DAY13: OBはあの人(脚本)
〇説明会場
吉沢美森「遅いっっ!!」
吉沢美森「もう! 時間厳守って言ったでしょ!」
三澤梨々花「ご、ごめん💦 うっかりしてまして・・・」
貴島里見「まあまあ♪ ちょっと時間過ぎただけだし そんな目クジラたてなくてもいーじゃん」
吉沢美森「ちょっと里見! さっきからいないと思ったら──」
吉沢美森「梨々花の迎えは上杉に頼んだでしょーがっ なぜアンタまで行く!!」
貴島里見「ごめん、ごめん だってむっちゃんも三澤ちゃんも なかなか来ないからさ~」
吉沢美森「まいいわ! とにかく揃ったし始めましょ」
吉沢美森「すみません、扇谷(おうや)さん お待たせしました!」
扇谷「いや、大丈夫だよ」
三澤梨々花(あれ・・・? この人、どこかで・・・)
貴島里見「はーい、じゃあミーティング始めまーす」
貴島里見「今回は軽い打ち合わせってことで 部の代表者に集まってもらいました 司会進行、貴島里見です★イエイ★」
吉沢美森「おふざけはいらない!」
貴島里見「んじゃ、まず紹介しまーす」
貴島里見「ウチのテニス部OB 扇谷和巳(おうやかずみ)さん 現在青林学院大学、教育学部の三年生」
貴島里見「これからインターハイに向けて アドバイザーとして時々練習見てもらえる ことになりましたー」
扇谷「扇谷です 吉沢さんたちとは会うのは初めてだよね どうぞよろしく」
三澤梨々花(はっ・・・)
三澤梨々花(あっ・・・ああぁあ~っ!!)
三澤梨々花(思い出した!! この人、キリエさんの今カレだ!!!)
吉沢美森「はい、よろしくお願いします あ、こっちはマネージャーの三澤です」
吉沢美森「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉沢美森「ちょっと、梨々花! あいさつ!」
三澤梨々花「はっ・・・!!」
三澤梨々花「は、はじめまして! マネージャーの三澤梨々花です! よろしくお願いします」
扇谷「三澤さん・・・か うん、よろしくね」
貴島里見「扇谷さんは、高校インハイで入賞経験もあるツワモノなんだ」
貴島里見「オレのアニキと大学・学部が同じで友達ってこともあって知り合ったんだよね」
扇谷「はるか・・・里見くんの兄キとは ゼミが同じなんだ 時々三人で食事にも行ったりもしてて」
吉沢美森「里見のお兄さんてはるかっていうの? 落合はるかと一緒!」
吉沢美森「そういえば、里見からお兄さんの話って 全然聞いたことないよね」
貴島里見「そうだっけ?」
吉沢美森「そうよ! 家のこと聞くと「話すようなことないし」 ってはぐらかすじゃん! 梨々花は知ってる?」
三澤梨々花「えっっ!」
三澤梨々花「ううん聞いたとない全然ないまあプライベートなことだし言いたくないこともあるかと!!」
吉沢美森「何焦ってんの?」
吉沢美森「じゃあ扇谷さんに聞こ! はるかさんてどんな人ですか?」
扇谷「はるか? そうだな・・・ 一見クールでとっつきにくそうだけど よく知ってみると友達思いでいい奴、かな」
吉沢美森「えぇー なんか『カーディナル』の主人公みたい! ちょっとツンデレな感じですよね!?」
三澤梨々花(ヤバい! 美森のはるか様スイッチ入っちゃう!💦)
扇谷「落合はるか、好きなんだ?」
吉沢美森「はい! 『カーディナル』にどハマりしてまして💕」
扇谷「おれも結構好きだよ なかなか読み応えあるよね」
扇谷「じゃあそろそろ本題に戻ろうか さっそくだけど まず男子の練習メニューの提案から──」
三澤梨々花(スマートに話題を戻した! ナイス、扇谷さん!)
三澤梨々花(この人・・・デキる・・・!!)
〇学園内のベンチ
吉沢美森「えーと・・・ レギュラーはプレイスタイル別に スマッシュ、ボレー、ロブなんかの複合メニューと、5本打ち&7本打ち練習」
吉沢美森「準レギュラーは 体力強化とショートラリー中心。 それ以外の1年生は、フットワークとストローク練習・・・」
吉沢美森「即席で考えたメニューって言ってたけど ちゃんとあたしたちの弱点を踏まえた構成にしてあるのね」
吉沢美森「やるわね!扇谷さん」
三澤梨々花「「ちょっと練習風景見せて」って みんなのプレーしばらく眺めてたけど その間に分析してたのかな」
三澤梨々花「さすがインターハイ経験者! 心強いね」
三澤梨々花(あの話題の逸らし方も絶妙だったし・・・!)
