タケオ

れこん

6話 夫婦の思い出(脚本)

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〇モヤモヤ
サトル「駄目だ、全然思い出せない」

〇開けた交差点
  あの日、急に道路に飛び出した僕はトラックに轢かれた
  けれど奇跡的に一命を取り留めたあと、後遺症で、以前の記憶を失ってしまった。

〇病室
サトル「僕は・・・いったい過去に何をしていたんだ」
???「お兄さん、そんなに苦しまないで」
サトル「ヒロコちゃん・・・」
ヒロコ「過去のことを忘れてしまったなら、また新しく思い出を作ればいいじゃないですか」
サトル「思い出を作る・・・」
ヒロコ「はい、リンゴ剥けましたよ」
サトル「ありがとう」
  彼女はヒロコちゃん。病院で目覚めた時から僕の側に居て、ずっと世話をしてくれている。
  けれど僕はこの子が僕とどんな関係なのか全く分からない
サトル(よし、今日こそ勇気を出して君が僕とどんな関係なのか聞くぞ)
サトル「あのさ・・・」
サトル「僕とヒロコちゃんってどんな関係だったの?」
ヒロコ「どんな関係ですって!?」
サトル(まずい、怒られる)
ヒロコ「そんなの・・・」
ヒロコ「恋人同士に決まってるじゃないですか」
ヒロコ「なんですかその反応?」
ヒロコ「何か問題ありますか?」
サトル「いや、いくらなんでも年が離れすぎじゃない? 世間一般的に問題ありだと思う」
ヒロコ「他人から見た主観的な問題なんて関係ありません」
サトル「そ、そうかな・・・」
ヒロコ「良いですかお兄さん」
ヒロコ「記憶が無くなる前のあなたは確かに私と真剣に交際して愛を育んでいました」
サトル「えっ、本当!?」
サトル(おいおい、以前の僕はロリコンだったのか?)
ヒロコ「いくら記憶が無くなったとはいえ、きちんと責任は取ってもらいますから」
サトル「責任!?」
ヒロコ「はい、再び私と交際して下さい」
ヒロコ「因みに断ったら警察に行って逮捕してもらいます。そして訴えて裁判で慰謝料を貰いますから」
サトル「わ、分かったからそれだけはやめてくれ」
ヒロコ「ふふ、ではふつつかものですが、再び宜しくお願いしますよ?」
ヒロコ「お、に、い、さん♡」
サトル(トホホ、なんてこった)
サトル(けど、ずっと僕の世話をしてくれたんだし、悪い子ではないのか)
ヒロコ「あっ、そろそろお暇する時間です」
ヒロコ「では、また今度」

〇病室の前
  使われていない病室
ヒロコ「・・・」
ヒロキ「ふぅ・・・ゴスロリ服で変装するの大変だな」
  そう、ヒロコの正体は僕だ。
  記憶を無くしたお兄さんに近づく為にこうして変装している。
ヒロキ(お兄さん、こんな卑怯なマネしてごめん)
ヒロキ(けど俺、どうしてもお兄さんと恋人になりたかったんだ)
  おそらくいつかこの行動がバレる日が来る
  だけどどうか、せめてその時まで側にいさせて欲しい
  ヒロキ第二話終わり、次回に続く

〇本棚のある部屋
  漫画『ヒロキ』原稿
内藤理沙(ないとうりさ)「おっしゃああ! ええねええねぇ!」
内藤理沙(ないとうりさ)「妄想が脳から溢れて出て一気に原稿が進むわ」
内藤理沙(ないとうりさ)「お兄さんを思うヒロキ君も健気でブチ萌る!」
内藤理沙(ないとうりさ)「こりゃイケるで!」
  ウチは今、確かな手応えを感じていた。
内藤理沙(ないとうりさ)(これなら送るコンテストに入賞──いや、もしかしたら出版社に持ち込んでもイケるかもしれん)
内藤理沙(ないとうりさ)「──って、いけん。気が早すぎるし、自意識過剰じゃわ」
内藤理沙(ないとうりさ)「・・・」
内藤理沙(ないとうりさ)(じゃけど、ホンマに漫画家になろうとするなら、そろそろプロデビューせんといけん)
内藤理沙(ないとうりさ)(何時までカナメっちにおんぶに抱っこじゃ申し訳ないけえ)
内藤理沙(ないとうりさ)(・・・)
内藤理沙(ないとうりさ)(アレからもう何年じゃろうか)

