ロイコちゃんのキセイ先

根本ぴゃ

洗脳#1『ママは料理恐怖症なのデス!』(脚本)

ロイコちゃんのキセイ先

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〇明るいリビング
  俺は蝸牛 渦(かぎゅう うず)
  フツーの中学2年生
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「うー君おはよう!最近早寝なのにお寝坊さんね?お疲れかな?」
  母・角子(つのこ)
  お節介。いつも人のことばかり気にしてる
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「寝ろ寝ろ!寝て、ちったぁ育て!ハッハッハッ!」
  父・牛歩(ぎゅうほ)
  無神経。体、声、態度⋯全てが無駄にでかい
  そして──
ロイコちゃん「こんな可愛い妹と同室で、よく平然と寝られるデスね~!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「お前を視界に入れたくないんだよ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「さっさとうちから出てけ!俺に妹なんていない!」
  そう、こいつ『ロイコ』は妹なんかじゃない
  突然うちに現れ、妹面で居座る余所者(エイリアン)だ
ロイコちゃん「え〜ん、お兄がいじめるデスうぅ~!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「だから兄じゃねぇって!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(んな雑な妹設定で、得体の知れない女と同居できるか!)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(正体暴いて追い出してやる!)
ロイコちゃん(なぜコイツだけ洗脳できないデスか?擬態も完璧なはずなのに⋯)
ロイコちゃん(『計画』を阻まれる前に追放してやるデス!)
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「二人とも仲良くしてよ〜。お母さん悲し〜。しくしく⋯」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「こら、渦っ!レディー達を泣かせるなんて、失礼でぃーないかっ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(なんで俺が悪いみたくなってんだよ)
ロイコちゃん「べー👅」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「もう行くから!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「待って、うー君!お弁当!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「ん⋯」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「歯磨きはしていくよね?あ、雨降ってるから──」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「どんどん態度悪くなるな、あいつ」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「そういうお年頃なのよ」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「でもね、ご飯はいつも残さず食べてくれるの!お弁当も!」
ロイコちゃん「お腹空けば飯食うデス。そんな本能的行動の何が嬉しいデスか?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「それはね──」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「おい!そろそろ出ないと!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「やだ、もうこんな時間!?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「ごめんね、ロイコちゃん。またね」
ロイコちゃん「いってらっしゃいデス~」
ロイコちゃん「ふぅ」
ロイコちゃん「寄生して一週間。この家族も大分掴めてきたデス」
ロイコちゃん「お兄はご飯の時以外、ほぼ家族と顔を合わせないデスし、」
ロイコちゃん「どうやら『ママの料理』はお兄と家族を結ぶ唯一の絆のようデスね!」
ロイコちゃん「生贄第一号決定デス。まずはお兄をこの厄介な殻(いえ)から放り出すデス!」
ロイコちゃん「『全人類鳥葬計画』始動デスッ!!」

〇学校の校舎

〇教室の教壇
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(親父もおふくろも何であいつばっか庇うんだ)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(本当の子供は俺なのに⋯)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(あんな奴、食っちゃ漫画、寝ちゃゲームの寄生虫なのに⋯!)
担任の先生「どうかしましたか?蝸牛君?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「いえ⋯別に」
担任の先生「具合悪いですか?顔色が悪いような⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「気のせいッスよ」
担任の先生「そう。身体や心がつらいときは先生に言ってくださいね!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「あざっす!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(言ってどうなる?爺ちゃん婆ちゃん、警察⋯皆揃ってアイツの肩を持つ)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(考えんのもダリィ。帰りたくねぇ⋯)

〇一戸建て
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「はぁ──」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(マジでなんでうちなんだよ。どこぞの資産家の子にでもなりゃいいだろうが)
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「うー君おかえりー!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(顔合わせたくないときに限って、帰りが被るんだよな⋯)
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「今日は学校どうだった?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「そんなんどうだっていいじゃん」

