ニコラスの贈りもの(脚本)
〇荒れた小屋
ニコラス(サンタなんて今時流行らないよな・・・・・・)
ニコラス(密林やジョイスカイがあれば、プレゼントなんて困らないだろうし)
ニコラス「ワシらの仕事、なくなっちゃったな──」
ニコラス「ぷはっ~!」
ケビン「親方~帰りましたよ──」
ケビン「て、酒くさっ! 真っ昼間から飲まないでくださいよ!!」
ニコラス「そろそろ潮時かのう? 南の島で波に乗るくらいがちょうどええわ」
ケビン「馬鹿なこと言わないでください! 来週は我々にとって最も忙しい時期なんですからっ!!」
ニコラス「サンタに依頼する物好きなど・・・・・・」
ケビン「その物好きなクライアントからですよ」
ニコラス「ふむ、封蝋までしておる。 レトロというか律儀な物好きよ」
〇クリスマス仕様のリビング
父親「サンタ様―― 私たち夫婦には10歳の息子がいます」
母親「しかし、息子は不治の病になりました。 来年を迎えることはないと、医師に宣告されています」
父親「ヒーローアニメが大好きな息子です。 来夏に公演されるショーをどうしても見せてあげたい・・・・・・」
母親「最高の思い出をプレゼントしたいのです! しかし、私たちではどうにもできません」
父親「報酬はいくらでも払います」
母親「本物のサンタ様、どうか息子に時間を与えてくれないでしょうか?」
〇荒れた小屋
ニコラス「時間、かあ・・・・・・。 せっかくなら一年くらい猶予をあげたいが」
ニコラス(──となると、相当骨が折れる。 ”魔王”クラスを狩らんとのう・・・・・・)
ニコラス「おい、ケビン! 近場で狩れるとびっきりの悪魔をピックアップしろ!」
ケビン「悪魔──ですか?」
ニコラス「ああ、どでかい仕事が入っちまった。 久しぶりにSSクラスの依頼だな」
ケビン「確認します」
ケビン「出ました!! この辺だと暴食の王――ベルゼブブです!!」
ニコラス「バアル・ゼブルのせがれか。 羽虫にしてはちと、強いのう・・・・・・」
ニコラス「一週間ほどここを空ける! クリスマスまでには戻るが、ここは任せる」
〇雪山の山荘
ニコラス「行こうか、ルドルフ」
ルドルフ「brrr・・・・・・」
ニコラス(盛大なクリスマスにしようじゃないか)
〇魔界
ニコラス「先代は至高の王と呼ばれておったのに。 ぬしは糞の掃きだめにふんぞり返り、 神のまねごととはなあ・・・・・・」
ベルゼブブ「誰かと思えばニコラス」
ベルゼブブ「――”悪魔殺し”のサンタか」
ニコラス「ほう、そこまで知れ渡っておるか!」
ベルゼブブ「今の時代、サンタは配送業で食っていけないと聞く」
ベルゼブブ「サンタとしての高いスキル・・・・・・ 隠密や飛行を活かして、暗殺を稼業にする輩もいるくらいだ」
ニコラス「そういう奴も少なからずいるな。 まったく、落ちぶれたものよ・・・・・・」
ニコラス「じゃがぬしは相変わらずの暴食ぶりよの! 自身の糞で穢れておっては救いようもない」
ベルゼブブ「御託はいい」
ベルゼブブ「――殺りにきたんだろ?」
ニコラス「話が早くて助かる。 立ち話は腰に響くからのう」
ニコラス「──手短に済ますぞ?」
ベルゼブブ「殺れるもんならな!!」
〇数字
ニコラス「System.Console => Get.Activate.Library();」
ニコラス「Set.Legend.Weapon(Laevateinn);」
〇電脳空間
〇魔界
ベルゼブブ「レーヴァテインだと!? ばかな、神話級の武器だぞ!!」
ニコラス「年寄りだからのう、杖は必須なんだ。 まあ、杖にしてはちと、やんちゃじゃが」
ベルゼブブ「クソッ、一介のプログラマー上がりが!」
ニコラス「青二才に言われとうないわ」
ニコラス「じゃがまあ、複製はお手の物よ──」
〇炎
〇黒背景
〇魔界
ニコラス「さて、勝負あったな。どうする? このままぬしを糞ごと焼き払ってもいいが」
ベルゼブブ「ま、まて、俺の領地の半分をくれてやる! それで手を打たないか?」
ニコラス「ハエの集めた糞など何の役にも立たぬ」
ベルゼブブ「それなら親父が残した財宝を──」
ニコラス「時間をよこせ。 他人に譲渡できる、有形の時間をな」
ニコラス「おぬしにはそれができよう?」
ベルゼブブ「だ、だがそれは──」
ベルゼブブ「わ、わかった!! すぐに用意しよう」
〇魔法陣2
〇クリスマス仕様のリビング
ニコラス(わしには、これくらいしかしてやれんが)
ニコラス(楽しい思い出を作るといい・・・・・・)
ニコラス(メリークリスマス)
〇海辺
ケビン「親方~!」
ニコラス「なんだ、せっかくのバカンスなのに。 忙しないやつよ・・・・・・」
ニコラス「少しは真夏のクリスマスを楽しまんか!」
ケビン「それが、手紙が届きまして・・・・・・」
ニコラス「手紙だ~? 仕事の依頼か?」
ケビン「いえ、どうやら感謝状っぽく!」
ニコラス「この封蝋・・・・・・」
〇クリスマス仕様のリビング
父親「親愛なるサンタ様──」
父親「厳しい寒さの続く季節ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか?」
母親「一年前、貴方に助けていただいた者です」
母親「おかげで、息子は念願のショーを見ることができ、数々の思い出を作ることができました!」
母親「そして、信じられないことに不治の病が快復しました! 先生も奇跡だと驚いていました」
父親「なんとお礼を言えばよいか・・・・・・。 貴方のおかげで私たち家族は今も幸せに暮らしています」
母親「まだまだ寒い時期が続きますが、サンタ様もどうか身体を温かくし、ご自愛ください」
〇海辺
ニコラス「ん? これは──」
ニコラス「ふふっ・・・・・・」
ニコラス「おい、ケビン! ブブのやつ呼んでこい、仕事だ!」
ケビン「はい、ただ今!」
ニコラス(まったく、ガキの笑顔に勝る喜びはねえな)
ニコラス「それじゃあ今日もサンタの仕事とやらを始めようか」
サンタさんかっこいい!
バトルシーンすごくよかったです!
子どもも願いが叶ったどころか、病気まで治って…これもサンタパワーでしょうか。
サンタさん…我々のためにこんなことまでしてくれていたのですね…!
やはり本物のサンタさんは優しい心だけではなく強さも必要なのですかね!
サンタさんかっこいいなぁ。これぞ本物のヒーロー♪願いを叶えるためにこんなふうに裏で魔物と戦って交渉してくれていたなんて、なんて優しいんだ。感謝状をもらってはりきっているところも無邪気で可愛かったです。