ミツルの守護者

鶴見能真

No.2ミツルの恋人?(脚本)

ミツルの守護者

鶴見能真

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〇豪華なリビングダイニング
トーマ「おっはよーミツル!」
ミツル「・・・おはよう」
トーマ「風は治ったかしら?」
ミツル「まあ、・・・少しは良くなったと思う」
トーマ「そう! 今日はあたしがアンタの世話してあげるから感謝しなさいよね!?」
ミツル「うん・・・。”アイツ”は?」
トーマ「女ミツルの事? こっちに引っ越してチヒロの会社に”コネ”で研修してくるって言ってたわ」
ミツル「・・・そうか。 (・・・いいなぁ、僕も仕事したい)」
トーマ「アンタもチヒロに頼んだら?」
ミツル「・・・いや、いい」
トーマ「──いやダメでしょ! いい歳した大人なんだから働きなさい!」
ミツル「・・・僕、発達障害。就職困難」
トーマ「・・・まあ、その辺はよく知らないけど」
ミツル「・・・まあ、世の中には障害があっても頑張って、社会活動? してる人もいるね。 尊敬するよ」
トーマ「わかった! わかったわよ! しょんぼりするのやめなさい!」
ミツル「・・・」
  ミツルはトーマに近付くとすっと抱き付いて胸元に疼くまる
ミツル「・・・」
トーマ「そーいえば──」
  ミツルは突如殴られる
ミツル「──!?」
トーマ「アンタにお客さんが来てたわよ」
ヤイバ「お前・・・浮気か!?」
トーマ「ハロー! ヤングガール! ええっと名前はなんだったかしらマドモアゼル」
ミツル「・・・誰?」
ミツル「ぶぎゅぼぎゅばぎぼぎゅぎゃーー!?」
ヤイバ「──死ね!!」
  少女はミツルをボッコボコにするとその場から去って行く
トーマ「ミツル、アンタ・・・自分が何言ったかわかってんの?」
ミツル「・・・ (本当嫌になる。これも障害のせいかどうか判らんけど。・・・空気読めないって言うのもそう言えば障害の特徴か)」
トーマ「・・・で、どうすんの?」
ミツル「・・・どうしよ?」

〇川沿いの公園
ヤイバ「・・・」
  しばらく歩いた少女は立ち止まり手に持つ袋を見る
ヤイバ「・・・」
  ため息を吐く彼女の持つ袋には数種類のフルーツやゼリーなどのデザートが入っていた
ヤイバ「何やってんだ、私」
???「お! 美味そうじゃん!」
ヤイバ「?」
キース「もーらいっ!」
  突如現れた”黒い翼の生えた男”は少女の紙袋から果物を一つ取り食す
ヤイバ「・・・」
キース「そう言えば、さっきの見てたぜー。 ”お前も”ミツルを”憎んでる”んだろ?」
ヤイバ「・・・」
キース「何なら協力してやるぜ? おれ様もミツルに”恨み”があんだよ?」
ヤイバ「そうか・・・。判った」

〇豪華なリビングダイニング
ミツル「あー、どうしよう。ヤイバに嫌われたら」
トーマ「無表情で棒読みに言ってもふざけてる様にしか見えないわよー。 それも障害?」
トーマ「普通なら急いで追いかけて土下座でもするんじゃないの?」
ミツル「トーマがヤイバの立場なら・・・」
ミツル「・・・ (喋るの面倒くせー。トーマなら許せるのか?)」
トーマ「いや、死んでも許せないわ」
ミツル「・・・そうだよねー」
ミツル「・・・やっぱ」
ミツル「・・・ (発達障害の僕には人付き合い不可能なんかね?)」
トーマ「さあ。障害が関係あるのかどうか。 少なくともアンタはそのせいで、・・・何だったかしら?」
ミツル「何が?」
トーマ「実の家族に虐められて脅迫されて命の危機を感じて家出したのだっけ? それをミツルが追いかけて来たと」
ミツル「・・・話したくない (少々事実と異なるかもしれんけど)」
トーマ「わかった! わかった! ごめんって!」
ミツル「──スン!」
トーマ「もう・・・」
  トーマはミツルの頭を自分の胸元に引き寄せ優しく包み込む
ミツル「・・・またヤイバにボコられそう」
トーマ「嫌なら離すわよ」
ミツル「いや・・・いい。 実家にいるよりはマシ」
トーマ「あ、そう」

