10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在日ミグランス人

最終話 狂った世界で、僕は抵抗を続ける。(脚本)

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〇飼育場
  アシストスーツ、パラメータ調整。
  筋力  ☆☆☆☆☆
  俊敏性 ☆
  装甲  ☆
ニン・アン・ナ「そんな⋯⋯ Eaterを殴り飛ばすなんて⋯⋯」
  とはいえ火力が足りない。
  こんな事をしていてもキリがない。
  ここは大学の施設だ。高威力の火器なんて持ち合わせていない。
アメタ「ムルア! 脱出するぞ!」
ムルア「ああ!」

〇地下に続く階段
アメタ「何がどうなってんだ!?」
ウリコ「ハイヌヴェレ博士が助けてくれたの」
アメタ「博士が?」
アメタ「本当だ。履歴が残ってる」

〇寂れた村
アメタ「博士が何故?」
アメタ「死んだ筈じゃ⋯⋯」
ハイヌヴェレ「私は黒孩子(ヘイハイズ)だぞ?」
ハイヌヴェレ「戸籍上はこの世に存在しない」
アメタ「⋯⋯😅」
ハイヌヴェレ「冗談はさておき、」
ハイヌヴェレ「私を殺しに来たあの食糧監察官、詰めが甘いな」
ハイヌヴェレ「私に銃弾を浴びせたまでは良いが、」
ハイヌヴェレ「死んだかどうか、までは確認しなかった」
ハイヌヴェレ「山育ちの体力を舐めすぎだな」
ハイヌヴェレ「二流の仕事だ」
アメタ「食糧監察官? 詰めが甘い?」
アメタ「⋯⋯それ多分、二流じゃなくて三流だな」

〇地下に続く階段
アメタ「それで?」
ハイヌヴェレ「ウリコちゃんにも話したが、」
ハイヌヴェレ「幼児退行現象の解除方法が解った」
アメタ「解除?」
ハイヌヴェレ「残念ながら『回復』は出来ない」
ハイヌヴェレ「だが現在の状態を『解除』するなら可能だ」
アメタ「そんな事をどうやって⋯⋯」
ハイヌヴェレ「システムは兎も角、LLPAWMを作ったのは私だぞ?」
ハイヌヴェレ「解析は難しくない」
アメタ「よくもまぁ⋯⋯」
ハイヌヴェレ「方法はもう体感したから、わかっていると思うが⋯⋯」
アメタ「ああ」
ウリコ「ママも治る?」
アメタ「勿論だ」
アメタ「早く帰って、みんなでご飯を食べよう」
ウリコ「うん!」
アメタ「の、前にここを脱出しなきゃな」

〇中庭
ムルア「おいおいおいおい! 正気かよ!」
ムルア「一般人もいるんだぞ!」
アメタ「人類が滅びても構わないと思ってる奴だからな」
アメタ「僕が引き付ける」
アメタ「ムルアはウリコを頼んだ」
ムルア「わかった」
ムルア「死ぬな⋯⋯ よ?」

〇お嬢様学校
  Eater。
  人間の死体を食べて、それをエネルギーに変えて動く、イカれた兵器だ。
  手持ちの火器は⋯⋯
  パイナップルぐらいしかない。
アメタ「文字通り⋯⋯ 食らえっ!」
アメタ「これで⋯⋯」
アメタ「嘘だろ⋯⋯」
アメタ「どんだけ出て来るんだ」
  キリがない。
  大学の購買部ってライフルとか売ってたっけ?
  このままじゃ、いつかやられてしまう。
???「使いますか? センパイ?」
アメタ「お前⋯⋯」
アメタ「⋯⋯誰だっけ?」
シンノウ「酷くないですか?」
アメタ「生きてたんだな」
シンノウ「センパイが致命傷を避けてくれたお陰ですよ」
アメタ(トドメを刺したのはムルアだった気がするけど⋯⋯)
アメタ「ああそのとおりだよかったぶじでなにより」
アメタ「で? 何をしてるんだ?」
シンノウ「どうも洗脳状態が解けた様で」
アメタ「信用出来ねぇ⋯⋯」
シンノウ「輸血用の人工血液ですよ」
アメタ「⋯⋯そうか」
アメタ「血中の安定剤や鎮静剤も抜けるから⋯⋯」
アメタ「流石に輸血用の血液なら、LLPAWMも入ってないか」
シンノウ「そういう事です」
アメタ「しかし何故、僕に協力する?」
アメタ「お前はウェスタだろう?」
シンノウ「病院に居て⋯⋯ 気がついたんすよ⋯⋯」
シンノウ「美味いもん食いてぇなぁってっ!!」
シンノウ「どうせ死ぬんなら、最後に美味い物食べてから死にたいな、と」
シンノウ「信用出来ませんかね?」
アメタ「いや⋯⋯」
アメタ「十分だ」

