〇デパ地下
落合はるか「・・・ったく なんでこんなとこ・・・」
落合はるか「俺は行くなんて言った覚えはねぇぞ」
キリエ「あら、言ったわよ♪ 別にいいよ、って。確かに聞いたもの」
落合はるか「・・・駅まで乗せてけって その話かと思ってたんだよ」
キリエ「ぼんやりしてたのがいけないのよ」
キリエ「まあ、いいじゃない 久々のデートなんだから」
落合はるか「デートじゃねぇ 俺は拉致されたんだ こんなカップルだらけの場所、扇谷と来ればいいだろ」
キリエ「だってもらったチケット、今日が期限だったんだもの 扇谷くんは用事があるっていうし」
キリエ「いいじゃない 限定スイーツ買うだけなんだから♪ ね❤️」
落合はるか「はぁ・・・💦」
落合はるか「ん？」
三澤梨々花「こ、こんにちは・・・💦」
落合はるか「お前────」
キリエ「どうしたの？」
キリエ「誰？　はるかの知り合い？」
落合はるか「あー・・・ちょっとな ・・・知り合いの妹」
キリエ「え？　誰？ 私も知ってる人？」
落合はるか「別に誰でもいいだろ」
キリエ「えぇーっ 何よそれ、アヤしー」
キリエ「それにその制服・・・ まさか、はるか女子高生とつきあってるの!?」
落合はるか「んなわけねーだろ 弟の友達だよ」
キリエ「なぁんだ、弟クンのカノジョか そうよね、はるかの好きなタイプじゃないし」
キリエ「はじめまして あ、もしかして、弟クンとデート中？」
落合はるか「おい、もういいだろ」
落合はるか「悪いな コイツのことは気にしなくていいから ていうか、もういいか？　帰って」
キリエ「えぇー！　ダメよ！ まだ買い物すんでないもの！」
落合はるか「・・・じゃあタバコ吸ってくるから その間に済ませといてくれ」
キリエ「ちょっと、はるか！ ・・・もう！」
キリエ「ごめんね、感じ悪くて」
三澤梨々花「・・・カノジョじゃないです」
キリエ「え？」
三澤梨々花「里見くん・・・先生の弟さんも今日ここにはきてますけど、つきあってるわけではないです」
キリエ「先生・・・ ああ、あなた知ってるのね はるかが小説家だってこと」
三澤梨々花「私、先生のうちでハウスキーパーのバイトしてるので」
三澤梨々花「キリエさん、ですよね？ はじめまして 私、三澤梨々花っていいます」
キリエ「なんで私の名前・・・って」
キリエ「ハウスキーパー!? だってあなた高校生でしょ？ どういうこと？」
三澤梨々花「先生の担当の緑川さんからの依頼です あなたのことも聞きました 先生とおつきあいされていたって」
キリエ「緑川さんて出版社の人よね？ キレイな顔した」
キリエ「・・・でもなんであなたなの？ そんなのプロを雇えばいいのに」
キリエ「ていうか、そんなこと はるか一言も言ってなかったわよ」
三澤梨々花「・・・言う必要ないからじゃないですか？」
キリエ「・・・どういう意味？」
三澤梨々花「だって今、別の男の人とつきあってますよね？ その人といるところ、私偶然見たんです」
キリエ「そうだけど あなたには関係ないじゃない？」
三澤梨々花「ないですけど・・・ よくないんじゃないですか？ 別の男の人と、その、デートするとか浮気じゃないですか」
キリエ「友達といるのがいけないの？ はるかとはもう別れたけど、今はいい友達なの」
キリエ「今のカレも あたしたちが仲がいいのは知ってるし 今日のことだってちゃんと話すわよ」
キリエ「それにちょっと買い物につきあってもらうくらい、浮気とは言えないわよ フツー」
三澤梨々花（ウソだ・・・ きっとまた扇谷さんにはウソつくんだ）
キリエ「もしかして、緑川さんからあたしのこと何か悪く聞いた？」
キリエ「あの人、たぶんあたしのことよく思ってなかったのよね」
キリエ「はるかにとって あたしは何より特別だったから」
三澤梨々花「・・・・・・特別」
キリエ「そうよ 知ってる？ はるかの小説のヒロイン、あたしがモデルなの」
キリエ「・・・だから別れたって あの人はあたしから離れられないの」
三澤梨々花「そうは見えませんでしたけど・・・」
キリエ「口では突き放すようなこと言うけど 彼、未練タラタラなのよ あたしの誘いは断らないのがいい証拠」
三澤梨々花「だったらキリエさんだって同じじゃ？ 今も２人で会うくらいなら・・・未練あるんじゃないですか？」
キリエ「はるかのことは好きよ でも・・・もういいかなって思っちゃったのよね」
キリエ「見た目はカンペキだしお金もあるし でも〆切だなんだでデート何回もキャンセルされたし」
キリエ「人混みが嫌いだからってクラブも行ってくれないし、家はあんなボロ家でしょ？ つまんなくなっちゃって」
キリエ「小説家っていうのも地味でパッとしないし 全然興味もないし だから友達に戻ろうって言ったの」
三澤梨々花（な、何それ・・・！ 自分勝手すぎるよ・・・！）
三澤梨々花「だから都合のいい時だけ呼び出してるってことですか？ 先生の気持ちを利用して」
キリエ「ずいぶん言うのね」
キリエ「あたしはただ会いたい時に会ってるだけ 強要はしてないわよ？ 嫌だったら来なければいいんだし」
キリエ「・・・ねえ、三澤さんだったかな？ どうしてそんなにはるかとあたしのこと 気にするの？」
キリエ「もしかして・・・ はるかのこと好きなの？」
三澤梨々花「は？」
キリエ「そうなんでしょ だからあたしが気に入らないのね」
三澤梨々花「ち、違います！ 私はただ──」
キリエ「フフ、でも残念 はるかはあなたみたいなタイプ、 興味ないと思うわよ」
キリエ「・・・さっさとあきらめた方がいいわ」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
落合はるか「まじかよ💦 まだ話してたのか・・・」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
落合はるか「・・・ってお前、どうした？」
三澤梨々花「ふぇ・・・っ・・・・・・・・・・・」
落合はるか「おい・・・！」