魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第19章 それぞれの思い(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

今すぐ読む

魔道士は虹色の夢を見る
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇クルーザーのデッキ
ヴィオラ・コーディエ「お、着替えた?」
ミモザ・クラリティ「はい・・・」
ヴィオラ・コーディエ(エレスティアに着いたら 父さんをムーヴ村に連れて行きたいな)
ヴィオラ・コーディエ(昨日は急いでたから エレンの教会に預けてきちゃったけど)
ヴィオラ・コーディエ(母さんと一緒のほうが 父さんも安心して眠れるよな)
ミモザ・クラリティ「・・・ヴィオラ様 あの・・・」
ヴィオラ・コーディエ「うん?」
ミモザ・クラリティ「お聞きしたいことが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「しかし、どうにもわからんな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえは指摘されるまで 自分の気持ちを自覚していなかった」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「そしてオレたちがなにを言っても 認めようとはしなかっただろう」
ノエル・エンジェライト「・・・そう・・・ですね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「こんな事態が起きなければ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザへ踏み出そうとは 思ってもいなかったのだろう?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ ・・・はい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「藪をつつかなければ 蛇は出なかったはずだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それなのに、なぜ ミモザの記憶を操作してまで」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なんにせよ・・・ 学園長との対立は免れない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・つらいのなら 戦いはオレとヴィオラに任せればいい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「いざというとき足を引っ張られては困る」
ノエル・エンジェライト「・・・いいえ」
ノエル・エンジェライト「これ以上逃げるわけにはいきませんから」
ノエル・エンジェライト「父からも・・・ 自分の感情からも」
シグバート・フォン・ブラッドショット「そうか・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・それにしても」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえの恋愛感情と学園長の目的 ・・・どう関係しているんだ?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇中世の街並み
研究員「クルラナを滅ぼした悪魔が 生きている・・・!?」
キープレート学園長「ええ 噂ですが・・・」
キープレート学園長「自分を処刑しようとしたディアマンテを 今度こそ滅亡させるかもしれません」
研究員「まさか・・・ そんなことが・・・」
キープレート学園長「わたしたちの目的は 神器を集めることだけではない」
キープレート学園長「魔道士として 民を守らねばなりません」
研究員「はい、学園長!」
研究員「ディアマンテの人たちは わたしどもにお任せを!」
キープレート学園長「頼みましたよ」
キープレート学園長「・・・ところで 仮面の戦士の動向は?」
研究員「エレスティア調査隊によると 数日前、エレンで見かけたそうです」
研究員「調査隊には見向きもせず 西へ向かったとか」
キープレート学園長「西・・・?」
キープレート学園長(王都エレンの西といえば ムーヴという村があったはずだ)
キープレート学園長(なぜ、あんな田舎村へ・・・?)

〇クルーザーのデッキ
ミモザ・クラリティ「あの方は本当に・・・ ただの同級生なのですか?」
ヴィオラ・コーディエ「あの方・・・って」
ミモザ・クラリティ「・・・ノエル様です」
ミモザ・クラリティ「どうして・・・ あんなふうに、わたしを・・・」
ミモザ・クラリティ「傷ついたような、悲しそうな目で わたしを見るのですか!?」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザのせいじゃないって! 学園長が・・・」
ミモザ・クラリティ「ご・・・ごめんなさい」
ミモザ・クラリティ「でも・・・ でもわたし・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・あの方はわたしを 守ると言ってくださいました」
ミモザ・クラリティ「それなのにわたしは・・・ あの方になにもできない」
ミモザ・クラリティ「どうして・・・」
ミモザ・クラリティ「どうしてわたし・・・ なにも覚えていないの・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ミモザ・・・」

