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木佐マコ

最終話 『綺羅七変化』(脚本)

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〇花火打ち上げ場
七蔵「・・・っ、俺には、時間がねえんだ!」
久間田和樹「七蔵、お前その体・・・」
角谷ナナ「和樹! 七さんは──」
  ナナが打ち上げ場を見回すと、七蔵が古い木製の打ち上げ筒を手に取っている。
角谷ナナ「七さん!?」
久間田和樹「待て、七蔵! まだ打ち上げんのは、だめだ!」
七蔵「コンなんとかが動かねえだけだろ!? 俺の、この筒なら今すぐ──」
久間田和樹「そうじゃない、それだけじゃ・・・」
久間田和樹「雷のことで、大会を続けるかどうか、今、運営が検討してるんだ」
角谷ナナ「やっぱり、大会は中止になるの?」
七蔵「チッ、そんなこたぁ許さねえ!」
七蔵「どいつだ! 花火を止めようなんて言ってる奴は!」
角谷ナナ「落ち着いてよ七さん! 今は花火じゃない! 今は、七さんが・・・」
久間田和樹「そうだよ七蔵。 花火なんかより、お前、その体・・・」
七蔵「だからだろうが!!」
七蔵「俺はもう消えるんだ! 俺は今、あの花火を打ち上げねえと・・・」
七蔵「今しかねえんだよ、綺羅七変化(きらななへんげ)の花火を打ち上げんのは!」
角谷ナナ「ななへんげ・・・」

〇花火打ち上げ場
角谷信吾「今日の花火は、ナナの描いた花火をお父さんが作ったんだ」
角谷信吾「だから、半分はナナの花火だぞ」

〇花火打ち上げ場
角谷ナナ「・・・お父さんの花火を?」
七蔵「わかるよな、和樹!」
久間田和樹「いや、でも・・・」
七蔵「今、打ち上げられなきゃ、死んでも死にきれねえよ!」
「!」
角谷源二「持って来い、和樹」
久間田和樹「え、でも」
角谷源二「持って来いっつってんのが、聞こえねえのか!」
久間田和樹「・・・はい!」
角谷ナナ「おじいちゃん・・・」
角谷源二「上げちまえば、こっちのもんだ」

〇花火大会の観覧席
観客1「もう花火、終わりかな?」
観客2「雷落ちたっぽいもんな。 大会、中止だろ」
観客3「つまんな~い」

〇花火打ち上げ場
七蔵「ナナ、これで最後だ。そこで見てろよ」
角谷ナナ「・・・ッ、うん」
七蔵「これが、本当の本当に俺の最後の花火だ!」
七蔵「・・・っ」
七蔵「さあ、さあ、お立合い!」
七蔵「目ン玉かっぽじいて、七印(しちじるし)のまん丸花火をご覧あれぃ!」
  七蔵が点火火薬に火をつけて、筒に入れようとした瞬間──
七蔵「!」
角谷ナナ「・・・あ!」
  七蔵の透き通った手から、点火用の火薬が地面にすべり落ちた。
角谷ナナ「七さん!?」
角谷ナナ「いやだ・・・! なんで・・・!?」
七蔵「ここまできて・・・」
七蔵「せっかくここまで来たってのによ・・・!」
七蔵「・・・・・・」
七蔵「・・・しかたねえ。 俺の運も、ここまでってこった」
角谷ナナ「七さん・・・」
七蔵「・・・今日、お前に見せてやりたかったんだけどな」
角谷ナナ「・・・今、上げるよ」
七蔵「ん?」
角谷ナナ「今、私が上げる! 七さんの花火・・・私が見せてあげる!」

〇花火打ち上げ場
角谷ナナ「ナナもお父さんと一緒に打ち上げたい!」

〇花火打ち上げ場
角谷ナナ「綺羅七変化(きらななへんげ)・・・私と、お父さんと・・・七さんの花火」
七蔵「・・・ナナ」
角谷ナナ「まん丸の花火、上げるよ! 七さん!」
七蔵「おう、見せてくれ!」

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