〇飼育場
ニン・アン・ナ「本当に悪い子⋯⋯」
ニン・アン・ナ「悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子⋯⋯」

〇飼育場
ニン・アン・ナ「もういらない⋯⋯」
ニン・アン・ナ「ママの言う事が聞けない子は⋯⋯」
ニン・アン・ナ「地球(ウチ)の子じゃありません!」

〇おしゃれな大学
ニン・アン・ナ「どうしてママの言う事が聞けないの?」
ニン・アン・ナ「バカな子ばっかり!」
ニン・アン・ナ「このままなら楽に死ねるのに⋯⋯」
ニン・アン・ナ「そんなに苦しみたいなら、そうさせてあげるわ!」
ムルア「くっ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「貴女はいい子だから、ママの言う事が聞けるわよねぇ?」
ニン・アン・ナ「ウリコちゃん?」
ウリコ「違うもんっ!」
ウリコ「わたしのママはママだけだもん!」
ウリコ「保食ウカだけ」
ウリコ「あなたはママじゃないっ!!」
ニン・アン・ナ「⋯⋯」
ニン・アン・ナ「そう⋯⋯」
ニン・アン・ナ「貴女も悪い子なのね⋯⋯」
アメタ「まあ、こういう場面は間に合わせないとな!」
ムルア「アメタ⋯⋯」
ムルア「⋯⋯と、誰だっけ?」
シンノウ「⋯⋯もう良いです」
ニン・アン・ナ「あら、貴方は良い子だった筈なのに⋯⋯」
ニン・アン・ナ「お友達は選ばないと」
シンノウ「⋯⋯すいません。ニン・アン・ナ」
シンノウ「もう少しだけ、生きてたいんです」
ニン・アン・ナ「こんな絶望しかない世界で?」
シンノウ「絶望しかないから、です」
ニン・アン・ナ「怖くないの?」
シンノウ「怖いですよ」
シンノウ「怖いから⋯⋯」
シンノウ「貴女と戦うっ!」

〇おしゃれな大学
  どうなってんだ!?
  食糧監察官が二人がかりで戦っているのに⋯⋯
アメタ「強すぎるッ!」
アメタ「若く見積もっても六十代だろ!?」
アメタ「普通は衰えて⋯⋯」
アメタ「いや、普通じゃないのか⋯⋯」
シンノウ「データでは八十代の筈だ」
アメタ「どんなババアだよ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「母は強し😆」
ニン・アン・ナ「世界を統べるママだもの」
ニン・アン・ナ「世界一強いし、世界一頭が良いし、世界一のお金持ちなのよ?」
アメタ「成程。特注のアシストスーツか」
ニン・アン・ナ「そういう事」
シンノウ「あ、ぐ⋯⋯」
アメタ「シン⋯⋯」
アメタ「ぐっ⋯⋯」
アメタ「あ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「これで解ったでしょう?」
ニン・アン・ナ「もう諦めなさい」
アメタ「⋯⋯」
ニン・アン・ナ「何故立つの?」
アメタ「⋯⋯知るか」
ニン・アン・ナ「何故諦めないの?」
アメタ「知るか」
ニン・アン・ナ「私を倒しても幼児退行は止めら⋯⋯」
アメタ「知るかよぉっ!!」
ニン・アン・ナ「反抗期かしら?」
ニン・アン・ナ「ママに手を上げるなんて⋯⋯」
アメタ「親なら⋯⋯」
アメタ「親なら、子供の為に生きろよ!」
アメタ「子供の為に世界を良くしてやれよ!!」
アメタ「子供が生きやすい世界を作ってやれよ!!!」
ニン・アン・ナ「だから! そんな事は無理なの!」
ニン・アン・ナ「子供みたいな事を言っ⋯⋯」
アメタ「うるせぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ニン・アン・ナ「ぐっ⋯⋯」
アメタ「なにがママだ!」
アメタ「子供の為じゃなくて、」
アメタ「子供のせいにしてるだけだろっ!」
ニン・アン・ナ「失礼な⋯⋯」
ニン・アン・ナ「私を誰だと思ってるの!?」
アメタ「変態ヒステリー毒親クソババア」
ニン・アン・ナ「なっ⋯⋯」
ニン・アン・ナ「⋯⋯」
ニン・アン・ナ「もう殺す」
アメタ「上等だ。老害」

