読切(脚本)
〇高級マンションの一室
〇高級マンションの一室
オリン「おーい!中継入ったみたいだよ!」
バラ「観よう!観よう! Aブロック、応援してるんだよ俺、実はさ」
オリン「確かに頑張ってるよな、解毒剤みたいな薬も作ったし。 案外頭脳レベル、高いのかもしれないね」
バラ「あれ? おいおい、せっかく解毒剤作ったのに自分のブロックを優先してるよ〜。 それは駄目だよ〜」
オリン「て言うか、高額で売りつけてるじゃん。 この期に及んで、儲けようとしているわ。 あり得ないなあ・・・」
バラ「一斉に解毒剤を全体に配らないと、 意味ないだろ〜全く・・・」
オリン「前言撤回、やっぱ頭脳レベル低すぎるわ💦」
バラ「やばいよ、Dブロックの方が安全だと思って、CブロックがDブロックに大量移動している。攻撃が始まっちゃってるよ」
オリン「ハハッ、どこ行っても変わんないのに、分かってないんだなあ」
バラ「所詮、頭使ってもここら辺が限界なのかもな」
〇入場ゲート
ゲートの前には大勢が押し寄せ、大声で叫んでいる。
「駆除反対!駆除反対!」
ブレロ「納得いくまで、きちんと説明をして下さい!️」
〇魔法陣のある研究室
ポルック「例のグループですか?」
レグル「はい、反対運動のブレロが、会いたいと言ってます」
ポルック「(ため息)分かりました。お連れして下さい」
ポルック「お話し、お伺いましょうか?」
ブレロ「どうしても駆除するつもりですか?」
ポルック「この決定はあらゆる角度から考慮し、全てのバランスを整えるためには、仕方がないということは、あなたも分かっているはずです」
ブレロ「・・・」
ポルック「私の決定ではなく、全体が決定したのですよ」
ブレロ「そんなこと、分かってます!」
ポルック「じゃあ今さら何を?」
ブレロ「もしかしたら、気付くかもしれない・・・」
ポルック「(ため息)殺虫剤を撒いたのは、初めてではないのですよ?それでも気付かなかったじゃないですか」
ポルック「あの小さな球体の中でブロックを作っているのもナンセンスなのに、違うブロックを攻撃までしているんです、ありえません!」
ブレロ「ブロックではなく、あの生命体は国と呼ぶそうです」
ポルック「国だかブロックだか知りませんが、我々から見たら、どれも同じ害虫でしかないのに分断するなんて、とてつもなくナンセンスです」
ブレロ「分断は良くないって分かっている害虫もいますよ、多少は・・・」
ポルック「そんな流暢な事を言っている時間は、もうありません!」
ブレロ「でも、どんな害虫であっても、1つの生命体を完全駆除するのは、危険な行為ではありませんか?」
ポルック「じゃあお聞きしますが、あの害虫が増殖した結果、どれぐらい多くの生命体が絶滅しているか知っていますか?」
〇山並み
ポルック「生命体にとって必要不可欠な山」
〇炎
ポルック「害虫が気候変動を起こしたので、雨が降らず、山火事が頻繁に起こっている」
〇沖合
ポルック「生命体を有害な紫外線から守る空のオゾン層」
〇沖合(穴あり)
ポルック「そのオゾン層を、あの害虫は破壊したのです」
〇アマゾンの森
ポルック「多くの森も破壊し、他の生命体の生きる場所を奪い続けたのです。 それは何故か?」
〇渋谷の雑踏
ポルック「害虫が増殖し過ぎたからなのです」
〇魔法陣のある研究室
ポルック「このままだと生命体だけではなく、球体自体もいずれ消滅してしまうのです」
ブレロ「もし球体自体が消滅したら、全体に歪みが起きてしまう・・・」
ポルック「そうです。それだけは回避しなくてはいけないのです」
ブレロ「・・・分かりました。 次の殺虫剤はすぐですか?」
ポルック「はい、今回は殺虫効果も強いので、全駆除するのに時間はかからないでしょう」
〇テレビスタジオ
アナウンサー「速報です。 新たな変異株の感染が、各国で確認されました」
アナウンサー「政府は外国からの入国を全面禁止し、水際対策を強化する方針です」
〇高級マンションの一室
オリン「それにしても、なんで同じ害虫なのに攻撃しあうのかなあ?」
バラ「なんか聞いたけど、少しずつ色が違うらしいよ」
オリン「えっ?そうなの?俺にはその違いが分からないんだけど」
バラ「まあそれだけが攻撃の理由じゃないかもしれないけど、やっぱ増え過ぎると共喰いするんだろうね」
オリン「へえ〜、俺らから見たら、全部同じ害虫にしか見えないのにね」
バラ「それな!」
〇魔法陣のある研究室
ポルック「同じ失敗を繰り返す事だけは、避けたい」
ブレロ「全生命体が消滅した、あの赤い球体の事をおっしゃっているのですか?」
ポルック「そうです。 あの害虫は火星と名付けているようですが、その赤い球体に移住を考えているとか、いないとか・・・」
ブレロ「まさかそんな馬鹿げた考えを? 本気で?」
ポルック「その前に自分の球体にいる他の生命体とコンタクトを取るべきなのに(笑) やはり低レベルだから無理なのでしょう」
ブレロ「残念ですね・・・本当に、残念です」
〇地球
害虫が駆除される前日
たしかに人間って、他の生命体からしたらとんでもない害虫なのかもしれないですね。他の命は犠牲にしても、人間だけが優先されてて、人間ってそんなに偉いのかなと考えさせられます。
私達人間がこの地球の支配者かのような行動で多くの生き物や動物の成り立ちを壊してしてしまったのだと考えさせられました。共存という事が全く念頭にないから、薬という化学を生み出してしまったのでしょうね。
人間として、まず、「すみません」と謝りたくなりました。このお話の中で害虫は人間として描かれているけれど、私たちが害虫害虫として普段駆除している動物や虫たちも、私たち人類と同じように、会話したり社会があったりしているのかもしれない。