最強種族のケモ耳族は実はポンコツでした(長編)

にんじん

第二話 町への道のり(脚本)

最強種族のケモ耳族は実はポンコツでした(長編)

にんじん

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〇けもの道
ビスケット「ビスケット~ビスケット~私の大好きなビスケット~誰にも渡さないわよ~私だけのビスケット~」
  ビスケットは、自分で作ったこの歌を歌いながら、上機嫌でブラックウルフの森を歩いていた。
  ビスケットの歌に導かれるようにブラックウルフが姿を見せる事があったが、ビスケットの姿を見ると
  ブラックウルフは逃げ出すのであった。

〇美しい草原
ビスケット「ブラックウルフの森を抜けたわよ。あと2日間も歩けば町に到着するわよ」
マカロン「え!2日間も歩き続けるの?」
ビスケット「そうよ!町までの道のりは遠いのよ。でも、私が本気で走ればあっという間に到着するけどね」
マカロン「それなら、急いで行きましょうよ。のんびり歩いてなんかいられないわよ」
  私はビスケットの話しを聞いて、少し焦っていた。見知らぬ世界の見知らぬ場所で野宿なんて怖くて出来ないからである
ビスケット「無理よ!人間が私のスピードに追い付けるはずなんてないのよ」
マカロン「そんなのわからないわよ。私は高校までは陸上部で駅伝の選手だったのよ!走るのは得意なの」
ビスケット「え・き・で・ん」
マカロン「そうよ。私の走りをとんと見るがいいわ!」
  私は中高と陸上部であり、特に長距離走には自信があった。
  まさか、学生時代で培った努力が、こんなところで報われるなんて思いもしなかった
マカロン「行くわよ!」

〇美しい草原

〇美しい草原
マカロン「もうだめ!これ以上走れないわ・・・」
ビスケット「マカロンちゃん、遅すぎるし体力も全然ない」
ビスケット「マカロンちゃんが遅いから、もう日が暮れるわよ」
  私は威勢よく走り出したが、一瞬でビスケットに抜かされた。
  ビスケットのスビートは尋常でなく、あっという間に姿が消えて、私は置いてけぼりにされた。
  ビスケットに追いつくために、全速力で2時間ほど走り続けると、ビスケットが木にもたれかかって待っていてくれた。
  そして、ビスケットと合流出来た頃、もう日が沈みかけていたのであった。
マカロン「日が暮れてしまうわ。どうしよう。どこで寝たらいいの?」
ビスケット「穴を掘って寝床を作るのよ」
マカロン「え!穴を掘るの?」
ビスケット「そうよ。大きな穴を掘ってそこで寝るのよ」
マカロン「大きな穴なんて、そんな簡単に掘る事なんて出来ないわよ」
ビスケット「問題ないわ。いつも掘っているから私にまかせてね!」

〇暗い洞窟
ビスケット「マカロンちゃん、洞穴の出来上がりよ。今日はここで寝て、明日、町を目指しましょう」
マカロン「すごいわ!こんな簡単に洞穴を掘ってしまうなんて、私、あなたの事を尊敬するわ」
ビスケット「そ・ん・け・い?それは甘くて美味しいの?」
マカロン「尊敬は食べ物じゃないわよ!私はあなたの事を褒めてあげたのよ!」
ビスケット「褒めなくていいから、甘い食べ物をちょうだい!」
マカロン「もう!ビスケットはすぐに食べ物の話ばかりする。ちょっとは私の感謝の気持ちを受け取って欲しいわ」
ビスケット「感謝の気持ち?それは甘くて美味しいの?」
マカロン「はぁ~ビスケットには何を言っても無駄ね。甘い食べ物は町に着いたらたくさん作ってあげるわよ」
ビスケット「わぁ~い。わぁ~い。町に着いたらたくさん甘い食べ物食べれる~」
  ビスケットのおかげで、私は快適とまでは言えないが、安全な場所で眠りに就くことができた。

〇美しい草原
ビスケット「ビスケット~ビスケット~私の大好きなビスケット~誰にも渡さないわよ~私だけのビスケット~」
ビスケット「ビスケット~ビスケット~私の大好きなビスケット~町に着いたら~たくさんのビスケットが~私を歓迎してくれるの~」
  ビスケットは今日も上機嫌で、歌を歌いながら町を目指していた。
マカロン(はぁ~お腹が空いたわね。そう言えば昨日から何も食べていないわね。何かポケットに入ってないかしら??)
  私は昨日から何も食べていないので、流石にお腹が減ってきて、元気が出ないのである。
  私はビスケット以外になにかポケットに入っていないか確認した。
マカロン(あ!チョコレートが入っているわ。これはビスケットを作る時に用意していたチョコレートだわ)
ビスケット「ビスケット~ビスケット~私の大好きなビスケット~あなたと出会えた奇跡は~私は忘れないわ~」
マカロン(どうしよう・・・板のチョコレートが一つだけ。ビスケットと半分ずつにするかそれとも・・・)
  私は心の中で悪魔と天使が戦っていた。この大事なチョコレートをビスケットに半分あげるかそれとも自分だけ食べるのかを

〇美しい草原

〇美しい草原
マカロン「今の悲鳴は何!」
ビスケット「500mほど先で人間同士が争っているみたいね!」
マカロン「え!そんな先まで見えるの」
ビスケット「そうよ!1㎞くらい先まで見えるわよ」
ビスケット「そして、マカロンちゃんからずっと甘ーい匂いがするのも知っているわ!」
マカロン「それは・・・」
マカロン(今はチョコレートの話しをしている場合じゃない。あの悲鳴の事が気になるわ)
ビスケット「私に隠し事なんて出来ないわ!その甘ーい匂いの正体は、昨日のビスケットの匂いが残っているのね」
ビスケット「とてもいい匂いだわ。マカロンの側にいると、し・あ・わ・せよ!」
マカロン(チョコレートの事がバレてなくてよかったわ)
マカロン「ビスケットちゃん、500m先で何が起きているのか教えてくれないかしら?」
ビスケット「いいわよ。立派な馬車が盗賊に襲われているみたいね」
マカロン「盗賊?それは悪い人じゃないの!すぐに助けてあげないと」
ビスケット「面倒くさいなぁ~」
ビスケット「それに人間に関わるとろくなことがないって聞いているわ」
マカロン「私も人間よ!もう私と関わらないって言うの?」
ビスケット「マカロンちゃんは甘いモノをくれるから大好き!」
マカロン「これをあげるから盗賊に襲われている人を助けてあげて!」
ビスケット「あま~い匂いの正体はこれだったのね」
マカロン「隠していてごめんね。でも、これは貴重な食料だから、ビスケットにあげるか迷っていたのよ・・・」
ビスケット「いいのよ。甘いモノはすごく大事なモノ。簡単に誰かに譲れるモノじゃない事は私が一番知っているわ」
マカロン「許してくれてありがとう。これをあげるから襲われている人助けて」
  知らない世界で知らない人が盗賊に襲われている。私には関係ないことかもしれないが
  このまま放っておくことはできなかった。
  第三話に続く・・・

次のエピソード:第三話 イチゴの行方

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