〇大学
  ウチとカナメっちの関係は、大学生の頃から始まった。

〇生徒会室
  当時、ウチ(旧姓柏木)はカナメっちと大学の漫画サークルに所属しとった。

〇生徒会室
内藤要(大学生)「ちょっと柏木さん! この漫画の原稿を読ませてもらったけど、どういう事!?」
柏木理沙「は? そげに怒ってどしたんですか先輩?」
内藤要(大学生)「どうしたもこうしたもないよ!」
内藤要(大学生)「今度の漫画大会のテーマは『愛』なのに君の描く愛はなんなんだ!?」
内藤要(大学生)「男同士の恋愛じゃないか!?」
柏木理沙「何を言うんかと思えば、別にソレくらい普通じゃないですか」
柏木理沙「あっ、もしかして先輩こういうの苦手なん?」
柏木理沙「遅れとるわ~」
内藤要(大学生)「黙れ! 田舎者の柏木さんに言われたくなんかないね!」
柏木理沙「なんじゃと!? あんたウチの出身をバカにしとるんか、オウっ!?」
内藤要(大学生)(うっ・・・(怖))
内藤要(大学生)「ごめんえーと・・・恋愛対象は人それぞれだしそこは良いとしよう」
内藤要(大学生)「だけど僕にだって、どうしても許せない事があるんだー!」
柏木理沙「な、なんね?」
柏木理沙(先輩すごい気迫じゃ、今度はコッチが押されよるわ)
内藤要(大学生)「いいかいよく聞け」
内藤要(大学生)「なんで主人公のパートナーが他の奴にネトラレるんだよー!」
  ※ネトラレとは──要するに交際しているパートナーが他の人に無理矢理奪われる事。
柏木理沙「はぁ、それがどしたんですか?」
内藤要(大学生)「ちょっと柏木さん、君のその反応・・・」
内藤要(大学生)「恋人が他の奴に取られた時の気持ちが分かって無いだろ!」
柏木理沙「えっと・・・」
柏木理沙「あっ、そういえば!」