〇西洋の円卓会議
デアネイ・フォン・スペサルト「父上の野望を止めて プレーンのヘンリー王の台頭を防ぐ」
デアネイ・フォン・スペサルト「そんな方法、ほんとにあるのかな」
宰相グレゴリー・シーン「姫様がたの一件で 陛下の人望は失われました」
宰相グレゴリー・シーン「これで陛下がプレーンへ侵攻すれば」
宰相グレゴリー・シーン「国民の不信感はさらに募るでしょうな」
デアネイ・フォン・スペサルト「そうだけど・・・ さすがに父上もそんなことはしないと思う」
デアネイ・フォン・スペサルト「ブラッドショットやカーネリアが 黙ってないはずだもの」
デアネイ・フォン・スペサルト「オペラ様はたぶん レオナ様に加勢するだろうし」
宰相グレゴリー・シーン「・・・殿下」
宰相グレゴリー・シーン「・・・わたしは先代から スペサルト王にお仕えしていました」
宰相グレゴリー・シーン「殿下がお生まれになった日のこと 昨日のことのように思い出せます」

〇城の救護室
老臣グレゴリー・シーン「頼もしい跡継ぎが生まれたと 陛下は大層お喜びでした」

〇西洋の円卓会議
宰相グレゴリー・シーン「恐れ多いことですが わたしは殿下を孫のように思っております」
宰相グレゴリー・シーン「わたしの心残りは・・・」
宰相グレゴリー・シーン「王となったあなたにお仕えできないこと ・・・それだけです」
デアネイ・フォン・スペサルト「グレゴリー・・・?」
宰相グレゴリー・シーン「わたしの愛したスペサルトを ・・・どうかお守りください」
宰相グレゴリー・シーン「殿下・・・ ご武運を!」
デアネイ・フォン・スペサルト「待ってよ、グレゴリー!」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・なにをするつもりなの・・・?」

〇海辺
シグバート・フォン・ブラッドショット「今日の日暮れまでにはエレンへ着くだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「明朝、教会へ寄って ムーヴ村へ行き・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それからディアマンテへ向かうぞ」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、しゅっぱーつ・・・」
???「見つけたぞ、賞金首」
賞金稼ぎパステル「金のためだ 悪く思うなよ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえたちは・・・」
賞金稼ぎトーナル「他の奴らはどうでもいいが お姫様は殺すなよ」
賞金稼ぎパステル「生かして捕らえりゃいいんだろ?」
賞金稼ぎパステル「殺すほうが楽だけど、しょうがねえ」
賞金稼ぎトーナル「わかっているとは思うが 金髪のほうがお姫様だぞ」
賞金稼ぎパステル「了解!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「燃えろ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえの相手はオレだ!」
賞金稼ぎパステル「狩りの時間だぜ!」
ヴィオラ・コーディエ「させるかよ!」
ヴィオラ・コーディエ「行くぞッ!」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様・・・!」
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさん 下がっていてください」
ミモザ・クラリティ「でも・・・」
ノエル・エンジェライト「心配は無用です」
ノエル・エンジェライト「あの程度の敵に負けはしませんから」
ミモザ・クラリティ「あ・・・ノエル様!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」

〇綺麗な港町

〇教会の中
キープレート学園長「すみません 伺いたいことがあるのですが」
神官「どうされました?」
キープレート学園長「仮面の・・・いえ」
キープレート学園長「白い鎧に青い髪の戦士を ご存じありませんか?」
神官「その方はお亡くなりになりました」
キープレート学園長「・・・死んだ?」
神官「つい昨日のことです」
神官「赤い髪の少年たちが 彼の遺体を預けに来ました」
神官「急ぎだと言って、後日また来ると」
キープレート学園長「赤い髪・・・」
神官「お知り合いですか?」
キープレート学園長「・・・その者の遺体 わたしが請け負います」
キープレート学園長「その赤い髪の少年は 水色の髪の少年と一緒だったでしょう」
キープレート学園長「紫色の髪の少女も一緒にいたかと」
神官「ええ、確かに その3人組でした」
キープレート学園長「その少年はわたしの息子です」
キープレート学園長「自分の代わりに遺体を回収してほしいと 息子に頼まれましてね」
神官「承知しました 少々お待ちを」
キープレート学園長(アイオが死んだ・・・)
神官「お待たせいたしました」
神官「身元の確認をお願いいたします」
キープレート学園長「アイオ・コーディエ・・・」
神官「どうかなさいましたか?」
キープレート学園長「・・・いえ」
キープレート学園長「・・・生きていたときとは ずいぶん変わってしまいました」
神官「・・・ええ」
神官「ムーヴ村で安らかに眠らせてあげましょう」
キープレート学園長「・・・そうですね」
神官「あなたに神のご加護があらんことを」

