10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在日ミグランス人

第21話 真相(脚本)

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〇飼育場
ニン・アン・ナ「人間の最初の食糧は母乳⋯⋯」
ニン・アン・ナ「子供にとって母親とは、保護者であると同時に食糧でもある⋯⋯」
ニン・アン・ナ「人工肉、人間の肉を食べると、幼少期の記憶が呼び覚まされる⋯⋯」
ニン・アン・ナ「その結果、幼児退行現象が引き起こされる」
ニン・アン・ナ「LLPAWMはあくまでもトリガー⋯⋯」
ニン・アン・ナ「ほんの些細な切っ掛けに過ぎないのです」
  終末が訪れようとしている⋯⋯
  僕が何をしたって変えられない。
  アニメのヒーローじゃあるまいし、世界なんて救える訳がない。
  聞き分けの良い大人で、マイノリティかも知れないが、その他大勢の一人だ。
  幼児退行化現象は止められない。
  ウカも、誰も、助けられない⋯⋯
ニン・アン・ナ「増え続ける人口を緩和し、食糧を供給する」
ニン・アン・ナ「更に幼児退行現象を起こせば、要らぬ心配をせずに、安らかに逝ける⋯⋯」
ニン・アン・ナ「そろそろ解ったかしら?」
アメタ(何だろう⋯⋯ この気持ちは⋯⋯)
アメタ(諦めにも似た確信⋯⋯)
アメタ(いや、妥協だ)
  この酷い状態が、今の世界を支えている。
  どんなに認めたくなくても、それが真実だ。
  だってこれは世界が選んだ道だ。
  突き詰めた結果、導き出された答えなのだ。

〇渋谷の雑踏
  僕らは天国を目指している筈だった。
  でも辿り着いたのは紛れもない地獄だった。
  後戻りは出来ない。
  もうそんな所まで来てしまった。

〇飼育場
  でも、良いんだ⋯⋯
  人はいつか死ぬ。
  だからせかいもいつか終わる。
  それをおそれるのはむ意味だ。
ニン・アン・ナ「よちよち⋯⋯」
ニン・アン・ナ「怖かったでちゅね⋯⋯」
アメタ「うん⋯⋯ うん⋯⋯」
アメタ「こわかった⋯⋯」
アメタ「こわかったよぉ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「もう泣かなくて良いの⋯⋯」
ニン・アン・ナ「ぜ〜んぶママに任せておけば安心ですからね」
アメタ「マ、マ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「まぁ⋯⋯ 甘えん坊でちゅね〜⋯⋯」
ニン・アン・ナ「よちよち⋯⋯」
ニン・アン・ナ「じゃあ、良い子はそろそろ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「おねんねしましょうね⋯⋯」

〇寂れた村
????「⋯⋯出ない」
????「あと少しだっていうのに⋯⋯」
????「何をやっているんだ⋯⋯」
「せ〜んせ!」
黒孩子「あそぼ〜」
黒孩子「お仕事、いそがしい?」
ハイヌヴェレ「ごめん、今はちょっと⋯⋯」
ハイヌヴェレ「待てよ?」
ハイヌヴェレ「なぁ、何て言ったっけ? アメタの娘」
黒孩子「ウリコちゃん?」
ハイヌヴェレ「そう。連絡先ってわかるか?」
黒孩子「わかるよ〜 交換したから」
ハイヌヴェレ「⋯⋯やっぱり。未来を作るのは子供だな」

〇大教室
ウリコ「ハイヌヴェレ博士?」
ウリコ「生きてたの!?」
ハイヌヴェレ「その話は後だ」
ハイヌヴェレ「アメタは何をしている?」
ウリコ「それが⋯⋯」
ハイヌヴェレ「今すぐ向かってくれ!」
ハイヌヴェレ「今、アメタを⋯⋯」
ハイヌヴェレ「世界を救えるのは君しかいない」

〇大学の広場

〇中庭

〇寂れた村
ハイヌヴェレ「幼児退行化の条件⋯⋯ それは、」
ハイヌヴェレ「①配給品に混入されているLLPAWMがインストールされている ②宗教の様な強い依存先がある ③人工肉を食べている」
ハイヌヴェレ「この条件を満たす場合だ」
ハイヌヴェレ「①は政府の管理が行き届いている限り、ほぼ全人類が当てはまる」
ハイヌヴェレ「②は宗教のかたちをしていなくても良い。依存先が一つしかない場合は極めて危険だ」
ハイヌヴェレ「③が恐らく決定的な引き金になっている」
ハイヌヴェレ「①〜③の条件を満たした上で、強いストレスがかかると、幼児退行が発現する」
ハイヌヴェレ「LLPAWMがインストールされ、飢渇至上主義に傾倒し、こっそり人工肉を食べていた、」
ハイヌヴェレ「ハングリストに幼児退行者が多い理由だ」

〇地下に続く階段
ムルア「しかし幾らメカニズムがわかっても⋯⋯」
ウリコ「かいじょする方法があるんだね!」
ハイヌヴェレ「そういう事だ」
ムルア「でも一体⋯⋯」
ハイヌヴェレ「簡単だ⋯⋯」

〇飼育場
ニン・アン・ナ「⋯⋯何の音?」
ニン・アン・ナ「ウリ、コ⋯⋯?」
ウリコ「立ち上がって! アメタおじさん⋯⋯」
ウリコ「ううん⋯⋯」
ウリコ「お⋯⋯」
ウリコ「お父さんっ!」

〇寂れた村
ハイヌヴェレ「幼児退行を止めるチカラ。それは⋯⋯」
ハイヌヴェレ「自立心」
ハイヌヴェレ「何ものにも負けない強い意志」
ハイヌヴェレ「己さえ犠牲に出来る⋯⋯」
ハイヌヴェレ「親心と愛情だ」

〇飼育場
ニン・アン・ナ「そんな⋯⋯」
ニン・アン・ナ「幼児退行を振り切った!?」
ウリコ「アメタ⋯⋯ お父さん⋯⋯」
アメタ「ありがとうウリコ⋯⋯」
アメタ「危うくウカに叱られるところだった」
ウリコ「うん⋯⋯ がんばって!」
アメタ「ああ⋯⋯」
アメタ「格好良い所、見せてやるよっ!!」
ニン・アン・ナ「本当に悪い子ね⋯⋯」
ニン・アン・ナ「お仕置きしなきゃ!」
アメタ「悪いが付き合っていられない⋯⋯」
アメタ「不真面目なのが僕の取り柄なんでね!」

次のエピソード:最終話 狂った世界で、僕は抵抗を続ける。

コメント

  • お母さん!でウカはどうして留まらなかった…。
    アメタくん、復活して良かったです。
    しかしマザーの思想を覆すのは難しそう。

  • 母性の怪物に、父性を刺激して対抗する……
    最終決戦。方向は違えど、奇しくも同じ心構えの対決ですね…!

  • 親との関係に苦しんできたアメタが、親としての覚悟で窮地を脱出…!激アツです😆
    最終話も楽しみにしてます!

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