隣の渡辺君は大泥棒?

一ノ宮紅(旧R.ある)

事件編(脚本)

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〇教室
石川遥花「最近気掛かりなことがある」
石川遥花「この頃学校内や近所で連続万引きが発生しているのだが、犯人が隣の席のクラスメイトではないかと疑いがあるのだ」
龍堂篇「渡辺すげーな、新発売のスマホもう買ったのかよ!?」
渡辺ロン「前々から欲しかったからね!」
龍堂篇「へえ...羨ましい」
龍堂篇「...あれ、前パソコン修理出したばかりで金欠って言ってなかったっけ?」
渡辺ロン「あー、これは作文大会の副賞だから実質無料なんだよ!」
龍堂篇「作文大会!?すげーな!」
石川遥花(渡辺君、また副賞か何かもらってるのか...?)
渡辺ロン「あ、石川さん!」
渡辺ロン「このスマホいらない?スペック悪くて使いこなせそうにないんだけど」
渡辺ロン「ほら、前欲しいって言ってたじゃん」
石川遥花「いやそんな高価なもん貰えないよ!?」
渡辺ロン「作文大会の副賞だし金銭面なら気にしなくていいよ!」
石川遥花「でも使いづらいんでしょ...?なら遠慮しとくよ」
渡辺ロン「ちぇー。なら他を当たるよ」
石川遥花「さて話を戻すが、私が万引きを疑っているのは隣の席の彼、渡辺君である」
石川遥花「渡辺君は金欠というのに高価なものを手に入れていたり、懸賞や副賞をかなりの頻度でもらっていたり、いろいろと不審なのである」
石川遥花「昨日の帰りだってそうだ」

〇オフィスビル前の道
石川遥花「サドル泥棒...!? 何故サドルだけ盗むんだ?」
渡辺ロン「よ!石川さん!」
石川遥花「あ、渡辺君」
  道で自転車を引いて帰路にいると、後ろから渡辺君が話しかけてきた。
石川遥花「あれ?そのサドル...」
  彼の自転車のサドルは明らかに不自然であった。緑の車体に青いサドルは浮いている。
渡辺ロン「あ、これは前のサドルが壊れたから新しいのを付けたんだよ」
石川遥花「へえ、そうなんだ...」
石川遥花(盗品と色が同じなのは偶然?)
  というように、渡辺君はとにかく不審なのである...

〇学校のプール
  そんなある日、プールの授業があったときに事件は起こった。
石川遥花「あー、シャワー冷たかった!」
丑寅明美「それなー、ここまで冷たくなくてもいいよね!隣の私立高なんて温水出るらしいし羨ましいよ!」
石川遥花「え?そうなの!?すご」
髷村「3時間目のプールの授業の点呼を取ります!今日休みの人はおらんか?」
未申恵梨香「六道さんが入院中で龍堂くんが保健室です」
髷村「了解したー」
辰巳青砥「あ、大原も松葉杖が壊れたらしいので保健室にいます」
髷村「御意」
  体育教師・髷村による点呼が終わり、ウォーミングアップの後自由に泳ぐ時間になった。
渡辺ロン「先生!急に腹が痛くなったのでトイレ行ってきます!」
髷村「あいよー」
髷村「あ、でもプールのトイレはこの前の強盗事件で壊されたから校舎行かないとないぞ?」
渡辺ロン「分かりましたー」
辰巳青砥「あれ、渡辺どこ行くねーん!?」
戌亥颯真「腹痛いからトイレだってよ」
辰巳青砥「あ、そうなのか・・・」

〇学校の廊下
  その頃、本校舎にて...
??「ふう...そろそろプールの授業終わる頃だし教室にいるか」
??「...あれ?鍵がかかってる。何故!?」
??「まいっか、こんなときのためにピッキングセットを持ち歩いてるんだなぁ」
  ガチャガチャ...
??「あれ、難しいなぁ...」
??「仕方ない、職員室の鍵を拝借させていただきますか」