〇古生物の研究室
  オリコープグループのとある研究施設
ヤイバ「お邪魔します」
ミツル「邪魔するならお帰りー」
ヤイバ「・・・ただいま?」
ミツル「いやそういう意味じゃなかとよ!?」
ヤイバ「はあ・・・?」
オスカー「──おい! 誰だこの餓鬼! 部外者が俺の部屋入って来んじゃねえ!?」
キース「・・・」
ミツル「──げ! ミツルの黒歴史!?」
オスカー「なんでてめえがここに嫌がる!?」
ヤイバ「私が拾った」
オスカー「だからテメェ誰だよ!?」
ヤイバ「私はヤイバ。ミツルの・・・一応別人格(守護者)」
オスカー「なんだ、ミツルの女房か」
ヤイバ「──違う!」
ミツル「えー・・・!?」
オスカー「・・・まあいい。で、お前がこいつを拾って来たって?」
キース「・・・」
ヤイバ「そうだ」
オスカー「一体いつ逃げ出してたんだよ?」
オスカー「・・・まあ、よくやった。もう帰っていいぞ」
ヤイバ「・・・逃さないで下さいね。捕まえるの苦労したので」
オスカー「ああ、わかってる! ったく、コイツの見張りは何してんだよ?」
ヤイバ「失礼します」
オスカー「・・・」
ミツル「あの娘がヤイバかー。初めて会ったけど頼もしそうねー。あれで18歳だっけ?」
オスカー「俺が知るかよ」
オスカー「さて、・・・コイツをどうするか」

〇怪しい研究所
  研究施設外部
ヤイバ「さて・・・」
ヤイバ「・・・」
  ヤイバは再びミツルへお見舞いに行こうと思う
デイブ「やあ、そこの綺麗なお姉さん!」
ヤイバ「・・・」
デイブ「キミしか居ないでしょー。ボクとお話しましょう?」
ヤイバ「・・・アー、ワタシニホンゴワカランバーイ。ゴメンクダサーイ」
  面倒な事にナンパされた様なので適当にはぐらかす。
  海外に長期滞在していたので嘘にはならないと彼女は思う
デイブ「困ったなー。おれは”カルマ”の居場所が知りたいだけなんだよー、ついでにフユキもー」
ヤイバ「・・・I'm Sorry」
  カルマもフユキもヤイバには心当たりが無い
デイブ「じゃあ、”ミツル”は何処だ?」
ヤイバ「・・・」
  その名を聞いて一瞬驚くが相手に悟られぬ様にヤイバは自然と振る舞う
デイブ「英語なら通じるかい?」
ヤイバ「・・・急いでるんで」
デイブ「そうか」
ヤイバ「──!?」
  突如取り出したサバイバルナイフで男はヤイバに切り付け、彼女は間一髪で避ける
デイブ「悪いねーお姉さん。あんたが”カルマ”を捕えた事はちゃんと”見てた”んだぜ?」
ヤイバ「・・・あの”不審者”か」
デイブ「”その中”にいるんだよな?」
  男はヤイバか尋ねたオスカーの研究所を指す
ヤイバ「・・・」
デイブ「”自分には関係無い、調べるなら勝手にどうぞ”──って言いたげだね?」
ヤイバ「──は?」
  事実ヤイバはそう思っていた。
  自分は偶然暴漢に襲われて返り討ちにした後ここに届けただけだ。
デイブ「中にいるあなたの”主様”は”自分より強い騎士”と共にいるからおれ様程度通しても良いって? 舐められたものだねー」
ヤイバ「・・・」
デイブ「そして”もう1人"の主も守られている、と」
ヤイバ「・・・」
デイブ「おれも護るべき主様がいてな、その脅威は払拭しなきゃならねえ。 まあ、お姉さんもおれの”愛人”になるなら始末せず済むけど」
デイブ「どうします?」
ヤイバ「・・・興味が無い」
デイブ「んじゃ、交渉決裂。悪いけど”死んでもらいます”ね?」
お巡りさん「──おい貴様! そこで何をしてる!?」
  見回りをしていた警察がナイフを持つ男に拳銃を向ける
デイブ「ありゃりゃ・・・警察にみつかっちまったか。 仕方ねえな」
お巡りさん「なっ! 消え──!?」
ヤイバ「後ろ」
お巡りさん「なに──!?」
お巡りさん「うっ!?」
  瞬時に移動した男は警官に打撃を加えられて倒れ込む
デイブ「一般人ヤるとウチの主がうるさいからなー・・・。お陰で腕が鈍って仕方ねえ」
ヤイバ「・・・」
デイブ「それにしても、さっきの動きは常人には目で無え筈なんだけどな」
デイブ「お姉さんも人が悪い。このお巡りを”わざと”助けなかったんだろ?」
ヤイバ「・・・」
デイブ「なるほど、助けたら何を見られるかわかったもんじゃ無えって事か」
ヤイバ「・・・」
デイブ「おいおい、おれが心読めるからって喋らなくて便利とか思わないでくれよー。 美女とのお話大好きなんだぜおれっち?」
ヤイバ「・・・」
デイブ「発達障害? なんじゃそりゃ?」
ヤイバ「・・・」
デイブ「・・・いや、考えてる事の意味がわからないぜ?」
ヤイバ「・・・」
デイブ「そう言う事だって・・・。あれ、これ、それじゃわかんねーってー」
ヤイバ「・・・」
  ヤイバはその場を立ち去る
デイブ「・・・まあいいや。あの姉ちゃんは放っといて」
デイブ「先に奴等を取り返すか。ん、・・・あれは?」
  男は”何か”を発見する
デイブ「あれは・・・、上手く使えば1人ずつ始末出来そうか?」