〇明るいリビング
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「ただいまロイコちゃん。困ったことはなかった?」
ロイコちゃん「課金したいからクレカよこすデス」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「ほどほどにね?」
ロイコちゃん「ママだってたくさん買ってるデス」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「これは皆のご飯用よ!値引きやポイントデーだってフル活用してるし!」
ロイコちゃん「料理できなきゃ、全て無駄なのデス」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「ちゃんと料理するよ?私」
ロイコちゃん「できないデスよ。なぜなら──」
ロイコちゃん「歪めよ認知⋯   歪めよ家族⋯」
ロイコちゃん「ロ〜イコ・ロロイコ・ロイコクロリビ〜ム!!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「おふくろ!?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「うぅ⋯私⋯なんでスーパーなんかに⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「落ち着けよ!! どうしたんだ!?」
「フッフッフッ」
ロイコちゃん「ロイコちゃんの洗脳により、ママは極度の『料理恐怖症』になったデス!」
ロイコちゃん「ママは食材で、食材はママ!」
ロイコちゃん「ママにとって調理するは、調理されるに等しいのデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「やっぱりテメェの仕業か! 何なんだお前は!何が目的だ!?」
ロイコちゃん「ロイコちゃんは高貴なる宇宙存在、パラシティア星人デス!」
ロイコちゃん「不死鳥様に人類を捧げるため、ニンゲンどもを散り散りしてやるデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「意味不明すぎる⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「すぐに母さんを戻せ!! でないと──」
ロイコちゃん「でないと?」
ロイコちゃん「ロイコちゃんが死んだらママの洗脳は一生解けないデスよ〜」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「くっ」
ロイコちゃん「諦めて家から出ていくデス!ママの料理なき今、ここに貴様の居場所はないデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「なんでそうなるんだよッ!!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「そうよ、ロイコちゃん。それは違うわ」
「ママ!?     おふくろ!?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(ロイコの自白で正気に戻ったのか?)
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「家を出ていくべきは、うー君じゃない⋯」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「私よ────ッ!!」
「なんだってェ────ッ!?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「料理という唯一の取り柄を失った今、私はただの穀潰し」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「片津(旧姓)角子に戻ります」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「口減らしすれば、外食メインでも暮らしていけるでしょ?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「いや、そうはなんねぇだろ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(この思いつめよう⋯洗脳の影響か?それとも最近俺が母さんをスルーしすぎたから⋯?)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「とにかく!今夜は俺が作るから⋯」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「でも⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「いいから休んでろって!疲れてるんだよ、あんた!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「うー君⋯」

〇おしゃれなキッチン
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「⋯なについて来てんだよ?」
ロイコちゃん「貴様、ご飯係の地位を狙ってるデスね?思い通りにはさせないデスよ!」
ロイコちゃん「ママの後釜に座るのはロイコちゃんなのデス!いざ、料理で勝負デス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(⋯おふくろの側に置いとくよりマシか)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「毒とか入れんなよ」
ロイコちゃん「貴様こそ!勝ち目がないからって、妨害するなデスよ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(てか料理できたのか、こいつ)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(普通にこっちの飯食ってるし、意外と俺らと生物学的に近いのか⋯?)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(なんてな)
ロイコちゃん「ふん、トロっちいデスね!ロイコちゃんの刃物捌きをとくと見ろデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「大丈夫か?」
ロイコちゃん「包丁が滑っただけデスッ!下等生物がロイコちゃんを心配するなデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「わぁったよ」
ロイコちゃん「チキンな火力デスねぇ!ロイコ・ファイアーを見習うデス!」

