メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード54(脚本)

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〇可愛らしいホテルの一室
  食事を済ませ、宿屋に戻った4人はこれからについて話し合っていた。
アイリ「それで・・・。 その女の子は「闘機祭で優勝すればニルについて教える」って言ったのよね?」
ニル「うん」
エミリア「優勝とニルとなにか関係があるのだろうか・・・?」
エミリア「まぁいい、とにかくニルも闘機祭に出るんだな?」
ニル「そうだね。 優勝できるかわからないけど、やれるだけやってみるよ」
エミリア「では、次は皇都メビアに行くということは変わらないな」
アイリ「そうね」
ニル「うん」
エルル「わかりました!」
アイリ「ねぇ、アドラから皇都までは結構距離があったわよね?」
アイリ「馬車でどのくらい?」
エミリア「いや、ハイドン帝国では長距離移動に馬車は使わないぞ」
アイリ「馬車を使わないの? じゃあどうやって移動するのよ。 ギアーズに乗るとか?」
エミリア「そういうサービスもあるみたいだが、今回は別のものを使う」
ニル「別のものって?」
エミリア「ふふふ、それは見てのお楽しみだ」
エミリア「きっと驚くぞ?」

〇外国の駅のホーム
エルル「な、な、な、なんですかこれはああああ!」
エミリア「こら、エルル、そんな大きな声を出すもんじゃない」
エミリア「これは『機車』というものだ」
エルル「すごい・・・。 こんな大きな機械を見たのは初めてです」
ニル「この国に来てからいろんなものを見たけど、すごいね・・・」
エルル「どうやって動いてるんでしょうか!」
  『機車』と呼ばれたそれはそこかしこから蒸気を出していて、近づくとギアーズのものと思しきパーツが使われていた。
  ピィィィィィッッッッッ!!
ニル「うっ・・・」
  大きな笛の音にニルは思わず耳を塞いだ。
エルル「ニルさんニルさん! もうすぐ発車するみたいです! 早く乗りましょう!」
ニル「うん! 今行くよ!」

〇外国の駅のホーム
  4人は機車に乗り込むと、空いている客室へと入った。
  中に入ると、外の喧騒が嘘のように静かで快適な空間が広がっていて、一行は荷物を置いてほっと一息つく。
  荷物を置くとすぐにエルルは「機械を見てくる」といったきり、出ていってしまった。
  あたりに響き渡っていた警笛の音が鳴り止むと、窓の景色がゆっくりと動き出す。
ニル(結局、ここに来るまで俺の正体についてなんの情報も得られなかった)
ニル(あの、ミリアドラって言ってた女の子は俺のことをなんで知ってるんだろう・・・)
ニル(右腕に見覚えがあるみたいだったけど)
ニル(全部、皇都まで行けばわかるのかな・・・)
???「・・・・・・」
ニル(・・・?)
  ニルはふと視線を感じてあたりを見回した。
  よく見ると、動き出したホームにこちらをじっと見つめる人影がある。
  こちらからは、顔がはっきりと見えない。
???「・・・・・・」
  しかし「機車」はあっという間に加速し、その人影もすぐに流されてしまった。
ニル「・・・?」
ニル(気のせいかな・・・。 でもなぜか懐かしい感じがしたな)

〇外国の駅のホーム
アイリ「すごい・・・。本当に速いのね」
エミリア「あぁ、快適・安価でおまけに速いと来てる」
アイリ「そりゃ馬車よりこっちを使うわね」
ニル「そうだね・・・」
ニル「あれ? エルルは?」
エルル「ここにいますよ!」
ニル「うわっ!」
エルル「すごいんですよ、この「機車」! ギアーズのコアを核に据えながらもエネルギーを消費せずに循環して・・・」
アイリ「エ、エルル、その話はまた今度にしましょ」
  4人は荷物をまとめて機車を降りると、駅から外に出た。
  すると・・・

〇西洋風の駅前広場
ニル「うわ・・・」
  目の前には高い建物が立ち並び、ギアーズや人が大通りを埋め尽くすくらい歩いていた。
ニル(これが・・・、皇都メビア・・・。 メルザムも本当に大きくて活気があったけど)
ニル(こっちも同じくらい・・・。 いや、もしかしたら皇都のほうが人が多いかも・・・)
ニル(しかも建物も大きくて、通りを大きなギアーズや機械が通るから街全体が巨大なように感じる・・・)
アイリ「なにもかもが巨大な街ね・・・」
エミリア「これがハイドン帝国の首都・皇都メビアだ」
  4人は階段を降りて、駅前の広場に降りるとギアーズの馬車をつかまえて乗り込んだ。

〇ホテルのエントランス
エミリア「すまない、誰かいるか!」
  一行は宿につくと、馬車の支払いをすませ、中へと入った。
老婦人「はいはい、今行きますよ~」
  エミリアが声をかけると奥から老婦人が出てきた
老婦人「あら、おきれいな騎士様ねぇ。 なにか御用?」
エミリア「宿を探しているのだが、泊まれるか?」
老婦人「はいはい、大丈夫ですよこちらにサインしていただけるかしら?」
エミリア「わかった。 それと、手紙を出したいのだがいいか?」
老婦人「あぁ、それならここでお預かりしますよ 。 あとで竜騎便のところに持って行きますからね」
エミリア「ありがたい。よろしく頼む」
老婦人「・・・・・・」
老婦人「それにしてもあなた大変ねぇ」
エミリア「ん?」
老婦人「こんな大きなお子さんを3人も連れて旅行だなんて・・・」
老婦人「旦那さんは先にこっちに来てるの?」
エミリア「ち、ちがっ! 彼らは同僚だ! 私の子ではない!」
老婦人「え、あ、そうなの? あらやだ、私勘違いしちゃって・・・」
老婦人「年も離れてるみたいだしてっきりそうなのかと・・・。 ごめんなさいね~おほほ」
「・・・・・・」
エミリア「髪の色も違うしどう見ても子どもには見えないだろう・・・」
エミリア「・・・・・・」
エミリア「なぁ、私はそんなに老けて見えるか?」
アイリ「え!? そ、そんことはないんじゃないかしら?」
エルル「そ、そうですよ! エミリアさんはとっても若いです」
エミリア「・・・ニルはどう思う?」
ニル「えぇっ!? い、いや、エミリアはそんな風には見えないよ! うん!」
エミリア「・・・・・・」
エミリア「そうだな! 見えないよな!」
「・・・ふぅ」

〇可愛らしいホテルの一室
アイリ「それで? とりあえずこれからどうするの?」
  4人は宿につくと荷物を下ろして思い思いにくつろいでいた。
エミリア「まずは闘機祭が始まるまでの1週間、どうするかだな」
ニル「うん、俺は予定どおり、図書館で俺みたいな人間について調べたいと思ってる」
ニル「ミリアドラは優勝すれば俺について教えてくれるって言ったけど、自分でできることはしておきたいし」
アイリ「ふーん・・・。エミリアは?」
エミリア「私はいろいろあるな。 旅の間に痛んだ武具の修繕に、使った消耗品の補充・・・」
エミリア「それと知人に会いに行こうと思っている」
アイリ「そっか。 エミリアは前にここに来たことがあるんだものね」
アイリ「エルルは?」

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