〇古生物の研究室
キース「・・・んん」
オスカー「・・・で、ここはこうなっているだろ?」
ミツル「なるほどね・・・」
オスカー「これはここ、こいつはここだ」
ミツル「これがここで、これがここ・・・」
  ミツルがオスカーの説明を復唱しながらメモを取る姿をキースは眺める
キース「あー畜生! また捕まっちまったぜー!」
  檻に入れられたキースは2人に聞こえる様にわざと大声で悪態を吐く
オスカー「うっせ」
ミツル「そうね」
キース「・・・それだけかよ?」
フユキ「うっさいわねアンタ! あたしがいる事忘れないでよ!?」
  牢の中には彼の他にジャージ姿のフユキがいる
キース「お前・・・なんつー格好してんだよ?」
フユキ「仕方無いでしょ! 魔力が切れて服が消えちゃったんだから! お陰で乙女の柔肌を晒した挙句ガキの服着せられて不愉快だわ!」
フユキ「てかアンタ、いったいどーやって逃げ出したのよ!?」
キース「・・・俺の能力だ」
フユキ「はー!?」
オスカー「・・・うるせえ」
「──────── ────────」
  オスカーが檻に向けてリモコンを操作すると透明な防音ガラスが貼られる
オスカー「で、さっきの続きだが・・・」
???「ごめん下さいー」
ミツル「あら、誰か来たわね」
オスカー「そりゃ、な。これも研修だ、”対応”してみろ」
ミツル「・・・はぁー、緊張するー」
ミツル「上手く出来たらご褒美ちょうだーい」
オスカー「ねーよ」
ミツル「えー。ちょうだいよー、ちょーだーい・・・?」
ミツル「”内申点”」
オスカー「──さっさと行け!」
ミツル「──きゃっ! お尻蹴飛ばさないでよ、セクハラで訴えるわよ!?」
オスカー「仕方ねえだろ、こっちは両手塞がってんだよ!」
オスカー「つーか、喜ぶな! ドMかテメェは気色悪い! さっさと行け!」
ミツル「はーい!」