〇海辺
賞金稼ぎパステル「こんなに強いなんて 聞いてねえぞ!?」
賞金稼ぎトーナル「覚えてろよ!」
ヴィオラ・コーディエ「待てっ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「深追いするな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まもなく日没だ 野営の準備をするぞ」
ミモザ・クラリティ「・・・皆さん お怪我はありませんか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ああ、問題ない」
ヴィオラ・コーディエ「しぶとい奴らだったけど あんま強くなかったし」
ノエル・エンジェライト「そうですね」
ミモザ・クラリティ「それは・・・なによりです」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それより急いで移動するぞ」
ヴィオラ・コーディエ「よし、行こう!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「ミモザさん、行きましょう」
ミモザ・クラリティ「あ・・・ は、はい・・・」

〇空

〇森の中
ヴィオラ・コーディエ「腹減ったー・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「釣果が思わしくなかったからな」
ヴィオラ・コーディエ「しょうがないだろ! 夜釣りなんかしたことないし」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートこそ 毒キノコばっか採ってきただろ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「キノコの見分けなど できるわけないだろうが」
「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・やめとこうぜ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ああ」
ヴィオラ・コーディエ「明日はエレンの料理を 腹いっぱい食べたいな!」
ヴィオラ・コーディエ「アクアパッツァ、カルパッチョ 魚介のシチュー・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「やめろ! 余計に腹が減るだろうが」
ミモザ・クラリティ「・・・あの・・・」
ヴィオラ・コーディエ「うん?」
ミモザ・クラリティ「・・・申し訳ありません」
ミモザ・クラリティ「わたしのせいで・・・ 皆さんに迷惑をかけてしまって」
ノエル・エンジェライト「そんなことはありません」
ヴィオラ・コーディエ「そうだよ!」
ヴィオラ・コーディエ「だいたいさ、悪いのは あのオッサンと学園長だろ」
ミモザ・クラリティ「でも・・・わたしのせいで 皆さんの負担になっているのが苦しくて」
ミモザ・クラリティ「わたしでは・・・ 皆さんのお役に立てないのに」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・なにを言い出すかと思えば」
シグバート・フォン・ブラッドショット「自分の無力を嘆く前に すべきことがあるだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それとも・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレたちに迷惑をかけるから 城に戻りたいのか?」
ミモザ・クラリティ「い・・・いえ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「おい、シグバート・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ならば、自分ができることを 考えるべきではないのか?」
ノエル・エンジェライト「それが・・・ 記憶を失った婚約者にかける言葉ですか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「婚約者だと?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ナギットはブラッドショットを愚弄した」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ナギットの娘と結婚など するわけないだろう!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「今回のことは母上に報告し 正式に婚約解消をする」
ノエル・エンジェライト「・・・シグバートさん」
ノエル・エンジェライト「発言を撤回する気はありませんか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「あるわけないだろう」
ノエル・エンジェライト「・・・そうですか」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ノエル!」
ミモザ・クラリティ「ノエル様・・・!」
ノエル・エンジェライト「貴方のような人に・・・ ミモザさんは任せられません」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なぜ最初からそう言わなかった?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえが初めから 自分の気持ちを認めていれば」
シグバート・フォン・ブラッドショット「こんなことにはなっていない!」
ヴィオラ・コーディエ「シグバート!」
ミモザ・クラリティ「ノエル様、おやめください!」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ふん」
ヴィオラ・コーディエ「どこ行くんだよ?」
「もう休む」
ミモザ・クラリティ「シグバート様・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ(あー、もう! なんでこうなるんだよ!?)

〇洞窟の深部
キープレート学園長「・・・目覚めよ」
キープレート学園長「おまえの役目は わが命令に忠実に従うこと」
キープレート学園長「よいですね?」
アイオ・コーディエ「・・・御意」

次のエピソード:第20章 火種

ページTOPへ