〇一戸建て
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「お、今夜は賑やかだな」

〇明るいリビング
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「美味しい♥️さすが、うー君!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「大したことねぇし。これからも俺が作るし」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「子供に飯炊き強要する毒親は去ります⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「だからいちいち出てこうとすんなよ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(クソッ!どうすれば⋯)
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「飯くれぇ素直に協力し合えばいいだろ!」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「でもな⋯」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「出てくとか言うなよッ!お前がいなきゃ俺の心が飢え死にしちまうよォ!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「はい、角子は一生『蝸牛角子』です❤️」
ロイコちゃん(ぐぬぬ⋯和気藹々と一家団欒しおって⋯)
ロイコちゃん(マズい飯がますますマズくなるデス!)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「ほれ」
ロイコちゃん「これは?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「食えよ。消し炭じゃん、それ」
ロイコちゃん「貴様ッ!またしてもロイコちゃんを憐むデスか!?」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「お?ロイコも作ったのか?そっちもくれよ!」
ロイコちゃん「へ?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「お母さんも〜!シェアしよ♪シェア♪」
ロイコちゃん「べ、別にいいデスけど⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(いや、断れってやれよ。鬼か!)
「いただきま〜す!」
「パクッ」
「Oh⋯ォッ、」
「オッぃし────いッ!!」
ロイコちゃん「ふぇ?」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「クリスピーなほろ苦さが⋯たバらないわ!もぐもぐ⋯」
蝸牛 牛歩(かぎゅう ぎゅうほ)「こん、な豪快なカリィは初めて、だゼィ!ガツガツ⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(無理すんなよ、お人好し共。そんな見え見えの嘘、即バレするに決まって──)
ロイコちゃん「はぇえ?」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(ん?)
ロイコちゃん(なんデスか、この気持ちは──?)
ロイコちゃん(フワフワ落ち着かないのに、ポカポカ暖かい)
ロイコちゃん(もしや⋯!これが今朝ママが言おうとしていた──)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(これは⋯まさか、二人のお世辞にロイコが絆(ほだ)されている!?)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(いや、チョロすぎんだろ!)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(でもこいつ⋯『家族意識』植え付ければ、大人しくなるんじゃね?)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)(──よし!)
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「ガヂリッ!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「うっ⋯」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「わー、マジうめー。明日からロイコ飯当番してほしーわー(棒)」
ロイコちゃん「見え透いた嘘を!消し炭が旨いわけないのデス!」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「えぇ⋯」
ロイコちゃん「ま、いずれはロイコちゃんがママの後釜に座るわけデスし?」
ロイコちゃん「明日から早速ママに引き継いでもらうデス」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「無理よロイコちゃん、料理を教えるなんて、私にはとても──」
ロイコちゃん「できるデスよ──」
ロイコちゃん「ロイロイロイコ・ロイコクロ・リリース!!」
蝸牛 角子(かぎゅう つのこ)「どんと任せてロイコちゃん!」
  こうして──
  俺と妹(仮)との冷戦が幕を開けた

〇キラキラ
ロイコちゃん「ここまで辿り着いた貴様らに、特別に今後の計画を教えてやるデス!」
ロイコちゃん「ロイコクロリビーム!」

〇ケーキ屋
  予告①『ママの親友は等身大茶運び人形デス!』
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「ご近所さんの目線が痛いッ!」

〇工事現場
  予告②『パパの会社の社長さんはゴリラなのデス!』
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「社長のトラウマえぐってリストラの危機だ!」

〇壁
  予告③ロイコちゃん洗脳パワーアップ!
  『渦はうちの子じゃないのデス!』
「さよなら、渦くん」

〇キラキラ
ロイコちゃん「我が同胞は、そこかしこに潜んでいるデス」
ロイコちゃん「ほら、あなたの横のその人も──」
蝸牛 渦(かぎゅう うず)「不穏な締め方すんなよ」

コメント

  • 大変遅ればせながらに、読ませていただきました🙏
    ロイコちゃんが可愛いかったです😆
    口調とビジュアル、クスクスの効果音が相まって、クセのある声のイメージが湧きますね

    閲覧注意と言われたら、見たくなってしまいますね😊

  • 「ロイコちゃんのキセイ先」は、エイリアンの妹が家族に擬態し、人間たちの不死鳥様を葬る計画を阻止するヒューマンドラマです。不思議な家族の絆や、普通の中学生が感じる孤独や葛藤が描かれています。主人公の蝸牛くんは、家族に馴染めずにいる中、エイリアンを家族として受け入れることで、自分自身も成長していく姿が印象的でした。また、ロイコちゃんのキャラクターも魅力的で、家族になりすました理由や計画についての謎がどんどん解き明かされる展開が面白かったです。多様な家族の形を描きながら、笑いもあり、感動もありの素晴らしい作品でした!

  • ロイコちゃん、絶妙なウザさですね。
    可愛らしさと有害さを兼ね備えている!

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