〇学校の廊下
  プールの授業終了後、本校舎の廊下にて...
戌亥颯真「ふぁー、疲れた疲れた。髷村の奴最後の話長かったからもう10時半じゃねえか」
辰巳青砥「次の授業まであと5分!?さっさと着替えねえとな」
渡辺ロン「おーっと!?これは俺の特技、早着替えを活かせるチャンスが来たぞ!」
戌亥颯真「呑気なこと言ってる場合か、お前早着替えと言ってもプールのときだけはめちゃくちゃ遅いじゃねえか」
渡辺ロン「いや〜それほどでも」
戌亥颯真「褒めてねえよ!」
丑寅明美「私らもう着替えるから男子はそろそろ離れてねー」
戌亥颯真「おいーす」
  この学校に更衣室はないため、女子は教室、男子は隣のロッカールームを更衣室代わりに使っている。

〇教室
石川遥花「あれ?教室の鍵開いてる?」
未申恵梨香「え嘘?戸締まり忘れたかな?」
石川遥花「まいっか、さっさと着替えよう!」
  数分後...
田中心愛「...ない」
石川遥花「何か探してるの?」
田中心愛「下着がないんだよ...着替えた後バッグに入れたのに」
石川遥花「えぇ!?」
  心愛ちゃんの下着が無くなったらしいのだ。
石川遥花「もう一度探してみたら...?私も手伝うよ!」
丑寅明美「私も手伝う!」
未申恵梨香「うちも!」
田中心愛「みんなありがとう...」
  こうして、心愛ちゃんの下着大捜索が始まった。
  数分後...
石川遥花「教室中の収納という収納全部見て、しかも全員の荷物チェックしてもないってどういうこと...」
未申恵梨香「...まさか誰か隠したとか?」
石川遥花「いやあそれはないと信じたいけど...でもこの学校治安悪いからね」
田中心愛「みんなありがとう、もう次の授業始まっちゃうからあとは何とかするよ...」
未申恵梨香「え、でもノーパンで過ごすの?」
田中心愛「それなら大丈夫だよ、下着くらい保健室で借りられる!」
石川遥花「ならいいけど...」

