかし、こやつ・・・頭の悪そうな小娘だのう)
  どんな悪人が来たのかと思ったが、これでは期待薄だな。
狂骨「むぅ!?」
日下部みもみ「何の音!?」
ノモリムシ「グルル・・・臭え、臭え」
ノモリムシ「熟成された妖気がプンプンしてるじゃねえかぁ」
  いかにも小物っぽいあやかしが現れたのは、そのときだった。
  「ノモリムシ」――山に籠り人やほかのあやかしを喰らう、図体がデカイだけのしょーもないやつである。
狂骨「やはり来おったか、面倒なのが」
  お堂の中に充満していた、数百年分の我の妖気。
  小娘が扉を開いたことでそれが噴出し、この小物を呼び寄せたのだ。
日下部みもみ「ねね、ひょっとしてあそこになんかいるの?」
狂骨「・・・!」
狂骨「お主、人間のくせに見えるのか?」
日下部みもみ「うーん、薄っすらだけど」
日下部みもみ「小物っぽい気配がするなって」
ノモリムシ「小物小物うっせえ!」
ノモリムシ「だが残念だったなぁ、お前らはその小物に食わちまうんだよぉ!」
狂骨「ふん、三下が粋がりおって」
狂骨「おい小娘! 我を使わせてやる!」
狂骨「あのあやかしを屠るのだ!」
  こんな小娘程度に使われるのは癪に触るが、今の我は文字どおり手も足も出ないのだ、仕方なかろう。
日下部みもみ「うーん・・・」
狂骨「なんだ、何を躊躇しておる」
日下部みもみ「ほら、あーしスマホより重いもの持ったことないし」
狂骨「この現代っ子め!」
日下部みもみ「だいたいネイルはがれちゃうし、なんかガサガサしてるのもヤダ」
狂骨「命の危険よりも優先するところなのそこ!?」
ノモリムシ「もう我慢できねえ!」
ノモリムシ「いっただきまぁーす!」
狂骨「く、ここまでか――!?」
  そのとき。
日下部みもみ「ああー! 見て見て!」
日下部みもみ「さっき上げたツーショにめっちゃ「いいね」きてる!」
狂骨「お主今どういう状況かわかってる!?」
  確かに、「すまふぉ」の画面には、「いいね」を告げる通知がひっきりなしに現れている
日下部みもみ「ねえねえ! もっと撮ってもいい?」
狂骨「あー、撮って良いからあいつをなんとかしろー!」
ノモリムシ「ガアアアアア!」
日下部みもみ「もう、邪魔しないで!!」
日下部みもみ「・・・えいっ」

〇ソーダ
ノモリムシ「うっぎゃあああー!?」

〇古びた神社
狂骨「・・・・・・」
日下部みもみ「うーん、いい天気!」
狂骨「こいつ、天才やんけ・・・」
  ふつう一振りでここまでの威力出る?
  いかに我が大あやかしであるとはいえ・・・
日下部みもみ「・・・あちゃー、このトカゲみたいなの真っ二つにしちゃった」
日下部みもみ「なんか悪いことしちゃったかな?」
狂骨「ふん。こうしてやればよいのだ」
日下部みもみ「あっ!? 食べた!?」
狂骨「今の我は、ほとんど妖力を失っている状態だ。モグモグ」
狂骨「しかし妖力を取り戻せば、こんな斧の封印なぞ破り元の姿に戻れよう。ガツガツ」
狂骨「そのためには、ほかのあやかしを喰らい、妖力を奪うのが一番なのだ。ゴックン」
日下部みもみ「ええ・・・キッショ・・・」
狂骨「子どもの純粋さってときどき人を傷つけるよね」
狂骨「・・・コホン」
狂骨「さて、これからお主に大役を与えてやろう」
狂骨「我の復活のために、あやかしを捧げるのだ!」
狂骨「矮小な人間の分際で我の部下になれるなど、これほどの誉れは・・・」

〇森の中
日下部みもみ「るんるんっ♪ 今日はこれ持ってカフェで写真撮ろーっと」
狂骨「人の話を聞かんかー!?」
  こうして出会ってしまった、我とギャルJKのみもみ。
  果たして我はみもみを利用して、現世に無事復活することができるのだろうか?
日下部みもみ「さあ、レッツゴー!」
狂骨(非常に不安だ・・・)
  ――続く

〇可愛い部屋
  次回のおはなしっ!
  ついに始まったあーしたちのドキドキ♪共同生活!
  そんな幸せ絶頂の二人を、屈強なあやかしたちが襲う!
  やめて! あーしのために争わないで!
  巻き起こる恋の戦争、いったいどうなっちゃうの!?
日下部みもみ「次回、「おでかけなんだしっ」」
日下部みもみ「次もぜってえ見てほしいんだしっ!」
狂骨「・・・何一つ合っておらん!」

次のエピソード:第2話 おでかけなんだしっ

コメント

  • こんにちは!
    凄く読みやすいし冒頭から盛り上がっていて面白かったです!ギャルも可愛いし強いし、コンビのお話好きなので楽しみです!

  • やっと読みに来れた…。疲れないサイズ感とこのくどくなるまで引っ張らない完璧な塩梅のギャクセンス。安心して読めます。
    魔法少女が終わってぽっかり空いた穴に染み渡ります。ありがとうございます!

  • 次回予告でお馴染みBGMが流れた瞬間、変な笑いがでました。まさか『ニコ⭐︎イチ↑』と同じノリを公式作品でも読めるとは!!条件反射的に笑ってしまう……☺︎

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