〇薬局の店内
  オリコープ薬局──支店
ミツル「いらっしゃいませー!」
おばさん「おやおや、いつものご夫婦じゃ無いんだね。 新人さんかい?」
おばさん「それとも旦那さんの愛人かい?」
ミツル「えーっと、・・・おほほほほほ」
おばさん「あら、ゴメンなさい初対面の方に」
ミツル「い──! いえいえ。私もご夫妻にはお世話になっております」
おばさん「そうなんだねー。わたしもお二人にはお世話になってるよー。三つ子の娘ちゃん達もたまに遊びに来てねー」
ミツル「そうなんですねー」
おばさん「ああ、そうだったよ。これ、今日の処方箋でね・・・」
ミツル「はい! ただいまお持ちします! 少々お待ちください!」
おばさん「・・・」
ミツル「お待たせ致しました!」
おばさん「はい、いつもご苦労様です」
ミツル「いえいえ! こちらの料金になります」
おばさん「はい。えーっとこれとこれでっと!」
ミツル「丁度お預かりします! レシートのお返しです!」
ミツル「ありがとうございました! お大事に!」
おばさん「はい。いつもありがとう。 慣れない事だらけだろうけど頑張ってね」
ミツル「ありがとうございます」
ミツル「・・・」
ミツル「ふぅー・・・。どんなもんじゃい!」
デイブ「お邪魔しまーす」
ミツル「いらっしゃいませ!」
ミツル「本日はどの様な症状でしょうか?」
デイブ「症状? なんだここ、医者か? 外観オンボロの割に中は綺麗だなー。 まさかヤブか?」
ミツル「・・・(なにコイツ、まさかクレーマー!?)」
ミツル「・・・当店は薬局となっております」
デイブ「・・・そうか。まあおれは薬(ヤク)買いに来たんじゃ無いんだ」
ミツル「・・・(ヤクって。危ない薬みたいな言い方するわね)」
デイブ「おっかしいな、心が読めねえ」
ミツル「・・・処方箋はお有りでしょうか?」
デイブ「まあいいや、とりあえず・・・」
ミツル「(話聞いてないし!?)」
デイブ「──死んでくれや」
ミツル「え・・・?」
デイブ「ふぎゃっ──!?」
ヤイバ「──ったく!? オスカーは何やってんだ!」
  店の扉を蹴破って登場したヤイバは銃を持つ男を突き飛ばす
ミツル「あらヤイバ、帰ったんじゃなかったの? しかも窓壊しちゃって・・・」
ヤイバ「アンタの危機を感じ取って飛んで来たけど、私より近くにいるあのノッポ野郎じゃなくて何で私なんだよ?」
ミツル「んー? アイツあれでも今仕事中だからかしらね、あたしもだけど。それに”黒歴史”の管理もしてるからねー・・・」
ヤイバ「・・・私の方が暇だとお思いのご様子で」
ミツル「ごめんねー。暇な人間なんて居る筈ないのにね・・・」
ヤイバ「・・・」
ヤイバ「これ届けて早く帰りたいのだけど・・・」
ミツル「あ、”ミツル”にお見舞いね。帰りにあたしが渡しとくよ?」
ヤイバ「・・・いや、大丈夫」
ミツル「・・・そう! (自分で直接渡したいのね!)」
ヤイバ「・・・」
デイブ「・・・」
ミツル「ところでこの不審者、どうするの?」
ヤイバ「殴って毒(麻酔)が効いている。しばらく動けないだろう」
  ヤイバは毒を操る特異体質な能力を持つ
ヤイバ「2週間・・・いや、2晩は動けないだろうな。常人なら一ヶ月は意識が戻らないが・・・」
ミツル「とりあえず、オスカーに渡しときましょう。 苦労をかけたわね、ありがとう」
ヤイバ「うん・・・。じゃ」
  ヤイバは店を後にする
ミツル「オスカー! ちょっと来てー!」

