〇綺麗な部屋
　　私は影の薄い女です
　　まだ残業してるのに電気を消され、合コンを途中で抜けても気が付かれません
　　もちろん、頼んだ料理は私だけ出てきません
　　そして、人ではないものすらも──
　　－ある日－
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri、●●駅までの行き方を教えて」
Seri「・・・」
　　シカトは日常茶飯事です
　　－別の日－
浜野　彩（はまの　あや）（あれ、このファイルどうやってロックするんだっけ？）
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri 、ロックのかけ方を教えて」
浜野　彩（はまの　あや）「えーと・・・」
浜野　彩（はまの　あや）「ロックをかけてじゃなくて」
浜野　彩（はまの　あや）「・・・」
　　ーまた別の日ー
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri 、明日の天気を教えて」
Seri 「明日の天気を教えてを検索しますか」
浜野　彩（はまの　あや）（丸投げなの!?）
　　ーそして今日ー
浜野　彩（はまの　あや）（えーと、着替えどれにしようかな──）
浜野　彩（はまの　あや）（ん？）
浜野　彩（はまの　あや）「え？ なに──ってイタタタタ！」
浜野　彩（はまの　あや）「もしかして、コレがギックリ腰というものなの!?」
浜野　彩（はまの　あや）「なんとか助けを──」
浜野　彩（はまの　あや）「だめだ!! 痛くて１ミリも動けない！」
浜野　彩（はまの　あや）「しかたない 救急車を──」
浜野　彩（はまの　あや）「スマホ、テーブルの上だった！」
浜野　彩（はまの　あや）「どうしよう・・・」
浜野　彩（はまの　あや）「うう・・・」
浜野　彩（はまの　あや）「そうだ！ Seriなら言葉で操作出来るはず！」
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri ！」
Seri 「・・・」
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri ！助けてぇ」
Seri 「はい、なんでしょう」
浜野　彩（はまの　あや）「お願い、救急車を呼んで！」
Seri「『救急車は、傷病者を病院などの医療施設まで迅速かつ安全に搬送するための車両である』」
浜野　彩（はまの　あや）「ウィキペディアの『救急車』の項目読み上げないでぇ」
浜野　彩（はまの　あや）「うう、なんて言えばいいんだろう──」
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri 、119番に電話をかけて！お願い！」
Seri 「・・・」
浜野　彩（はまの　あや）（お願い、伝わって！）
Seri「・・・」
浜野　彩（はまの　あや）（まさか109に電話したりしないだろうな？）
Seri「119番に通話を開始します」
浜野　彩（はまの　あや）「よかった！伝わった」
浜野　彩（はまの　あや）「なんとか通報はできたけど──」
浜野　彩（はまの　あや）「やだ!? この格好を救急隊の人に見られちゃう!?」
浜野　彩（はまの　あや）「こればかりはSeriに頼んでもどうしようもないな」
浜野　彩（はまの　あや）「でも、通じあえるようになった今なら慰めてはくれるかも・・・」
浜野　彩（はまの　あや）「Hey Seri 、こんな姿見られたら恥ずかしいよぉ」
Seri「見られて恥ずかしいほどのものをお持ちだったでしょうか」
浜野　彩（はまの　あや）（・・・コロス!!）
　　ー認識されない女ー