ネクタイリング2

サトJun(サトウ純子)

36才の冬(脚本)

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〇モヤモヤ
  9年前の
  たった四ヶ月の恋愛
  そして、突然
  ”お前と付き合うのは無理だ”
  と、言い残して
  涼太は消えた──
  ──あの時、終わったはずだった
  なのに──

〇テラス席
古城玲菜「暖かい陽だまり。 香ばしい香り。賑わう人々の声。 行き違う足音」
古城玲菜「こうしてゆっくりカフェでお茶するのも、久しぶりだな」
古城玲菜「なんか、子育てに追われていて、すっかり忘れてたな。こういう感覚」
綾瀬杏奈「・・・で、聞いてよー! 室長ってば、私をオツボネ扱いするのよ!」
古城玲菜「よほど腹が立っているのか、さっきから同じ事言っている・・・」
倉島昇「杏奈ちゃんにヤキモチやいてるんですよー。きっと」
綾瀬杏奈「やっぱり? 昇もそう思う?」
綾瀬杏奈「そうよねー。私ってば、良く 『お子さんが二人もいるだなんて思えない』って言われちゃうしー」
倉島昇「・・・それって、落ち着いていないってことじゃなくて?」
綾瀬杏奈「はぁ?」
倉島昇「いやいや、杏奈ちゃんが可愛いからだよー きっと」
古城玲菜「ほらほら、こんなところでモメないー!」
古城玲菜「でも、杏奈。 本当に頑張ってるよね。 親に頼らず、一人で・・・」
綾瀬杏奈「ねー!」
綾瀬杏奈「最初はどうなるかと思ったけど、 こうなったらこうなったで、めちゃくちゃ頑張れる自分がいた事に自分でビックリ!」
綾瀬杏奈「不思議とね。 体調も凄く良いの。パワーがみなぎっているっていうのか」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「周りに「可哀想」って思われたくないの」
綾瀬杏奈「『これだから、一人親の家庭は・・・』 とかも、絶対言われたくない」
綾瀬杏奈「子供たちと一緒に幸せになって 『どうよ!』って アイツらを見返してやるのよ!」
綾瀬杏奈「そんな怒りと憎しみが 今の私の原動力になっているの」
綾瀬杏奈「私は絶対にあの二人を許さない」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「なーんてね! 昼ドラなら、こんな感じ?」
倉島昇「脅かさないでくださいよー! マジかと思ったー」
古城玲菜「そう?私はそうであっても、 全然おかしくないと思うわ」
倉島昇「こわー」
綾瀬杏奈「あっ!やだ、もうこんな時間! 休憩終わりだわっ」
倉島昇「急がないと、室長にまた、怒られますよー」
綾瀬杏奈「じゃ、玲菜! 今夜お願いね!」
古城玲菜「うん。任せて! 残業終わったら連絡ちょうだい」
倉島昇「また、シカトされた・・・」
古城玲菜「・・・で、今日はこの時間にどうしたの?」
倉島昇「あ、そうそう! 今日は玲菜さんに用事があって・・・」
倉島昇「うん。いい時間だ!」
倉島昇「三年前に足立部長 また、海外に呼び戻されたじゃないですか」
倉島昇「また、日本に戻ってくるって。 この間、連絡もらって」
古城玲菜「そ、そうなんだ・・・」
倉島昇「で、サプラーイズ!」
「玲菜!久しぶりぃ!」
古城玲菜「涼太・・・さん」
  あの、ネクタイリング・・・

〇テラス席
  ──3年前、再会した時
足立涼太「仕事の時はしてるよ!今も」
足立涼太「ほら。今も持ってるし」
岩本玲菜「ど、ど、ど、どういうつもりよ!」
足立涼太「言ったじゃん。 今も玲菜が一番好きだって」
  涼太は変わっていなかった──
  でも・・・

〇テラス席
足立涼太「玲菜、髪切ったんだ! かぁーわぁーいーい!」
  そう言いながら
倉島昇「そうそう!玲菜さん、 髪切った方が若く見えますよね?」
足立涼太「惚れ直しちゃうなー」
  3年前に再会した時も
足立涼太「やっぱ玲菜なんだよなぁー」
  一回も誘ってくれなかったよね・・・
古城玲菜「・・・あのねぇ」
足立涼太「おっ、わりぃ!」
「おう。どうした? その後、体調大丈夫か?」
  そう。涼太には奥さまがいて
「夕飯は俺がなんとかするから。 美優のピアノのお迎えも間に合わせる」
  溺愛している娘さんもいる
「だから、安心して寝てろ」
倉島昇「部長の家族第一!のところは 相変わらずっスねー」
古城玲菜「私にも、愛する夫がいる。 子供たちもいる」
古城玲菜「それが一番よね!」
  だけど、なんだか
  イライラする
足立涼太「ごめん、ごめん!」
古城玲菜「奥さま?体調悪いの?」
足立涼太「ああ。日本に帰ってきて、いろんな手続きとかで忙しかったせいかなー」
倉島昇「あ、そう言えば、玲菜さんは奥さんと会った事があるんでしたねー」
足立涼太「え、え、えっ!? そうなん!? いつ!?」
倉島昇「あ、あれ? 勘違いだったかな?」
倉島昇「やばっ。 部長に内緒で会ってたんだっけ?」
倉島昇「あ、もうこんな時間か! そ、そろそろ会社に戻らないと! じゃ、お先に失礼しますっ」
足立涼太「美桜に会ったのか?」
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「見に行った事があるのよ。 娘さんの学校を調べて」
足立涼太「なんで、そんな事をした?」
古城玲菜「涼太が私に」
  嘘をついていたからよ

次のエピソード:文彦の乱

コメント

  • 嬉しいです、season2!
    玲菜さんと杏奈さん、取り巻く環境が一変した2人なのに、やっぱり杏奈さんの愚痴から入るところに笑ってしまいました。
    登場人物、様々な変化が想像される中、昇さんの安定のキャラには安心してしまいますw

  • 続編ありがとうございます(*^^*)
    からの、玲菜と涼太の対決〜!
    どうなるどうなる?
    この状況からは焼けぼっくいに火がつく!てなことにはならないかしら…?

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