〇古生物の研究室
オスカー「ったく、・・・また面倒事持ってきやがって。俺だって暇じゃないんだぞ、しかも店までこわしやがって」
ミツル「まあ、壊れた店はチヒロが何とかしてくれるでしょ」
デイブ「・・・」
キース「あららー、あの”ナンパ野郎”まで捕まっちまったか・・・」
フユキ「──なに呑気な事言ってるのよ! こんなの一大事じゃない! このままだとあたし達壊滅しちゃうじゃない!」
フユキ「そうなったら”お兄ちゃん”の”世界征服”はどうなっちゃうのよ!?」
ミツル「あの子達もお仲間が増えて嬉しいのか騒いでるわね」
  消音ガラスが貼られてるので中の音は2人には聞こえていない
ミツル「ところでこういうのって、皆同じ所に置いとくよりバラバラに管理する方が良いんじゃ無いの?」
ミツル「って私、何悪役みたいな事言ってるのかしら」
オスカー「・・・」
ミツル「でもここより”安全な場所”もそう無いわよね・・・」
  この部屋にはキース達3人の他にも野蛮そうな大男や猛獣、謎の巨大生物など多く収監されている
ミツル「こんなモンスター達が実在したのにも驚くけど、それを1人で監視を任せられるあなたも大概よね?」
オスカー「こっちに関しては”国”や”企業”から経費が降りるからな。お前を狙う暴漢共を捕えてもただ働きにしかなんねえんだよ」
ミツル「まあそれは後で考えるとして。尋問? は済んだの? ・・・やっぱまるで悪役ねあたし達」
オスカー「何も吐かねーなー」
ミツル「ふーん・・・」
  檻の前にミツルは行く
ミツル「はい、新しいお仲間よ」
  ミツルは先程自分に襲いかかって来た男を檻に入れる
キース「・・・」
ミツル「ねー、何も喋らないつもり?」
キース「そうだなー。・・・ミツルをもう1人連れて来たら話してやってもいいぜ?」
フユキ「──ちょっと! あたし達を売るつもり!?」
キース「黙れ」
フユキ「うっ──!」
  キースはフユキを殴って気絶させる
ミツル「そう・・・。じゃあ呼んでみるわねー」

〇豪華なリビングダイニング
ミツル「・・・すぅー」
  ミツルはトーマに身を寄せ眠りについている
トーマ「あら・・・ミツルから電話ね。 ミツル、電話が鳴ってるわよ?」
ミツル「・・・電話嫌い」
トーマ「全く・・・」
トーマ「もしもしー、私ミツルよー。姉ちゃんって本当にブサイクねー!」
ミツル「あらトーマ。ミツルはどうしたの? 今すぐ握り潰してあげたいのだけど・・・?」
トーマ「ミツルなら今あたしの体を・・・」
ミツル「やめて」
トーマ「なんでもないわー。嫌な事思い出してて泣き疲れてねてるー」
ミツル「そう・・・。ところで今からミツルをこっちに連れて来れるかしら?」
トーマ「なにー、どうしたのー?」
ミツル「後で話すわ。とにかく来れる?」
トーマ「うん、あたしは平気ー。ミツルー、ミツルが来いだってー」
ミツル「・・・どこも行きたくない」
トーマ「わかった! じゃあ私が引きずっていくね!」
ミツル「・・・」
トーマ「そうゆーわけで、今からいくねー」
ミツル「ええ、わざわざありがとう。待ってるわね」
  電話を切る
トーマ「じゃ、行くわよミツル」
ミツル「・・・」
  ミツルは嫌々支度をする
ヤイバ「ミツル・・・」
  同時に丁度ヤイバが到着する
ミツル「ヤイバ・・・」
ヤイバ「ん」
  見舞いの果物を渡す
ミツル「・・・」
ヤイバ「じゃ。もう帰る」
ミツル「・・・待って」
ヤイバ「何だ?」
ミツル「・・・」
トーマ「わーお、ミツル大胆な事言うわね・・・」
  ミツルは口に出さず心の声でヤイバに何かを伝える
ヤイバ「嫌だね」
ミツル「・・・」
トーマ「あららー・・・ミツル振られちゃった」
ヤイバ「言いたい事があるならはっきり言いやがれ。 甘えるなよ? あたしは貴様の都合の為に存在してない」
ヤイバ「何でも思い通りになる程・・・」
ミツル「・・・(現実は甘く無いよな・・・)」
ヤイバ「そうだ。 第一貴様の提案に私のメリットは皆無だ、むしろデメリットでしか無い」
ミツル「・・・」
ヤイバ「で、もう下らん事は言わないのか?」
ミツル「・・・」
ヤイバ「腰抜けが。・・・地獄に堕ちろ」
ミツル「・・・(まあ、どうせ地獄に堕ちるなら。悔いを残したく無いね)」
ヤイバ「・・・」
ミツル「・・・(どーすっかなー)」
ミツル「──」
  ミツルは床に頭をつけて土下座する
ミツル「僕とずっと一緒にいて欲しい。頼む、・・・」
ミツル「・・・(どうする、AかBか)」
ミツル「(無難なのはBだ、しかしそれだと中途半端で曖昧な関係になってその内自然消滅なんて事も・・・)」
ミツル「(いや、考えても仕方ないか。当たって砕けよう、その方が悔いが残らない)」
トーマ「ホント・・・どうしようも無いクズね、頭の中」
ヤイバ「・・・」
トーマ「あなた、こんなのが本当に・・・?」
ヤイバ「あなたはどうなのですか?」
トーマ「そりゃもちろん! ・・・何故か嫌いになれないわ。私こいつに呪いかけられてるのかしら?」
ヤイバ「・・・私も似た様なものです」
ミツル「・・・」
トーマ「あ、あたしらが喋ってるからミツルが黙り込んじゃった」
ヤイバ「・・・答えはでたか、おい?」
ミツル「・・・」
トーマ「駄目ね、もうこれ」
ヤイバ「・・・」

