白い車

みぞれ(⁠◕⁠ᴗ⁠◕⁠✿⁠)

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〇シックな玄関
沙奈「母さん来たよー!」
真紀「おかえり~、今日は悪いね。頼むね」
沙奈「大丈夫大丈夫!隣町でいーんだよね?」
真紀「うん!今日安くなってるみたいなのよー」
「この日、車を運転できない母の真紀に頼まれて、紗奈は買い物の車出しをすることになっていた」
沙奈「準備できてる?行こっか!」
真紀「うん!よろしくね」

〇走行する車内
  何気ない会話をしながら、車を進めていく。
  隣町まで行くのに山を2つ越えなければならない
沙奈「相変わらずこの辺は混んでるねー」
真紀「帰りも混んでそうだね~」
  反対車線も、全く進まないということはないが、空いているなどとは到底言えないくらい混んでいた
沙奈(まぁ。こっちに抜けるにはここしかないしなぁ)
  対向車線から何台か車が走ってくる。
  山道なので大きなカーブがいくつもあり、
  神社が近いので歩行者もたまに通る
「そのせいもあり、車通りの割にはスビードを出している車はない」
「真紀と紗奈は軽く会話を続けながら、前を見ていた」
沙奈(白い車がくるなぁ)
  何気なく紗奈は前からくる3台のうち真ん中を走ってくる、白い車軽自動車を眺めていた
沙奈(やっぱり反射で運転席見えないよねー)
沙奈(あれ?気のせいかな?あの車こっちきてない?)
沙奈(え!?ちょっと待って!こっちくる!)
  大きなカーブの中ほどまで来ており、対向車線は白い車の前後に車がある
  紗奈が運転する車の前後にも、間隔をあけず車があり、左手にはガードレールの先に崖
  紗奈焦っているうちにも、どんどん白い車は、真っ直ぐにむかってくる。
沙奈(やばいっぶつかる!)
  ぶつかると思った直前、白い車はスーッと半透明になり、紗奈達の乗っている車を通り過ぎていった。

〇走行する車内
  しばらく、呆然とした紗奈は、対向車線・左右のサイドミラー・バックミラーを確認した。
沙奈(え?あれ?!今車来てたよね?!あれ? 見間違え?え?)
  何度確認するも、白い車はどこにも見当たらない。
  不意に、母との会話が途切れたのに気付く。ゆっくりと母の方を見る。
  真紀は、車が来た方を見たまま固まっていた。
沙奈(あぁ。もしかして・・・・・・)
沙奈「母さんも見た?白い車」
真紀「うん、見た。消えてったね」
沙奈「やっぱり?・・・・・・気のせいじゃなかったか」
真紀「紗奈。よくブレーキもハンドルも切らなかったね」
沙奈「あっ。ホントだ。どっちかでもしてたら事故ってたね」
真紀「この後も安全運転でね」
沙奈「うん。いつもより気を付ける」
  前後左右どちらにも、車や崖があり、少しでも操作を誤っていれば大事故になっていたことに、真紀の言葉で気付いた。
  頭では焦っていたが、身体はいつも道理の運転をしており、まるで意識と身体が分かれていたようだった。
  あとになって気付いたが、間近まで迫った白い車の車内には、人影さえも見えなかった。

コメント

  • 切れの良いホラー短編を連作できるって、すごい才能ですね‼
    危ないと思った瞬間に、すり抜けていく描写が迫真でした‼
    九死に一生と言うか…人間ってほんの一瞬のタイミングで、どうなるかわからない…そんな怖さを感じました😱

  • 事実を淡々と語る形式の作風なので、読了後に恐怖の余韻がじわじわとくる感じがいいですね。正面から歩いてくる人間の体がすり抜けていったという話は聞いたことがありますが、車同士というのは初めて聞きました。原因不明の事故の中にはこうした怪奇現象によるものもあるかもしれませんね。

  • 車が迫ってくるという恐怖感が凄まじいですね。怪異による怖さよりも、現実の生命に関わる問題のほうが恐怖なのかもしれませんね。

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