グリモワール図書館

oyama

一話(脚本)

グリモワール図書館

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〇英国風の図書館
  ある昼下がり。
  山沿いの港町、サントコキー。ドイツとの境に位置する山の中にあるグリモワール図書館は、いつも静かだった。
  しかし────
オグル・グリム「ばあ!」
薄墨界「お前また・・・・・・」
オグル・グリム「カイお兄さん、遊びに来ちゃった♪」
  突然、黒いモヤが現れたかと思うと、少年が現れた。彼は魔法使いだった。
オグル・グリム「先生も咲ちゃんもいないんだし」
オグル・グリム「・・・・・・それにここに来て良いって言ったのはそっちだよね?」
  少年、オグル・グリムには親族がいなかった。だが、彼の親代わりになる”先生”という存在や、
  オグルの”弟弟子”にあたる、秋田咲次郎という男がいたが、
  以前にひどい抗争があり、それに巻き込まれ、先生は死亡、咲次郎は失踪してしまい、オグルは行く当てを無くしてしまっていた。
  そんな中で、図書館側は彼を受け入れ、いつでも来るといい、と交わしていた。
薄墨界「そうかもしれんが・・・」
ララ「あら、どうしたの?」
オグル・グリム「あ!ララお姉さん!」
ララ「ごきげんよう、オグル・グリム。今日はどうしたの?」
オグル・グリム「うん。ちょっと用事♪」
オグル・グリム「お兄さんにね」
薄墨界「俺に?」
薄墨界「依頼の用事以外断るが」
オグル・グリム「その”依頼”の話さ」
薄墨界「それは・・・?」
オグル・グリム「言ったでしょ、依頼だよ」
オグル・グリム「と言っても僕のじゃないけどね」
薄墨界「なら誰のだ?」
オグル・グリム「山を歩くのがしんどいって言ってたおばあさんだよ」
オグル・グリム「ここに探偵がいるって聞きつけて、届けたいんだって言ってたから、たまたま通りかかった僕が、代わりにね」
薄墨界「・・・? まあ良いが、拝借しよう」
  そこには、人探しを依頼するような内容が書かれていた。
薄墨界「ふむ・・・同封された写真を見るに、漁師のようだが」
オグル・グリム「珍しいね、写真なんて」
薄墨界「まあ、写真なんてあまり撮らないだろうからな」
薄墨界「とはいえ、漁師が行方不明とすると、海、か?」
オグル・グリム「妥当だね。漁師だもの、船で仕事に行ったんじゃない?」
薄墨界「・・・・・・」
  界は少し考えると、オグルに言った。
薄墨界「その婆さんって、どんな人だ?会えるか?」
オグル・グリム「じゃあ、まずはそのおばあさんから探そっか!」
  なぜか張り切っているオグルは、軽い足取りで図書館を出ようとしていた。
  界はララに「行ってくる」と言い残し、オグルについて行った。

〇綺麗な港町
  山を下り、街に出た二人。麓に依頼主がいたらしいが、すでにいないようだ。
薄墨界「・・・・・・その婆さん、他に何か言っていたか?」
オグル・グリム「うーーん」
オグル・グリム「・・・・・・」
オグル・グリム「・・・・・・」
オグル・グリム「・・・」
オグル・グリム「さっぱり分かんない」
薄墨界「・・・」
  普段から、突発的に興味があるものには行動的だが、興味を無くした時点で一切記憶さえしなくなる。
  そういった一面を知っている界は頭を抱えた。
  『情報は力だ。』
  何者であれ、頭だけで記憶することは無茶でしかない。
  しかし、彼にとって依頼主は本当にどうでも良い存在なのだろう。
  どう考えても自分の仕事が増えるだけだ。
  初めから自分が話を聞いていれば、手間は省けたはずだった。
オグル・グリム「まあまあお兄さん!当てがないわけじゃないよ」
  微かに記憶しているのか、はたまた根拠のない自信を持っているのかわからないが──
薄墨界「・・・分かった。手間を増やすなよ」
オグル・グリム「はーい!」
  元気よく返事をすると、オグルはあてがあるという方向に歩いていった。

次のエピソード:二話

コメント

  • マイペースなオグルに周囲が振り回される物語なのかな。ヨーロッパが舞台で図書館がベースになる雰囲気の物語は大好物なので、これからの展開が楽しみです!

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