怪異探偵薬師寺くん

西野みやこ

エピソード53(脚本)

怪異探偵薬師寺くん

西野みやこ

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〇教室
  ハロウィンから3日たち、俺はすっかり日常に戻っていた。
  昼休みを告げるチャイムの音にぐっと伸びをする。
茶村和成「腹減ったー、飯食おうぜ」
諏訪原亨輔「ああ」
茶村和成「あれ、由比は食わないの?」
由比隼人「んー? あ、先食べといて」
諏訪原亨輔「どうしたんだ? そんな画面に張りついて」
諏訪原亨輔「お前、授業中もこっそりスマホいじってただろ」
茶村和成「マジか、よく見つからなかったな・・・」
由比隼人「面白い話題が上がってて、つい掲示板から離れらんなくて」
由比隼人「あ、ふたりも見る?」
諏訪原亨輔「いつものオカルトか?」
由比隼人「大正〜解」
由比隼人「ここらへんで目撃情報とかもあんだよ、やばくね?」
諏訪原亨輔「あんまり無闇に首を突っ込むなよ。 まだ懲りてないのか」
由比隼人「その辺はわかってるって!」
由比隼人「でもまだ全然情報少なくてよく分からねえんだよなー・・・。 薬師寺さんに話聞けないかな?」
茶村和成「お前な・・・、それを懲りてないって言うんだよ」
  由比に差し出されたスマホの画面をするするとスクロールする。
  しばらくぼうっと画面を見つめていたが、引っかかる記述を見つけて指を止めた。
茶村和成「・・・これ・・・」
諏訪原亨輔「茶村? どうかしたか?」
茶村和成「・・・“テケテケ”って言うのか? この怪異」
由比隼人「ああ、なんかそう呼ばれてるっぽい」
由比隼人「下半身が切り落とされた女が、手で地面をてけてけ走りながら追いかけてくるらしいぜ。 こえー」
茶村和成(・・・どういうことだ? テケテケっていったら、あのときの・・・)
  薬師寺と出会ったときのことが頭を駆け巡る。
茶村和成「・・・・・・」

〇古い図書室
薬師寺廉太郎「・・・で、それを伝えに来てくれたの?」
茶村和成「念のためな。早いほうがいいかと思って」
  放課後。俺は旧校舎の図書室に来ていた。
薬師寺廉太郎「なあんだ、俺に会いに来てくれたのかと思ったのに〜」
茶村和成「家に帰ったらいる相手に会いに行くかよ」
茶村和成「・・・テケテケって、あのときお前が消した怪異だろ」
茶村和成「どういうことなんだ? 一度消えた怪異が再び現れるなんてこと、あるのか?」
薬師寺廉太郎「んー、まったく同じ怪異が再び現れるってことはまずないよ」
薬師寺廉太郎「似たような怪異が現れる可能性はある・・・。 けど、それにしても今回のケースは早すぎる」
薬師寺廉太郎「まあ、いろいろと奇妙だね。 調べてみる価値がありそうだ」
茶村和成「俺も手伝う」
茶村和成「なるべく避けたいが、囮でもなんでも」
薬師寺廉太郎「あれ、やけに協力的だね」
茶村和成「あんな危険な奴がもしまた現れたなら、放置しておけるわけないだろ」
薬師寺廉太郎「・・・そっか」
薬師寺廉太郎「じゃあ今日はこっちで調べておくよ。 これから稽古でしょ?」
茶村和成「ああ、悪い。頼む」
薬師寺廉太郎「は〜い、任せてよ」
  ひらひらと手を振る薬師寺に軽く手を上げ、図書室を後にした。

〇教室
  次の日、登校した俺は驚いた。
女子高生1「聞いた? テケテケの噂! めっちゃ怖くない!?」
女子高生2「でもあんなの本当にいるわけないでしょ?」
女子高生1「いやそれがさ、目撃した人結構いるっぽいんだよね」

〇教室
茶村和成(・・・どこもかしこもテケテケの噂で持ち切り)
茶村和成(昨日薬師寺が言ってた通りだ)
  昨夜の薬師寺との会話を思い出す。

〇高層マンションの一室
薬師寺廉太郎「どうやらテケテケについての噂は、この街周辺でだけ広まってるみたいだね」
茶村和成「・・・この街周辺でだけ?」
薬師寺廉太郎「オカルト掲示板に載ってる目撃情報以外にネット上に情報がほとんどないんだ」
薬師寺廉太郎「それに目撃された場所はすべてこの街に限られてる」
薬師寺廉太郎「なんらかの原因で突然復活したと見るのが妥当なんだろうけど・・・」
薬師寺廉太郎「正直見当もつかないや。 初めてのケース」
茶村和成「・・・・・・」
薬師寺廉太郎「あと気になるのは、噂が広まるスピードが異様に早いことだね」
薬師寺廉太郎「最初の目撃情報からたった3日で街全体に広まってる」
薬師寺廉太郎「・・・たぶん明日には、学校中で話題になってるよ」

〇教室
茶村和成(にしても一度消えたはずの怪異が、なんで・・・)

〇大きい交差点
  この日の放課後。
  俺と薬師寺はテケテケの目撃情報があった場所へ来ている。
  噂の出どころを探るため周辺を通る人に話を聞いてみたりもしたが、人づてに噂を聞いたという人ばかりだった。
薬師寺廉太郎「茶村、そんな熱心にスマホ見てどうしたの?」
茶村和成「んー・・・。 テケテケについてもう一度調べてみてるんだが・・・」
茶村和成「ダメだな、ほとんどなにも出てこねえ」
薬師寺廉太郎「存在が復活しても、情報は戻ってないみたいだからねぇ」
薬師寺廉太郎「世間的にはまったく新しい都市伝説だ」
茶村和成「・・・なかなか手がかりがつかめねえな」
薬師寺廉太郎「ここまで広がりが急速な怪異は俺も初めてだから、早いとこ手を打ちたいんだけどねぇ」
薬師寺廉太郎「ひゃひゃ、どうしたものかな」
「あのぉ、すみません〜」
茶村和成「ん?」
通りすがりの男子高校生「今、テケテケって聞こえた気がしたんスけど・・・」
茶村和成「!」
茶村和成(な、なんだ・・・?)
通りすがりの男子高校生「いやぁえっと、怪しいモンじゃないっす!」
通りすがりの男子高校生「あの、俺、そいつ見たんスよ」
茶村和成「え!?」
薬師寺廉太郎「へえ? 聞きたいな、その話」
通りすがりの男子高校生「・・・3日前のことっす」
通りすがりの男子高校生「あの日はハロウィンで、俺は街で遊んだ帰りでした」
通りすがりの男子高校生「駅から家までの道を歩いてたら急にどしゃ降りになって、軒下で雨宿りしてたんす」
通りすがりの男子高校生「スマホの充電もなかったんで親に連絡もできなくて、途方に暮れてたんスよ」
通りすがりの男子高校生「どうすっかなー、って思ってたら路地裏の方から物音が聞こえたんす」
通りすがりの男子高校生「雨音に紛れてよく分かんなかったんスけど、なんかべちゃべちゃというか、ぬちゃっとした感じの・・・」

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