〇教室
  そして時は飛んで帰りのHR。
担任「このクラスの女子生徒の下着が紛失したそうです」
  担任が今日のプールでの事件について話していた。
石川遥花(心愛ちゃんの下着、結局見つからなかった感じか...)
  するとクラス中がガヤガヤ騒がしくなり、色々な憶測が飛び交った。
辰巳青砥「下着がないって...泥棒かよ、気持ち悪いなぁ」
戌亥颯真「もしかしてアイツじゃね?」
担任「静かに!もし心当たりがあれば申し出てください。今日のHRは終了です」
  HRが終わると、クラスの話題はプール事件でもちきりで、犯人探しが始まっていた。
  特に疑われていたのが...
戌亥颯真「おいロン、犯人お前じゃないよな?」
  そう、最近私が泥棒だと疑っている渡辺君である。
渡辺ロン「何を見てそう思ったんだよ...」
戌亥颯真「だってお前いつも何か盗んでそうじゃん!この前だって懸賞とか言ってたけど、短期間でそんなに当たる奴いるかよ!」
辰巳青砥「それは俺も思った!前から怪しいと思ってたんだよ!」
渡辺ロン「ちょっと待てよ!確かに店のものは盗んだかもしれないけど、使用済みの下着なんて盗る変態と一緒にすんな!」
辰巳青砥(店の物盗んだことは認めるのか...)
戌亥颯真「いいや、お前腹痛いって言って授業中抜け出してただろ?」
渡辺ロン「確かに抜け出したが教室には入ってないぞ?」
渡辺ロン「だいいち教室には鍵がかかってるのにどうやって入るんだよ?」
戌亥颯真「鍵?そうなのか女子?」
石川遥花「そうそう、体育のときは教室で着替えるからいつも保健体育委員が職員室から借りて鍵をかけてるんだよ」
未申恵梨香「でも今日は鍵を開けようとしたらもう開いてて...」
未申恵梨香「もしかしたらかけ忘れたかもだけど、私が鍵をかけたところを何人も目撃してるんだ。出る前に確認もしたし」
石川遥花「となると第三者が教室の扉の鍵を開けて隠したか盗んだか疑うしかなくなってしまうんだよね」
戌亥颯真「やっぱりか。ほら、渡辺ロン、お前が犯人ということは分かっている。白状しろ!」
渡辺ロン「違うと言ってるだろ!」
石川遥花「ちょっと待って、さっきから思うんだけど何で真っ先に渡辺君を疑うの?」
戌亥颯真「あー、それはロンの日頃の行いもそうだけど、何よりこいつのアリバイが証明できないんだよ」
石川遥花「アリバイ?」
辰巳青砥「ああ、渡辺はプールの授業中に腹痛でトイレに行ってるんだ」
辰巳青砥「プール脇のトイレはこの前の強盗乱入事件で壊れたから、渡辺は校舎のトイレに行ったことになる」
辰巳青砥「そして戻ってくるのに20分くらいはかかっていたから、その間に十分犯行できる時間はあった」
戌亥颯真「だから現時点で一番怪しいのはこいつということ」
石川遥花「な、なるほど?」
石川遥花「でもそれだけじゃあ犯人と断定できない気が...証拠がないし」
丑寅明美「ちなみにだけど、他にアリバイを証明できない人はいないの?」
戌亥颯真「あの場にいた人は渡辺以外全員アリバイあるんじゃないか?抜け出すとしても髷村先生に声かけないといけないし」
丑寅明美「なるほど」
石川遥花「待って、今あの場にいた人と言った?」
戌亥颯真「ああ言ったけど、それがどうしたの?」
石川遥花「あの場にいる人以外の犯行だとすると、他のクラスの人の犯行だとも考えられない?」
辰巳青砥「あー、確かにそうか、その可能性を考えてなかったわ」
丑寅明美「3時間目の時間で、他のクラスで保健室やトイレで抜けた人がいたらその人も犯人候補になるのか...」
戌亥颯真「んじゃ犯人候補はロンと他のクラスでアリバイが証明できない人になるのか? あーややこしくなってきた!」
丑寅明美「となると証拠がないからこれ以上犯人絞れなくない?」
石川遥花「いや、鍵を借りたときの目撃者がいればそれが証拠にならないかな?」
石川遥花「鍵って借りても一度職員室に預けるじゃん?」
丑寅明美「それだ!職員室で目撃情報を聞けばそれが証拠に!」
戌亥颯真「じゃあ一旦職員室向かうか!」

〇事務所
  私たちは職員室へ向かった。
森岡「3時間目の時間ですか...」
森岡「確かに鍵を取る生徒が来ましたね」
石川遥花「どういう特徴の人ですか?名前は分かりますか?」
森岡「話したことがない生徒だったので名前は分からないですね」
森岡「ただ、男子生徒で黒髪、中肉中背だったことは記憶しています」
石川遥花「なるほど...ありがとうございます」
石川遥花(それだけじゃ誰かを判別する有力な証拠にはならない、か)
戌亥颯真「ちなみに何時何分頃来ました?」
森岡「確か10時頃に来ましたね...」
戌亥颯真「10時...」
庄司「あれ、森岡先生どうしたんですか?」
森岡「この生徒たちが3時間目に鍵を取りに来た人がいないか確認しているみたいで...」
庄司「なるほど...確かにいましたね」
森岡「庄司先生も見ました?10時頃に取りに来た男子生徒いましたよね?」
庄司「いましたね、確か10時過ぎの後にももう1回くらい同じ生徒が来ていた気がします」
石川遥花「それは...何時頃ですか?」
庄司「もう4時間目が始まる10分前でバタバタしている時間だったね、」
庄司「10時25分くらいか」
森岡「そうだったんですね、私多分そのとき授業の準備に向かっていて職員室抜けていました」
石川遥花「なるほど!ありがとうございます!」

〇学校の廊下
  私たちは職員室を抜け、廊下で会議を続けた。
未申恵梨香「いきなり抜けてどうしたの?」
石川遥花「犯人...分かったよ」
田中心愛「え!?マジ、誰!?」
石川遥花「結論から言うと...犯人は...!」
  後編:解決編に続く!

次のエピソード:解決編

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