〇ヘリコプターの中
カンナビス「まったく!」
カンナビス「スクランブルだからって出て来てみりゃ!」
カンナビス「学校が燃えてるわ」
カンナビス「Eaterがわんさかいるわ」
カンナビス「どーなってんだこりゃ!?」
カンナビス「残業確定じゃねーか」
カンナビス「ううぅ⋯⋯」
カンナビス「もう帰りたい⋯⋯」
カンナビス「か゛え゛り゛た゛い゛⋯⋯」
カンナビス「おうちかえりゅ〜⋯⋯」
カンナビス「ままぁ〜⋯⋯」

〇おしゃれな大学
「⋯⋯!!」
ムルア「おい⋯⋯ もう何分になるんだ⋯⋯」
ムルア「決着付かないぞ⋯⋯」
ウリコ「お父さんは負けないもん⋯⋯」
シンノウ「いや⋯⋯」
シンノウ「体の大きい先輩の方が体力の消耗が激しい」
シンノウ「スーツも旧型だ」
シンノウ「このままだと⋯⋯」
ムルア「⋯⋯」
ウリコ「大丈夫だもん⋯⋯」
ニン・アン・ナ「いい加減にしなさい」
ニン・アン・ナ「子供じゃあるまいし⋯⋯」
ニン・アン・ナ「本当に世界が救えるとでも思ってるの?」
ニン・アン・ナ「くだらないマンガやアニメの見すぎだわ」
アメタ「そのくだらないものが必要なんだよ」
アメタ「夢を描いて⋯⋯」
アメタ「理想を求めて⋯⋯」
アメタ「新しい世界を作るには!」
アメタ「その為に大人がいるんだろ」
ニン・アン・ナ「現実逃避だわ」
アメタ「逃げてるのはあんただろ!」
アメタ「僕は諦めない⋯⋯」
アメタ「どんなに絶望的でも⋯⋯」
アメタ「どんなに狂った世界でも⋯⋯」
アメタ「抵抗し続けてやるっ!」
アメタ「ニン⋯⋯」
  まだ⋯⋯ 来ては駄目⋯⋯
  母⋯⋯ さん?

〇黒

〇黒

〇黒

〇綺麗な病室

〇病室の前

〇黒
  世界の人口が百億人を突破していた。
  その結果、世界規模の食糧不足となり、
  食欲と性欲の価値観が逆転した⋯⋯
  それでも、僕らは何とか生きている。
  どんなに無茶苦茶な狂ってしまった世界でも、
  それなりに、うまくやっていけている。
  これからも、きっと多分、酷い目に遭うだろう。
  でも、まあ⋯⋯
  美味しい物と、
  家族がいれば、
  何とかなるだろう。

コメント

  • 良かったです。
    ヴィリヲンはタップノベルを始めた頃に読んで、こんなに映画みたいに作れるんだと衝撃を受けた作品でした。
    推奨されてなかった地の文の多さもむしろ魅力で、今後のタップノベル小説勢のモデルになると思います。
    完結おつかれさまでした🎉
    ムルアの寂しげに笑って去っていく姿→結婚式のスチルのコンボも結構きました笑

  • 遅ればせながら…完結おめでとうございます!
    80歳を越える幼女との肉弾戦、映像で見てみたかったです🤤
    ヘリの落下直前、アメタを突き飛ばした手はどちらの母だったのか…?
    壮大な世界観の長編小説、楽しませて頂きました。
    お疲れ様でございます😄

  • すっごく面白かったですー!!!!!!!
    どうすればこういう設定を思い付くんですか!?凄すぎます!!!!!SFのドラマや映画として通用するのでは!?

    映画化とかしても過言ではないのでは!?と思いながら読んでおりました!!とっても面白かったです!!(o^^o)
    ありがとうございました!!!!

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