読切(脚本)
〇ファンタジー世界
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「はぁ、はぁ・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「ふぅ、ふぅ・・・・・・」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「いい加減、はぁ・・・・・・諦めなよ、はぁ・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「そんな、ふざけた武器で! 我が倒れるなど!! ふぅ、ふぅ!!」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「別に良いでしょう?」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「はぁ、じゃあ、飛び道具は禁止ってどっかに書いておけば良いじゃん!」
「分かった! そなたの勝ちで良い!!」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「や、やったね!!」
ディアーク・E・V・I・ラント「ふっ、世界観はファンタジーぞ? もっとこう、こういうのとか」
ディアーク・E・V・I・ラント「こういう感じのとか」
ディアーク・E・V・I・ラント「こういうのが妥当だろう?」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「いやー、剣は使用禁止なんでしょ? 魔法は使うと疲れるし」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「斧とか弓も使えないことはないけど、できるだけ疲れない方法で勝ちたいじゃん?」
ディアーク・E・V・I・ラント「じゃん? ではないわ」
ディアーク・E・V・I・ラント「まぁ、とは言っても、そなたが勝ったことには変わりない」
ディアーク・E・V・I・ラント「望みを言うが良い」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「うーん、まずはお腹空いたから美味しいご飯が食べたいな」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「あとはそろそろ、路銀が尽きてきたからお金も欲しいよね」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「あとは1回で良いから金髪の美人なお姉様になるって言うのもありかな〜」
ディアーク・E・V・I・ラント「待て、待て、待て!! 願いは1番叶えたい願いを1つ。それが世の常識! ことわり!」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「えぇー、ケチ〜どれも些細なお願いじゃん!!」
ディアーク・E・V・I・ラント「ケチって・・・・・・願えば、この世界だって全て手に入るのだぞ?」
ディアーク・E・V・I・ラント「死者の魂を呼び戻せるし、古代の失われし都を一夜にして復興させることも可能なのだぞ」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「うーん、古代の失われた都の復興か〜」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「じゃあ、もう1回、貴方と闘って勝ったらしてもらおうかな?」
ディアーク・E・V・I・ラント「・・・・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「一応、我、簡単に倒せる魔王ではないんだが・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「分かった!! それで、良いから今回の望みを言ってみよ」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「・・・・・・うーん。じゃあ、さ。勇者を辞める、とかはできる?」
ディアーク・E・V・I・ラント「勇者・・・・・・を辞める?」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「うん、何か、私、ちょっと強すぎるみたいでさ」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「パーティーとか組んでも、すぐに俺ら、いなくても君1人で戦えるよね」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「って去っていかれるんだよね」
ディアーク・E・V・I・ラント(まぁ、勇者単独で魔王ボコボコにしてたらな)
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「勇者辞めて、もう1度、誰かと貴方を倒しにくるよ」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「そん時はこれ、使っても良いよね?」
ディアーク・E・V・I・ラント「悪いが、その願いは聞けぬ・・・・・・」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「え? 真面目に考えたのに!! 約束したのに、嘘つくの?」
ディアーク・E・V・I・ラント「聞きたくないのだ・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「我は強い者が好きなのだ。そなたのような、な」
インゲル・ラント「どうだろう? 我と夫婦にならぬか。それなら勇者を辞めずとも願いは叶い放題だぞ」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「うーん。少しイケメンすぎない?」
インゲル・ラント「それは良いだろう?」
バルドハート・R・A・アイゼンシュミット「うん、その方が良いよ。私はどちらと言えばフツメンが好きだしさ」
ディアーク・E・V・I・ラント「フツメンって・・・・・・」
ディアーク・E・V・I・ラント「我、イケメンの方だぞ? 魔王界では!!」
完
魔王らしくない魔王(設定的に)と、勇者らしくない勇者(性格的に)ですね!いろんな要素が詰め込まれた愉快な掛け合いに楽しくなってきます。
最後は「お幸せに~」という気分になったけど、よく考えたら読者そっちのけの長いおノロケ夫婦漫才を見せられてただけだと気づきました。それにしても二人とも回りくどい性格のツンデレでしたね。