だ・い・す・き・おぶ・じ・えんど

高杯秋魚

第1話 告白・おぶ・じ・えんど【2日目・夜】(脚本)

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高杯秋魚

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〇テントの中
大樹(だいき)「いやーマジで楽しかったな、キャンプ!!」
大樹(だいき)「夏休みのいい思い出になったぜ!」
菊(きく)「なーに言ってんの、 まだ今夜と明日の朝が残ってるでしょ」
大樹(だいき)「けど今日はもう寝るだけで、 明日の朝はテントやらの後片付けだろ?」
大樹(だいき)「実質終わったようなもんじゃねーか」
菊(きく)「まあ、そうかもだけど・・・」
苺(いちご)「でも本当に楽しかったよね」
大樹(だいき)「な! 他のヤツらも来ればよかったのに」
菊(きく)「怪我じゃ仕方ないでしょ」
大樹(だいき)「いや、それはそうなんだけど」
大樹(だいき)「でもアイツらもツイてねーよな・・・」
大樹(だいき)「キャンプの前日に揃って怪我するとか、 俺だったら無念すぎて 新学期になっても落ち込んでる」
苺(いちご)「あはは・・・! 大樹だったらたしかに そのくらい落ち込んじゃいそうだね」
大樹(だいき)「そうじゃなくても女子ばっかで 男子は俺一人のキャンプなんて最初は 冗談じゃねーと思ったぜ」
大樹(だいき)「この夏休みで最悪の思い出って やつになっちまうんじゃねーかってさ」
菊(きく)「そういえばキャンプ初日の時に・・・」
菊(きく)「あんた露骨に嫌そうな顔してたわよね」
苺(いちご)「それで今はー?」
大樹(だいき)「ああ、 さっきも言ったけど案外楽しかったぜ」
大樹(だいき)「もしこれがクラスの他の女子だったら 正直わかんなかったけど・・・ おまえらは昔っからの付き合いだしな!」
大樹(だいき)「いらねー心配だった!」
苺(いちご)「うんうん! それになんと言っても──」
苺(いちご)「わたし達「だいすき同盟」だもんね!!」
大樹(だいき)「お、おう・・・」
大樹(だいき)(今改めて思うとハズいしダッセーな・・・)
大樹(だいき)(昔はなんで こんなのがカッコいいとか思ってたんだ?)
菊(きく)「その名前に何の疑問も抱いてなかった 昔の自分を今はどうかと思ってる・・・」
菊(きく)(大樹(だいき)、苺(いちご)、 菫(すみれ)、そして菊(きく)──)
菊(きく)(それぞれの頭文字を取って 「だ・い・す・き」ね・・・)
菊(きく)(これを恥ずかしげもなく あちこちで堂々名乗ってたとか・・・)
苺(いちご)「えーなんでー? 二人とも反応悪いよー!」
菊(きく)「あのね、苺・・・ 私達もうそういう歳じゃないのよ?」
苺(いちご)「進学するから? まだ卒業前じゃん」
菊(きく)「でも、もうすぐ大人に一歩近づくでしょ?」
菊(きく)「来年から遊園地も大人料金になるわけだし」
大樹(だいき)「え、それマジ・・・!?」
苺(いちご)「ウソー!? 子ども料金もうダメなの!?」
苺(いちご)「大樹っ! だったら今年のうちに──!!」
大樹(だいき)「ああ! 遊園地に行きまくらねーと損だ!!」
菊(きく)「ダメだ、こいつら・・・」
大樹(だいき)「あれ? そういえば菫のヤツどこ行った?」
大樹(だいき)「もうすぐ寝る時間だろ」
苺(いちご)「あ、本当だ」
苺(いちご)「菫ちゃんどこ行ったんだろ?」
菊(きく)「ホタルでも見に行ったんじゃないの?」
菊(きく)「そのうち帰ってくるでしょ」
大樹(だいき)「ちょっと心配だな」
菊(きく)「まさか探しに行くの? もう遅い時間だけど」
大樹(だいき)「だからだろ」
大樹(だいき)「自分のテントに戻るついでに探してくる」
大樹(だいき)「おまえらおやすみ、また明日な」
苺(いちご)「おやすみ、大樹ー!」
菊(きく)「おやすみ、明日寝坊するんじゃないわよ」
菊(きく)「最後まで私に起こされたいって言うなら 別に構わないけど」
大樹(だいき)「へーきへーき!」
大樹(だいき)「菊のお陰で俺は安心して寝坊できるぜ」
苺(いちご)「大樹、相変わらずだねー」
菊(きく)「どっちのこと?」
苺(いちご)「両方!」
苺(いちご)「菫ちゃん心配して探しに行く、 菊ちゃんに安心して寝坊できちゃう」
苺(いちご)「どっちも大樹らしいよねって」
菊(きく)「たしかに・・・」
菊(きく)「放っておけない性格・・・って言うの?」
菊(きく)「けどああいうのって 見てるこっちが放っておけないのよね」
菊(きく)「──ったく」
苺(いちご)「菊ちゃんも相変わらずだねぇ」
苺(いちご)「・・・・・・」
苺(いちご)「・・・ねえ、菊ちゃん」
菊(きく)「なに?」
苺(いちご)「もしかして菊ちゃんも・・・そう、なの?」
菊(きく)「そう、って・・・何がよ?」
苺(いちご)「菊ちゃんも──」

