エピソード52(脚本)
〇中世の街並み
ニル「うーん、いろいろありすぎて目移りしちゃうな・・・」
エルル「さすが国境の街ですね。 帝国の料理に、メルザムの料理・・・。 それにあれは南国の料理でしょうか?」
アイリ「あなたたちはどんな店がいいとかある?」
エルル「たくさん食べられる店がいいです」
エミリア「たくさん食べられる店がいいな。 酒があるとなおよい」
アイリ「そ、そう・・・」
ニル「それじゃあの店なんてどう?」
ニルが指さしたのは、いくら食べても値段が変わらないという食べ放題の店だった。
エルル「食べ放題・・・。いい店ですね」
エミリア「そうだな。いい店だな。 酒はあるか?あるな。よし、ここにしよう!」
アイリ「あんたたち、ほどほどにしなさいよ」
エルルとエミリアは意気揚々と店に入っていった。
ニルも続いて入ろうとしたとき、突然後ろから声をかけられた。
〇中世の街並み
「おい、おぬし!」
ニル「・・・?」
振り向くが、あたりを行きかう人がいるだけで誰もいない。
ニル(誰もいない。聞き間違えたかな?)
気を取り直して店に入ろうとすると、また後ろから声がした。
「おぬしだおぬし! 聞こえとるんじゃろ?」
「わらわを無視するとはいい度胸じゃな!」
ニル「・・・?」
ニルはまた振り返ったが後ろには誰もいない・・・。
と思ったが、よく見ると小さな女の子がニルを見上げていた。
ニル(え? お、女の子?)
ニル「えーっと、あの、君、なにか用?」
???「おーやっと気づいたか。 ずいぶんと鈍いのぅ・・・。まぁよい」
ニル「え?」
???「なにやらエネルギーをごまかす細工をしとるようじゃがわらわには通じぬぞ?」
???「おぬしほどのエネルギーを持つものはそうはいない」
???「おおかた、わらわの座を狙う八王の誰かがよこしたのじゃろう? いったいおぬしを送り込んだのは誰じゃ?」
ニル「えーっと・・・。エネルギー? 八王? なんの話をしてるのかな?」
アイリ「どうしたのニル? なんだか騒がしいけど」
なかなか来ないニルを心配して店内に入ったアイリが店の前に出てきた。
ニル「うん、なんかこの子が聞きたいことがあるみたいなんだけど、ちょっと言ってることがよくわからなくて・・・」
???「はぁ・・・。とぼける気か。まぁよい」
そういうと、女の子は突然ニルの手をつかんできた。
ニル「ちょっと待って! なにを・・・」
ニル「・・・うわっ!!」
突然ニルの視界がぐるっと回る。
そして気が付くと……。
ニルは空を飛んでいた。
〇空
ニル「!!?」
ニル(いったいなにが・・・、さっきまで女の子と話してて、そしたら)
突然のことに思考が止まる。
はるか下にはギアーズが行きかうアドラの街並みが見える。
ぐんぐんと遠ざかる店先ではアイリがこちらを見てなにか叫んでいた。
???「あそこは人目につきすぎるからの。 少しだけ付き合ってもらうぞ」
声の方を見ると、ニルの手をつかんだ女の子が空を飛んでいる。
〇荒野の城壁
ドサッ
ニル「うわっ! いたたたた」
放り投げられたニルが立ち上がると、そこはアドラの城壁の外だった。
???「ほれ、ここらでいいじゃろ」
ニルは、尊大な態度で腕を組む女の子の方を見た。
ニル(さっきの力・・・、どう考えても普通じゃない)
ニル(もしかして、人間じゃないのか?)
???「とりあえず、名を聞こう。 おぬしの名はなんだ?」
ニル「・・・ニル、だけど」
???「そうか、ニル。もう一度聞くぞ? 一体どやつの手のものじゃ?」
???「第四位階アーロイドか、それとも第七位階フェルネーザか。 どうせそこらあたりじゃろ」
ニル「え? え?」
???「はぁ、まだとぼけるか。 その強大なエネルギー、八王の誰かからもらったのじゃろう」
???「まさか隠し通せると思っているわけではあるまい?」
ニル「ちょ、ちょっと待って、本当になんのことかわからないんだ」
ニル「八王がどうとか、位階がどうとか、初めて聞いた」
???(・・・?)
???(うーむ・・・。 嘘をついているようには見えぬな。 まさか本当に八王と関係がないのか)
???(いやいやそれはありえん)
???「まぁよい。 おぬしが何者だろうとどうでもよい」
???「最近は身体を動かせていなくてな。 少し運動に付き合え」
???「おぉ、そうだった。 まだ名を名乗っておらんかったな。失礼した」
???「それにいつものくせで力を抑えたままじゃったの」
ニル「・・・!」
ニル(エネルギーが急に大きく・・・)
ニル(み、右腕が反応してる!?)
ニル(つまりこの女の子はネームド!?)
ニル「!!」
ニル(いや、違う・・・、ネームドでもこんな大きなエネルギー感じたことがない! この子はいったい何者なんだ!?)
ニル「ちょ、ちょっと待・・・!」
ミリアドラ「わらわは八王第三位階 ミリアドラである!」
ミリアドラ「本気でかからねば命はないぞ!」
ミリアドラ「おぬしの力でわらわを楽しませるのじゃ!」
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