〇ラブホテル
内藤要(大学生)(そんな・・・マキちゃん、どうして)
  先輩はこの前、恋人のマキ先輩が他の男とホテルから出て来るのを目撃したんじゃった。

〇生徒会室
内藤要(大学生)「やめろー! それ以上あの日の事を言うんじゃない!」
内藤要(大学生)「うわああああんマキちゃーん! なんであんなチャラい男とホテルに〜!」
柏木理沙(うわっ、先輩ガチ泣きしとる(ドン引き))
柏木理沙(じゃけど、しゃーないけえ慰めてあげるか)
柏木理沙「先輩、ウチが先輩の気持ちもよー知らんとネトラレ物描いて申し訳ございませんでした」
内藤要(大学生)「えっ、柏木さん!? 急にどうしたの?」
柏木理沙「べ、別に・・・泣いとる先輩がウザいけえ謝罪しよるだけです!」
柏木理沙「あと先輩! ウチ言いましたよね?」
柏木理沙「マキ先輩はフワっとして流されやすい性格なんじゃけえ」
柏木理沙「あんな女すぐに悪い男に騙されるんよ!」
内藤要(大学生)「黙れ、僕の元カノを悪く言うな!」
柏木理沙「ハァ!? 先輩、アンタなんであんな酷い女庇うん! バカなん?」
内藤要(大学生)「え~とほら、一度は愛した女性だしさぁ・・・悪く言われたら気分悪いじゃん」
柏木理沙「なっ!?」
柏木理沙「ううぅ~・・・」
内藤要(大学生)「柏木さん?」
柏木理沙「あーもう! 我慢できーん!!」
柏木理沙「先輩はいつまでも終わった女の事でウジウジして!」
柏木理沙「挙げ句の果にウチの描く漫画にケチつけて来るし、ホンマにウザい!」
内藤要(大学生)「ヒイィィィ、ごめん柏木さん」
柏木理沙「ほいじゃけえウチと交際してもらいますけえ!」
内藤要(大学生)「うん、わかったから許して」
内藤要(大学生)「・・・ん?」
内藤要(大学生)「ちょっと柏木さん、今の話の流れ的におかしくない?」
柏木理沙「べ、別におかしくないけえ!」
柏木理沙「ウチはただ、先輩がウジウジしとったら張りが無いけえさっさと恋人になってあげようとしとるだけです!」
柏木理沙「それともなんなん? 不満でもあるんですか?」
内藤要(大学生)「な、無いです! よ、宜しくお願いします!」
柏木理沙「はい」
柏木理沙「それより先輩も早く大会に出す漫画仕上げましょうよ」
柏木理沙「ウチが先輩の漫画描くの手伝いますけえ」
内藤要(大学生)「う、うんありがとう。助かるよ」

〇本棚のある部屋
内藤理沙(ないとうりさ)「うわぁ~、今思えば昔のウチ、カナメっちに告白するの下手すぎじゃろ」
内藤理沙(ないとうりさ)「思い出したらブチ恥ずいわ」
内藤理沙(ないとうりさ)「まぁ、当時はカナメっちがマキ先輩と別れたばかりしゃけえ、チャンスと思って強引に行動したんじゃっけ?」
内藤理沙(ないとうりさ)「じゃけど今は結果オーライじゃけえ良しとするか」
内藤理沙(ないとうりさ)「え~と、確かあの後は・・・」

〇公園のベンチ
柏木理沙「ヒック・・・ぐす。先輩、ウチとっても悔しいです」
柏木理沙「どう考えても、ウチが応募した作品の方が他の誰よりも面白かったですよ!」
内藤要(大学生)「うん・・・」
内藤要(大学生)(いや、どう考えてもBLジャンルでネトラレ物はキワモノ過ぎて入賞難しいと思うよ柏木さん)
内藤要(大学生)「僕も今回は予選通過したけど駄目だったよ」
「・・・」
「あのっ・・・」
柏木理沙「先輩からどうぞ」
内藤要(大学生)「うん・・・あのさ柏木さん、実は君に言っときたい事があるんだ」
柏木理沙(もしかして先輩から改めて告白!?)
内藤要(大学生)「その・・・僕──」
内藤要(大学生)「漫画家になるのは諦めて、来週から就活するんだ」
柏木理沙「うわああああん、先輩のバカ裏切り者!」

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コメント

  • 男子×男子は複数×複数のお付き合いという流れが根本にあるというのを知ってると、寝取られの悔しさが男女に比べて薄く感じるんですよね。
    (※個人の見解です)
    タケオはウィメンズの香水使ってるのでしょうね、きっと。いやあ、よくない流れです。

  • 回想シーンのリサちゃん、すっごい可愛い!妄想こじらせ系なのも魅力的です!
    浮気は匂いで……、強く疑うキッカケになりますよね。香水の匂い、タバコの匂い、安っぽいボディーソープの匂いとか。カナメっちが無事でいられるのか、続きが気になります!

  • サトルもカナメもピンチ!
    サトルは劇中劇と思えない展開で、面白いです。まさかのゴスロリ!
    リサちゃん才能あるな〜。
    浮気はニオイで分かるはパワーフレーズですね。

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