アングラ☆リーガル

杜若ゆうき

エピソード8(脚本)

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〇古いアパート

〇女の子の部屋
  紫苑は珍しそうに部屋の中を眺めていた。
  本棚の写真立てには、菜々美を含めた五人の子どもたちと母親の姿がある。
  写真の隣に置かれた手紙には『菜々美、アイドル修行頑張ってね! 母より』とメッセージが書かれていた。
大野菜々美「さっきからそればっか見てる?」
松山紫苑「ふふ、素敵な家族だなぁと」
大野菜々美「ただのビンボー家族だよ」
松山紫苑「優しそうなお母さん。 お父さんが撮ったんですか?」
大野菜々美「お父さんは・・・居ない」
松山紫苑「あ、ごめんなさい!」
大野菜々美「いや、謝ることじゃないけど」
松山紫苑「ごめんなさい」
大野菜々美「敬語、やめない? 紫苑のが年上でしょ?」
松山紫苑「あ、ごめん」
大野菜々美「その、すぐ謝るのもやめて」
松山紫苑「あ、ごめ──」
大野菜々美「食べる? これ好きなんだ! ピロリチョコ!」
松山紫苑「ええ? 私も!」
大野菜々美「うそ、一緒!? 紫苑はこんなの食べないかと思った!」
松山紫苑「何でです・・・何でよー?」
大野菜々美「そう、タメ語でね!」
大野菜々美「これ食べると超リラックス出来るんだ! 1日の疲れが吹き飛ぶっていうか」
松山紫苑「わかるー。 私もいつも試験前に食べるんだ」
松山紫苑「ねね、菜々美は何味が好き?」
大野菜々美「ずんだ餅味かなぁ」
松山紫苑「一緒!!」
  紫苑はチョコを口に入れる前に、除菌ジェルでしっかりと手を拭く。
大野菜々美「・・・それなに?」
松山紫苑「除菌ジェルがどうかした?」
大野菜々美「何で今?」
大野菜々美「もしかして、トイレに行っても洗わずに、食べる前だけ綺麗にするタイプ?」
松山紫苑「どんなタイプだよ!」
松山紫苑「何となく、いつもお母さんに言われるから、癖でさ」
大野菜々美「ふーん・・・」

〇女の子の部屋
大野菜々美「あ、東京桃組7のDVD観る?」
松山紫苑「え? 何それ?」
大野菜々美「バカっ! アイドルの神だよ? 彼女達を知らないなんて」
松山紫苑「そんなに有名なの!?」
松山紫苑「あれ? これ今日発売? ずっと稽古場居たのに?」
大野菜々美「前日に並んでフラゲした!」
大野菜々美「それくらい、すごい存在なんだ」
大野菜々美「さ、これ見て勉強!」
松山紫苑「菜々美は本当にストイックだね」
大野菜々美「そう?」
松山紫苑「最初会った時はただの感じ悪い女だと思ったけど、全然違った」
大野菜々美「ははは、そっちこそ」
大野菜々美「ぬるくてトロくて、一番嫌いなタイプだ、見当違いだったって思ったケド」
松山紫苑「ひどい!」

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