〇古生物の研究室
ミツル「── ええ、わざわざありがとう。待ってるわね」
  ミツルは電話を切る
ミツル「さて・・・」
トーマ「おまたせー!」
ヤイバ「どうも」
ミツル「・・・酔った」
ミツル「──って来るの早!?」
トーマ「相変わらず悪趣味な部屋ねーここ」
オスカー「──黙れオカルト野郎! ぶっ殺すぞテメェ!?」
トーマ「へー、やってみなさいよ陰湿オタクが。 あと・・・」
トーマ「あたしは女だよ! 野郎じゃ無え!?」
ミツル「あらあら喧嘩? 面白そう、どっちが強いのかしら?」
サラ「ようこそおいでになりましたミツル様、ヤイバ様」
ミツル「・・・どうも」
ヤイバ「・・・」
  2人は頭を下げる
サラ「そう言えばお2方、ついにご結婚なさるのですね!?」
ミツル「うん・・・。まさかOK貰えるとは思わなかったけど。ヤイバには何のメリットも無いのに」
ヤイバ「・・・確かに。お前の守護者になった時点でどっちかが寿命を全うするまで縛られる呪いにかかっちまったからな」
ヤイバ「しかもコイツが死ぬとあたしまで死ぬし。 最悪」
サラ「式は如何なさるのですか?」
ミツル「どうする?」
ヤイバ「いい。貴様との結婚式なんて死後も続く屈辱だ」
ミツル「やっぱりウエディングドレスは女の子の夢なんだろうな」
ヤイバ「話聞けよ」
ミツル「場所は・・・、ハワイが人気とは聞くけど実際どうなんだろうね? 僕はハワイ好きだけど」
ヤイバ「おい・・・」
ミツル「やっぱり・・・」
サラ「そうですね・・・」
ヤイバ「・・・」
トーマ「くらいなさい!」
オスカー「効くかボケ!!」
  トーマの氷魔法に対してオスカーは機械スーツの腕から高熱波を出す
ミツル「それにしても、よくこの部屋壊れないわね・・・。 お店はあんなにボロボロになったのに」
ミツル「やっぱ地元がいいかヤイバ?」
ヤイバ「やらないって言ってるだろ!?」
サラ「わたし達も必ず行きますね」
ヤイバ「おい!」
キース「何やってんだよアイツら・・・」
フユキ「いつもこうなの?」
デイブ「ぐうぅー」
キース「そうだな・・・。何人かはよく喧嘩してたと思うぞ。 その時は俺が一番強かったな」
フユキ「嘘でしょ」
キース「いや、本当だぞ?」

