先輩の第二ボタンを欲しがる女(脚本)
〇学校の屋上
カズキ「あー、終わったな、卒業式・・・ これで高校生活ともお別れか・・・」
ミナミ「・・・あの!先輩!」
ミナミ「・・・」
ミナミ「第二ボタンください!」
カズキ「え!?」
カズキ「いきなり・・・そんな・・・」
ミナミ「お願いします!」
カズキ「じゃ、じゃあ・・・ ちょっと待ってて・・・」
ミナミ「違うんです!」
カズキ「は?」
ミナミ「制服の第二ボタンじゃなくて・・・」
ミナミ「先輩の第二ボタン」
カズキ「・・・どういうこと?」
ミナミ「・・・」
ミナミ「人間社会に秘密裏に紛れ込む アンドロイドスパイ・・・」
ミナミ「不測の事態が発生した場合、 体に仕掛けられた爆破装置により その存在は消滅する・・・」
ミナミ「その爆破装置の第一ボタンは、 常に状況を監視している 組織上層部が保有」
ミナミ「そして、第二ボタンは・・・」
ミナミ「アンドロイドスパイ自らが保有し、 有事の際には、 自らを爆破させ消滅させる」
ミナミ「・・・ですよね?先輩」
ミナミ「こと、HS17さん?」
カズキ「・・・」
カズキ「お前、何者だ?」
ミナミ「私はミナミ・・・こと、HS19」
ミナミ「あなたの後輩・・・」
ミナミ「いや、後継機種です」
カズキ「・・・同族か」
カズキ「なぜ俺の第二ボタンを欲しがる?」
ミナミ「最終試験です」
カズキ「最終試験・・・?」
ミナミ「後継機種というのは、 実はまだ仮で・・・」
ミナミ「最終試験は・・・」
ミナミ「HS17、あなたを爆破し消滅させること」
カズキ「・・・そういうことか」
ミナミ「アンドロイドスパイは ふたりもいらない・・・」
ミナミ「必要なのは、 淘汰され生き残った者のみ」
ミナミ「・・・先輩の第二ボタン、 奪って押させてもらいます!」
ミナミ「・・・せいっ!!」
カズキ「・・・いきなり派手にやってくれるねぇ」
カズキ「先輩への挨拶として・・・」
カズキ「礼儀がなってねぇなぁ!!」
ミナミ「・・・くっ!」
カズキ「うらぁっ!」
ミナミ「なかなかやりますね・・・」
カズキ「・・・お前もな」
ミナミ「はあああああっ!!」
カズキ「うおおおおおっ!!」
ミナミ「キャーーーーーッッッ!!!!」
カズキ「・・・」
カズキ「悪いな、これも アンドロイドスパイの宿命・・・」
カズキ「HS19! お前の第二ボタン、押させてもらう!」
カズキ「・・・」
カズキ「で、どこに持ってるんだ?」
カズキ「えー、胸ポケット・・・違う!」
カズキ「シャツ・・・ いや、もう少し下か?」
カズキ「ス、スカートの中・・・」
???「コラァァァァァッ!!!!」
カズキ「ヤ、ヤベッ!用務員のナガタ・・・!」
ナガタ「キサマぁ! 屋上でなんちゅう ハレンチなことを・・・!」
カズキ「い、いや、違・・・」
ナガタ「卒業式の日に、いったいなにを 卒業しようとしとるんだぁ!」
カズキ「違うんです!違うんですって!」
ナガタ「制服もボロボロ・・・ ケダモノか、キサマぁ!」
ナガタ「・・・警察だ」
ナガタ「警察を呼ぶ!」
カズキ「ま、待って・・・それだけは!」
カズキ「・・・」
カズキ「仕方ない・・・これも宿命か・・・」
ナガタ「・・・やれやれ、最近の若いもん」
ナガタ「いや、後継機種は血の気が多くて困る」
ナガタ「まだまだ道は譲らんよ・・・」
ナガタ「アンドロイドスパイ、SW56として、ね」
何という怒涛の展開w😂 途中から無駄にカッコよくて笑いました🤣
そしてこの目まぐるしい展開の中でさりげなく「卒業式の日に何を卒業しようとしとるんじゃあ!」とワードで不意打ちしてくる所もお見事でした🤣🤣
次から次へと変わる展開にワンシーンでここまで!と驚きでした。ほのぼのした冒頭からは想像できないラストで、とても面白かったです!
卒業式のステキな恋物語かと思ったら、突然のSF要素、そしてバトル……怒涛の展開に驚きっぱなしです。そして何と見事なオチ!