19面 あかんべえ(脚本)
〇備品倉庫
大花歴亜「出してないのはよくないよっ」
大花さん、そりゃそうだ
大花歴亜「プレゼントボックスなり ダンボールから出しても」
大花歴亜「棚に置かないで そのまんまにしてたら意味ないよ」
俺は黒かごに入ってる
『真奈の時』の原稿なり、整えて
(すぐぐちゃぐちゃになるんだから)
俺は出しに行くんだ
告白しに行くんだ
〇ハート
ヴァレンタイン
白のリュックに
赤のハートアクセサリーが1つついてる
『真奈の時』
その先までいくの?
〇住宅地の坂道
お互いそんなものがつまっていたのか
ベロ出して、ベロにゴムかぶせたような
呼吸器系につまっていた互い
(呼吸、喉や鼻腔かな)
(告白してギクシャクした関係の
俺とクリさんみたいかな)
少年と少女
(そして)塩味(が)
(つかえがとれて
そのあと塩味食?とれたならいい)
〇住宅地の坂道
少年は
ものを塞ぎ込むために来たんじゃないの?
携帯電話の画面の中
紫の鍵が入っている
(透けた紫に
ものがしっかり内包されている)
抜け
止け
江藤鉱(どっちだ(止けかな?))
江藤鉱(子供がいじってるの見てたのとは ずいぶん印象が違う鍵だ)
江藤鉱(折中さんへの思い・・・)
江藤鉱(メール、キーロック?)
〇住宅地の坂道
少女「やだなぁ」
少女「あんたのこうかは きのすむまでやればいいのよ」
少年「自身をどうするか」
少年「僕は悩みかけています」
江藤鉱(・・・たってすることねーだろ他に)
〇未来の店
江藤鉱「スタッフの江藤です」
江藤鉱「本日着物の忘れ物は届いてますでしょうか ご確認お願いします」
トランシーバーで聞いても返事がない。
したら星羽さん、レジから出てきて
葵星羽「声出てないです」
・・・もう一回言う。
江藤鉱「────」
江藤鉱(声かすれてんな ちょっとキレ気味に言っちゃった・・・)
と、折中さんが
白のグリーティング用のユニフォーム着て
何かこっちに打撃でかかってくる。
なので応戦、
江藤鉱(ていうか抱きしめちゃおうか)
としたけど
肩つかまれつっかえて、
折中珠未「モンゴリアンチョップ!!」
そのあとにやられてのけぞる俺。
そのていでその場から離れて戻ってこない。
駄目だ、疲れてんの
じゃれ合えるのはうれしいけど
お客さん待たせてんだ
〇渡り廊下
センターと本当に何回目だろう。
こうしてまた再会して、
口をつける、キスをする。
(近づいたり離れたり、幾度となくして)
センターはコーラの飴玉を口に入れてて
二人の間でレロレロレロレロ
なめ合う形になったり
はぐれてしまって再び出会えて
センター「んーんっ」
確かめ合うように、キスもしっかりして
抱き合う足元には
クマのぬいぐるみも一緒に
抱き合いの中、脚に抱きついて
(股の間に入って、俺の脚かな)
板間の廊下で再会できてうれしい
生き返ったみたい
・・・こうしてふと、
いれてるということが
赤い糸でうれしい
今年のヒト復活して
マイスターさんもお喜びだろう
〇備品倉庫
折中珠未「昔の写真持ってるよ」
折中珠未「ただ見てないけど」
折中珠未「開けてないから一回も(封を)」
折中珠未「ホワイトデー? 渡してないじゃないですかー」
宵山安樹「あげるよ?」
江藤鉱(やっぱ昔からもててたんだな、折中さん 知らないけど)
江藤鉱(安樹さん、跪いた姿勢で)
江藤鉱(俺の前でうるせぇやりとりしてんじゃねぇ)
江藤鉱(って、彼氏でも何でもないけどな)
江藤鉱(どういうつもりかそういうつもりですか かまわないっすけど)
江藤鉱(クリームサンド積んで、裏で)
江藤鉱(安樹さんも珠未落そうってか?)
江藤鉱(うがってんのか俺、あー)
江藤鉱(裏で珠未と安樹さん だべって作業してたの影響してんのかな)
江藤鉱(安樹さんの俺への態度が変とか・・・)
江藤鉱(何にしても人のすることしらんわな)
〇未来の店
折中珠未「・・・連絡がつかなかった」
折中珠未「でね、そのときの写真がこちら」
カシャッ
〇コンサートホールの全景
クリさんか。
あの6連勤一回終わって辺り、
体調崩してたじゃんな。
目のまわり黒くして遅れてきてた、
そんなでもやろうとしてくれたのか。
(『真奈の時』読んでくれる)
そういう子だろ、信じろバカ
ムラサキシキブー
ラーブなんだよー
〇未来の店
── 自分がヤオバザを辞めるとき、
もう会えなくなるってのが入る。
そこで言うんならいいか、告白。
それまではそういう
恋愛要素出さないようにしようか。
前の彼氏さんも
強引にって感じだったみたいだし。
〇川沿いの原っぱ
少女「クリだよ」
少年「クリなわけねーだろ」
少女「クリだってば」
草場、道しゃがみこんでいる
クリ?
いてんのか そんな・・・
〇未来の店
折中珠未「・・・うち、ずっと 待ってたよねーっ、結構」
折中珠未「何、帰ったのー、安樹くんっ」
九宝優梨「でも明日休みだってっ」
折中珠未「うあーっ」
と、折中さん、顔くらいの高さ
ちょっと仰いでかきむしるような仕種。
あー、こりゃ駄目だ
裸の俺も、大花さんも眼中なしだ
わざわざ来たのに
行こ、大花さん
〇地下駐車場
──ツルハシくんだった。
大花歴亜「めっちゃヤオバザ好きそうなかっこだね」
上はチカジュウの大きいTシャツ、
下は部屋着に着るような膝丈ネイビー
ツルハシ「今からヤオバザ行こうよ」
って、ツルハシくん張り切って
そしたら、
ツルハシ「あ、いた、九宝優梨さん」
盥に水張ったようなのを廊下で運んでる。
それが・・・
大花歴亜「九宝さんいるならクリもいるよ 探しにいこうよ」
ツルハシ「見つかるかな・・・」
ツルハシ「でも行こう」
って来たのに
〇ショッピングモールの一階
毛物店長「裸で暴れまくった有名人というのは君かね」
と、ヤオバザの店長が、
大花さんとツルハシのところにやってくる。
お咎め?ツルハシはちょっと引く。
と、エレベーター開いて、
中から荷物カートン崩れ倒れてくる。
怯んだ店長、その隙に?
どーでもいいや。
俺は夢を信じて
ずっと やってきた
信じて ずっとやって来たんだ
空回り
〇住宅地の坂道
そのときゃ
心をかきみーだすー~♪
ウズ
えんえん
(返歌だな、坂の上から来るのか)
〇未来の店
──折中珠未とフロア座って近くにいて、
一定のテンポで顔を
近づけて離れて、を繰り返す。
俺は左ほっぺ向けてたけど、
あるタイミングで
口向けて唇合わせちゃう。
さすがに面食らって珠未、
動き止まったな。
トイレットペーパーを薄く
硬質にしたようなのが、前にかかってる
切れ目入ってる、何?レシートでもなし
──で、立ち上がって、
珠未に連れて行かれるようにして、
聖母のわき、座ってるところ
狭い方、壁との間抜けて、
折中珠未「叩いてあげて」
叩く、何を、誰を?
俺がひっ叩かれんのかと思ったけどな。
(安樹さんの背中でも?知らんよ・・・)