〇古生物の研究室
  数分後
ミツル「もぐもぐ・・・」
ヤイバ「・・・」
ミツル「ヤイバも食べる?」
ヤイバ「・・・」
ミツル「・・・」
  ミツルはフルーツの中からバナナを取り出し皮を剥く
ミツル「はい、あーん」
ヤイバ「・・・」
  ヤイバの口にバナナを入れる
ヤイバ「もぐもぐ・・・」
ミツル「・・・へへ」
ヤイバ「キショい」
ミツル「しょぼーん・・・」
サラ「仲良いですね」
ヤイバ「・・・ちっ」
ミツル「ハハ・・・」
ヤイバ「・・・」
サラ「楽しそうで何よりですミツル様」
ミツル「うん。・・・ところで僕は何で呼ばれたですか?」
ヤイバ「・・・」
サラ「・・・何ででしょうね? わたしも皆さんが来てる事に驚いてました」
ミツル「確か姉から電話があってトーマに連れてこられて・・・」
ヤイバ「・・・」
ミツル「はいはい! 2人共そこまで。これ以上やったらどっちもタダじゃ済まないわよー。死ぬ事は無くても体を欠損しちゃうわ」
ミツル「それは困るから止めてちょうだいねー」
オスカー「ちっ! 仕留め損ねた・・・」
トーマ「次こそ消し去ってやるわ!」
ミツル「はいはい。続きは私の死後にしてね」
ミツル「で。弟ー! いたら返事・・・」
ミツル「あー、こっちー・・・」
ミツル「って、アイツに返事なんて出来ないか」
  消え入りそうな弟の声は姉の耳に届かない
サラ「ミツル様ー! ミツル様はこちらにいらっしゃりますよー!」
ミツル「ああ、そっちに居たのねー! ありがとう。・・・」
  ミツルは相手の名前が出て来ず黙る
ミツル「とにかく、ありがとー! そしてミツルはこっち来てー!」
サラ「ミツル様ー! わたしはサラですー!」
ミツル「・・・」
  ミツルはミツルの元に行く
ミツル「どうも」
ヤイバ「何の様だブサイク・・・っと言っています」
ミツル「へー。本当便利ねーミツルの”テレパシー”・・・。 それといい度胸じゃない貴方。覚悟は出来てんでしょうね?」
ミツル「いや、・・・何も言ってない、よ?」
ミツル「・・・(ヤイバー、ほんの冗談じゃないかー。心の声なんて普通聴こえないから何思っても自由だろー?)」
ミツル「代弁者のヤイバちゃーん、こいつ今何て言いよる?」
ヤイバ「・・・キモい」
ミツル「え? あたしがキモいって?」
ミツル「──ブンブンブンブン!!」
  ミツルはとても激しく首を横に振る
ヤイバ「あまりにも気色悪いので代弁を拒否します」
トーマ「だったらあたしが言いましょうかー?」
ミツル「やめてー・・・」
ミツル「・・・(僕の性癖暴露しないでー)」
ミツル「いいわ、この辺にしときましょう。 私テレパシーは使えないけどミツルの考えは大体分かるもの」
ミツル「j○ハーレ──」
ミツル「──勘弁しちょれい・・・」
ミツル「はいはい。後でお姉ちゃんがヨシヨシしてあげるね」
トーマ「ミツルはもう姉より嫁の胸に埋もれたいでしょー!」
  あくまでもハグして頭を撫でて欲しいという様な意味だ
ミツル「嫁・・・?」
ミツル「・・・まあいいわ。これ以上は話進まないし」
ミツル「・・・」
ヤイバ「それで、どの様なご用でしょうか?」
ミツル「あ、話があるのは私じゃなくて・・・」
キース「うわー! マジでミツルが二人いやがるよ。気味が悪いな」
ミツル「・・・誰こいつ?」
キース「──っておい!」
ミツル「あなたの黒歴史・・・。いや、厳密には”私達ミツル”の黒歴史ね」
ミツル「・・・その黒歴史が何で肉体を得て存在しているの?」
ミツル「さあ? 元別人格だってああやって肉体持ってるんだし・・・」
「・・・」
ミツル「私達も”元は1人の人間”だったんだし・・・」
ミツル「・・・」
ミツル「”似た様な何か”が起こってるんじゃないの?」
ミツル「・・・」
ミツル「そもそも”私達”にしても”別人格(守護者)”にしても、どうしてこんな事が出来るのか判ってないものね」
ミツル「・・・まあ、ね」
ミツル「でも”判明する手段”はいくつかあるのよね?」
ミツル「うん。”人智を超えた科学者”と・・・」
オスカー「人智を超えた科学者・・・」
ミツル「あと”全ての知識を管理する者”がいるのよね?」

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