〇研究所の中枢
京香「それが薬？」
桃李「そう。上出来」
京香「映えそうな見た目。ちょっとあれだけど・・うっかり飲んでしまいそう」
京香「例のあの薬 ついに出来たのね」
桃李「ああ。さっそく試してみよう」
京香「え？いきなり？自分で飲んじゃうの？」
　　桃李は一気に飲み干した。
桃李「さ。俺が思った通りに出来ていれば、これから１時間の事。全然覚えていないハズ」
桃李「今のうちに言いたい放題、俺に言え！」
桃李「スッキリ!! ストレス解消タイム！ スタート！」
　　すると、桃李のおでこにくっきりとある文字が浮かんだ
　　さあ！
　　今のうちに言いたいことを思い切りどうぞ!!!
京香「よし！印が出た」
京香「思いっきり悪口言って試してやる・・・」
　　京香は、桃李に向き合うと大声で怒鳴り始めた
京香「アンタ無駄にカッコ良すぎ！ 隣にいると女子の視線が刺さってメッチャ痛い！」
京香「ついでに言っとくけど、顔だけは私もめちゃタイプ!!」
桃李「え？それ今言うの？」
京香「普通に言って滑ったらどうすんのよ。 気まずさこの上ナシ！」
桃李「確かに・・・お気遣いありがとう」
京香「新しいジーパン買って、裾直しが無いなんてメッチャ嫌味!!」
京香「それからアンタモテすぎて、私めちゃくちゃ迷惑してるんですけど」
桃李「はあ・・」
京香「桃李先輩を紹介して下さいって言われるし」
京香「桃李先輩にこれ渡しておいてください！ってしょっちゅう言われるし」
桃李「え？何も届いてないけど？」
京香「そりゃそうだ！私が全部処分しちゃってるもん！」
桃李「え！そうなの？」
京香「誰がわざわざライバルのキューピット役を買って出るのよ！そんな訳ないない！」
桃李「まあ・・・どうせ受け取らないし。 なんか・・・手間かけてゴメン」
京香「それから桃李！あんたさっ！ いつもいつも訳わかんない薬作りすぎ！」
桃李「え？空が飛べる薬を作っているだけだけど？」
京香「空を飛べるはずが、記憶が飛ぶ！ どこをどう間違えたらそうなるの？」
桃李「どこで失敗したのかな・・・」
京香「明らかにこの薬、失敗作じゃーん！」
桃李「今言う？ ノリノリで言いたい放題言っておいて失敗呼ばわり」
　　すると、桃李のおでこの印が、どんどん薄くなってきた。
京香「あれ？まだ10分位なのに、印が薄くなってきた」
桃李「薬がちょっと弱かったのかな」
京香「あの、ドリンクタイプがまずかったのかも」
桃李「あと、１分ってところかな。 言い残したことはない？」
京香「そう！私メッチャアンタの事がスキ！ でも、気まずくなるのが嫌」
桃李「ここに来てまさかの告白！」
京香「今日は、面と向かって言えてよかった～」
　　間もなく、桃李のおでこの印がスッと消えた。
京香「今、私が言ったことの返事を頂戴」
桃李「返事？何の話をしていたの？」
京香「覚えていない？ 良かった～実験成功みたいね！」
　　ちょっと悲しそうな顔をした京香。
　　すぐににっこり笑うとそのまま帰ってしまった
桃李「京香？」

〇大企業のオフィスビル
　　次の日

〇研究所の中枢
京香「昨日はたくさん悪口言わせてくれてサンキュー！」
桃李「おう。昨日はお疲れ」
桃李「今日はデーターの整理をしたい。その前に」
京香「何これ？」
桃李「プレゼント。 俺とお揃いだけど」
京香「え？もしかして実験失敗？」
京香「わ、私が言った事覚えてるなんて 言わないわよね!!」
桃李「全然覚えていない」
桃李「でも暗号を残しておいた」
桃李「YESって」
京香「え？」
桃李「もしあの薬を飲んで、返事をすることが必要だった時に、前もって決めていた俺のサイン」
京香「あ！いつの間に」
桃李「何て言ってくれたのか、覚えていないのが残念で勿体ないけど・・・」
桃李「昨日、リハーサルは済んだし、今日は本番ってことで」
桃李「今日、もう一回言って貰ったらいいよね？」
桃李「ね？」