〇黒背景
「大樹のこと──男の子として好き、なの?」

〇森の中

〇山中の川
菫(すみれ)「・・・・・・大樹くん」
菫(すみれ)(明日でキャンプも終っちゃう・・・)
菫(すみれ)(勇気、出さなくちゃ・・・頑張って、菫)
菫(すみれ)(このキャンプ中に 絶対に伝えるって決めたの)
菫(すみれ)(大樹くんに、好きって・・・)
菫(すみれ)(そうだ、今のうちに練習しておこうかな)
菫(すみれ)(今日はもう遅いし、せめて練習・・・!)
菫(すみれ)「だ、大樹くん・・・わたし・・・」
菫(すみれ)「実はわたしね・・・大樹くんのこと・・・」
菫(すみれ)「す・・・すっ、すっ・・・!」
大樹(だいき)「俺がどうかした?」
菫(すみれ)「──きゃああああああああ!!!?!?」
大樹(だいき)「うわあああああ!!? なんだよ!?」
大樹(だいき)「いきなり脅かすなって!!」
菫(すみれ)「き、きききき──今のき、聞い──!!?」
大樹(だいき)「落ち着け! 一旦落ち着けって!」
大樹(だいき)「何言ってるかわかんねーから!」
菫(すみれ)「おちっ、落ち着く──落ち着く──!」
菫(すみれ)「すぅーはぁ・・・すぅーはぁ・・・!」
菫(すみれ)「すぅー・・・はぁ・・・」
大樹(だいき)「・・・落ち着いたか?」
菫(すみれ)「う、うん・・・」
菫(すみれ)「ごめんね、大声出しちゃって・・・」
大樹(だいき)「いいよ。急に話しかけた俺も悪かったし」
大樹(だいき)「で、こんなとこで何してたんだ?」
菫(すみれ)「あ、えと・・・あのね、ホタル・・・を」
菫(すみれ)(見ようと思ったんだけど・・・ 途中から考え込んじゃったんだよね)
菫(すみれ)(もし告白がちゃんとできて、 それで受け入れてもらうことができたら)
菫(すみれ)(大樹くんと夜の散歩・・・ ここでするつもりだったから・・・)
菫(すみれ)(でも、偶然だけど大樹くんと二人きり!)
菫(すみれ)(想像してたシチュエーションに近いかも。 これだけでも幸せ・・・!)
大樹(だいき)「ホタル? ああ、菊のやつも言ってたな」
大樹(だいき)「菫はホタルでも見てるんじゃないかって」
大樹(だいき)「・・・好きなのか?」
菫(すみれ)「えっ? な、何が!?」
大樹(だいき)「いや、何がってホタルだけど」
大樹(だいき)「なんで声そんな上擦ってんだよ」
菫(すみれ)「うわ、うわわうわずってなんかないよ!?」
大樹(だいき)「DJかよ」
大樹(だいき)「めっちゃ吃(ども)ってる」
菫(すみれ)「えと、えと・・・あ、ホタル! うん! ホタルも好き!!」
大樹(だいき)「ホタル”も”?」
大樹(だいき)「ここって他に何かあんの?」
菫(すみれ)「あっ、その・・・! ホタル”も”っていうのは・・・」
菫(すみれ)(お、落ち着いて菫! これはむしろチャンスだよ!)
菫(すみれ)(この流れなら言ってもいいはず・・・!)
菫(すみれ)(そうだよ、明日の朝に言うより今言う方が ずっとロマンチックだもん・・・!)
菫(すみれ)「──大樹くん!!」
大樹(だいき)「お、おう!?」
大樹(だいき)(なんか今日の菫、 やけにテンション高いな)
菫(すみれ)「あ、あのね・・・わたし・・・わたしっ」
菫(すみれ)「実はね・・・えっと、ね・・・」
大樹(だいき)「うん?」
菫(すみれ)「わ、わたし・・・」
菫(すみれ)(ダメ・・・一旦落ち着かなきゃ!)
菫(すみれ)(深呼吸・・・深呼吸・・・)
菫(すみれ)「・・・すぅー・・・はぁ・・・」
菫(すみれ)「すぅー・・・・・・」
菫(すみれ)「──────────好き、です」
大樹(だいき)「好き?」
大樹(だいき)「──は? え!? す、好き!?」

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