ブーメランな女

孫一

ブーメランな女(脚本)

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〇大衆居酒屋
  ~居酒屋~
上野「それで北原先輩がまた書類を間違えたんです」
上野「毎回突き返す方の身にもなれ!」
武田「ほぉ」
上野「どう思います? 毎回同じミスをする人」
上野「人間は頭を使ってなんぼです」
上野「学習しない人はダメ!」
武田「そうね」
上野「それに仕事も遅い!」
上野「毎日残業で大変だ! って言うけど」
上野「そもそも残業する必要は無いんです」
上野「私語を慎め!」
上野「黙って仕事に集中すればミスも残業も無くなる!」
上野「それを理解せず「俺だけ仕事が多い!」」
上野「多いんじゃない! お前がバカなだけだ!」
武田「まあね」
上野「しかも話すことは悪口ばかり!」
上野「誰々が仕事出来ない 上司のせいで今日も残業」
上野「挙句の果てに私に向かって」
上野「上野が資料を突き返すから俺の残業が増える!」
上野「って言ったんです!」
上野「ミスを見付けた私が悪者!」
上野「悪口の前に自分の行いを正せ!」
武田「それはそうだけど」
上野「ね!」
武田「でも流石にツッコむけどさ」
武田「君、全部ブーメランだからね」
上野「え?」
武田「全発言、自分に返って来ているよ」
上野「・・・・・・」
武田「上野も仕事遅いじゃん」
上野「はい」
武田「俺、総務部だから皆の勤務状況を知っているのよ」
武田「二人とも同じくらい残業してるじゃん」
上野「はい」
武田「君の仕事が遅い理由はさ」
武田「喋ってるからじゃん。部署の違う俺のところへ来て」
武田「もう戻れって言うまで居座る」
上野「はい」
武田「喋ってもいいよ? 息抜きは必要だ」
武田「でもそれなら残業するな」
武田「百歩譲って残業してもいいけど」
武田「北原さんのことをとやかく言うな」
上野「うーん」
武田「仕事の中身もさ。すげぇ間違えるじゃん」
上野「はい」
武田「この間違った資料を作ったのは誰だ!」
武田「担当:上野」
武田「またかよ! って何度思ったか」
武田「間違えるのは仕方無い。人間だから」
武田「でも同じミスはするな」
上野「あー」
武田「そして人の悪口はやめろ」
武田「いつツッコもうかなって思ってたらさ」
武田「悪口を言いながら「悪口の前に自分の行いを正せ!」って言うから」
武田「これはもう流石にツッコまなきゃ! って」
武田「君、あだ名がブーメランになっちゃうよ」
上野「自覚はあります」
武田「え?」
上野「自分の仕事が雑で遅くて残業しまくって」
上野「滅茶苦茶悪口を言ってるって」
武田「そうなの? その上でよくブーメラン発言を出来るね」
上野「別問題ですから」
武田「ん?」
上野「私が人のダメなところを指摘するのと私自身がダメなのは」
上野「別・問・題!」
上野「だから私は悪口を言います」
上野「仕事もミスります」
武田「ミスの宣言やめて」
上野「悪いところを指摘するのは非常に気分が良い」
武田「最低だな~人として」
武田「あ、もうこんな時間か」
武田「アホなこと言ってないで帰るよ」
武田「ここは奢るからもうちょい仕事を頑張って」
上野「ご馳走様です! 武田先輩はいい人ですね!」
武田「どうも」
上野「(そわそわ)」
上野「武田先輩は本当にいい人ですね!」
武田「ありがと」
上野「(そわそわ)」
武田「ひょっとして、上野もいい人だよって言って欲しいの?」
上野「はい!」
武田「そこはブーメランにならない」
上野「ダメかぁ」

コメント

  • 登場人物はじめ名前が出て来たような人は、ああ、職場にいるなぁ、という感じですね😆

  • 上野さん、つよい……
    武田くん、善人すぎ……
    何だかんだでタイプ的にも噛み合っている2人のやり取りから、日常風景が色々と想像できますね。武田くん、ストレスで胃とかにダメージが無ければいいなー

  • 前半、てっきり上野さんは仕事めちゃくちゃ出来るしっかりした少し厳しめな上司なのかなあ〜と思って読んでいましたが、まさかの後輩と同類😂自分のこと棚に上げまくりだし武田さんに指摘されても開き直って、そんな強いメンタルが私も欲しいです!笑

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