吉沢美森「そうね それに紳士的で優しそうだし! 大学生ってなんか大人だよね〜❤️」
吉沢美森「ウチのおふざけザルとは大違いだわ」
三澤梨々花「サルって・・・💦 扇谷さんに頼んでくれたの里見くんなんだから、感謝しないとだよ」
吉沢美森「まあね ようやくまともな練習が出来そうなのは ありがたく思ってるわ」
吉沢美森「改めて頑張らないとね!」
吉沢美森「ところで、さっきダッシュで図書館行ってたけど、何の本借りたの?」
三澤梨々花「あっうん・・・ちょっと栄養学の本を・・・」
吉沢美森「栄養学? もしかして、バイト関連?」
三澤梨々花「うん、まあ💦 先生がちょっと体調崩してて メニューを再考しようかと思って」
吉沢美森「あんたもつくづく世話好きねえ ていうか、色々文句言ってるわりに 熱心すぎない?」
吉沢美森「もしかしてえ・・・」
吉沢美森「好きなんじゃないの? ダイゴロウのこと!」
三澤梨々花「まっまさか!!!!」
三澤梨々花「ヘンなこと言わないでよ ほんっと嫌味な人なんだからっ!」
三澤梨々花「・・・まあ ちょっとほっとけないなぁって 思うこともあるけど」
三澤梨々花「雇い主だから心配してるだけだし! せっかくの高額アルバイトだもん」
吉沢美森「なぁんだ ようやく梨々花にも春が来たかと ちょっと期待してたのにな・・・」
三澤梨々花「期待? なんで?」
吉沢美森「・・・ううん、なんでもない」
吉沢美森「さっ、帰ろ帰ろ おなかすいちゃったーー♪ 駅前のカフェで甘いものでも食べてこっ」
三澤梨々花(ヘンな美森・・・・・・)
〇大学の広場
あっ、はるか!!
キリエ「今帰り?? ぐうぜーん、あたしもなの 一緒に帰らない?」
落合はるか「・・・何が偶然だよ どうせ送っていけっていうんだろ 扇谷に言えよ」
キリエ「あら、バレた?」
キリエ「だって今日扇谷くんいないんだもの」
キリエ「そういえばはるか、昨日の1限いなかったわよね? テキスト忘れちゃったから 見せてもらおうと思ったのに」
落合はるか「あー・・・ちょっとな 調子悪くて、休んだ」
キリエ「へー珍しい」
キリエ「なぁんだ 呼んでくれたら看病に行ってあげたのに♡」
落合はるか「呼ばねえよ・・・ ていうか、相変わらずだなそういうとこ よく扇谷に愛想つかされねーな」
キリエ「ないわね 扇谷くんはあたしにベタ惚れだから♡」
落合はるか「・・・あっそ それで、扇谷は今日どうしたんだよ 休みか?」
キリエ「ううん 母校のテニス部の後輩に呼ばれたとかなんとか言ってたわ」
落合はるか(ああ・・・里見に頼まれた件か 今日だったのか)
キリエ「夕方には戻れるって言ってたのに まだ連絡ないし ひどいと思わない? 待ってたのに──」
キリエ「そしたらはるかを見つけたってわけ♡ 今日車でしょ? 駅前まででいいから乗せて♪ 友達と飲みにいくことになったの」
落合はるか「・・・別にいいけど 扇谷にはちゃんと連絡しとけよ 面倒はごめんだからな」
キリエ「わかってるって♪ ありがと、助かるわー」
キリエ「あ、そうだ はるかにもう一つお願いがあるんだけど──」
落合はるか(そういえば うちのバイトも同じ学校だよな 里見と部活も一緒だったか)
落合はるか(看病といえば 礼をしろだのなんだの 緑川がうるさかったな・・・・・・ なんか贈っとけばいいのか?)
落合はるか(けど、アイツが喜ぶものってなんだ? 掃除道具か? なんかいつも嬉々として風呂とか磨いてるよな・・・)
落合はるか(イマドキの女子高生って感じじゃないよな、アイツ たまにおかん化するし ・・・ふっ、変なヤツ)
キリエ「――んだけど、いいわよね?」
落合はるか「・・・あ? ああ―ーだからアシがないんだろ? まあついでだし、別にいいよ」
キリエ「やった♡ありがと じゃあ土曜日ね!!」
落合はるか「は?土曜日?」
キリエ「あっ、もう六時半じゃない! 待ち合わせ遅れちゃう 早く乗せてって!」
落合はるか「ちょ・・・キリエ! 今の・・・なんの話だ!?」
各登場人物が色々縁繋ぎ……世間って狭いものですねww だからこその、入り組んだ人間関係から生まれるこの空気感、本当に楽しいです!
更新ありがとうございます!!
主要キャラほぼ全員登場ですね!この先も楽しみです!
久しぶり(?)の可愛いハイジも待ってます笑