とある変人教授の独白~至高の思考~

Akira-あきら-

思考の授業(脚本)

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〇生徒会室
  とある大学のとある放課後。
  いつものように教授が沢庵を丸かじりしながら緑茶を啜っていると・・・
  ──バタン
あきこ「きょーーじゅーーー!!聞いてくださいーー!」
教授「・・・はぁ。また君かね。相も変わらず騒がしいことこの上ないのう・・・」
あきこ「選択授業の先生へのレポートにまた誤字しちゃってぇ・・・!」
教授(こやつ・・・儂の返事を全く聞く気ないのう・・・。勝手に話を始めよった・・・)
あきこ「【本日の授業を聞いて、大変良い勉強になりました!】って書いたつもりが・・・」
あきこ「【本日の授業を聞いて、大変良い便器になりました!】ってなってたみたいで」
あきこ「【君は将来TOTOへ就職すれば良いよ】って添削が来てたんですぅぅぅうううう」
あきこ「酷くないですかぁぁあーーー!」
教授「・・・これはまた酷い誤字を。そもそもレポートとは、落ち着いて誤字等がないか確認してから送るのが常識じゃろうて・・・」
あきこ「うわーん!分かってますけどぉぉ!」
あきこ「私だって、食べ放題行ってバイキング行って食べ歩き行って忙しかったんですもんぅぅう・・・」
教授(・・・ずっと食べておるな)
あきこ「そもそもぉ・・・、学校の勉強なんて本当にやる意味あるんですかぁ?なんでこんな訳の分からない事学ばないとだめなんだろ・・・」
あきこ「私・・・将来ぜっっったいに因数分解なんて使わないと思うんです!!」
あきこ「そしてそして・・・!!!何を隠そう私・・・」
あきこ「勉強大っ嫌いなんです!!!!!!!!!!!!」
教授(いや・・・君が勉強を好きだとは誰も思っとらんよ)
教授「ふぅむ・・・、こほん。つまり、君は学校に来て勉強をする理由が分からないと言いたいのじゃな?意味が無いと」
あきこ「でっすですですー!!さっすが教授、話が早い!!」
あきこ「なーのでっ、学校で何故勉強をしなくちゃいけないのか・・・」
あきこ「教えてくださーい!!」
教授(・・・いちいち声を張り上げるのぅ)
教授「ふぉっふぉっふぉ。あい、分かった」
教授「では、本日の思考の授業は【私が勉強をする理由】とでも題するかのぅ」
あきこ「やったー!わくわくっ」
教授「ふむ。では・・・そうじゃな。例えば君がペットショップで仔犬を買ってくるとしようか」
教授「その犬に、お手やおかわり、等の芸を教え込むとしよう」
あきこ「わー!賢そうなワンちゃんですねー!」
教授「その仔犬もやがては大きくなり、番(つがい)を見つけ、仔犬を産むじゃろう」
教授「その新しく産まれた仔犬に、また君はお手やおかわりを教えるとしよう」
教授「そして、その仔犬もまた大きくなり・・・、どうじゃ?折角芸を教えても、世代が代わればまた一から全てを教えねばならないのじゃ」
あきこ「言われてみれば・・・確かにそうですね!うちも犬を飼ってましたが、おトイレやおすわりは一から教えてました!」
教授「うむ。つまり、親犬にどれだけ教えてもスタートラインはいつまでも変わらない事になる」
教授「だが・・・人間はどうだと思う?例えば君が、昔階段から滑り落ちたとして、子供には何と教える?」
あきこ「えっ・・・なんで落ちたこと知ってるんですか!?」
教授「・・・・・・・・・」
あきこ「あっ、えーと・・・そうですね、階段は危ないよって教えます!!」
教授「うむ。そうじゃろうて。人間は学んだ事を次の世代に教えることが出来る生き物なのじゃ」
教授「しかも、文字として残す事で何十年後にまで伝える事が出来る上に、メディアを上乗せすれば百万力になるのぅ」
教授「走っている車に近付けば轢かれる。温まっているアイロンに触れば大火傷を負う。実際に自分の身に起きてはいないが、」
教授「親から教わること、テレビで見聞きすること、学校で教わること・・・それらを当たり前に自分の知識に出来ること」
教授「君が今、夢中になっているそのスマホも・・・昔の人間達が学び、それを元にして悩み、考え抜いた物を後世に伝えたからこそ」
教授「完成した代物と言えるじゃろうな」
教授「儂の思うに、これこそが勉強をするに値する理由なのじゃ」
あきこ「え・・・じゃあ、歴史を勉強するのも?」
教授「そうじゃ。何千年前の人間のした戦争なぞ、どうでもいいと思っていたじゃろう?」
あきこ「は、はい・・・正直思ってました!!」
教授「確かにそうじゃ。我々が今日生きていくのにそんな事はどうでもいいし、関係ないじゃろう」
教授「じゃが、誰かが失敗した事、成功した事、何千年とかけて人々が気付いた事が1冊の本に分かりやすく纏めてある」
教授「教科書とは、本来物凄い価値のあるもので、他の国で教育を受けられない人々からしたら喉から手が欲しいものなのじゃ」
あきこ「スースー・・・」
教授「じゃからな・・・」
  ──スパーン!
あきこ「はっ・・・────! もう少しでチョコガトーナンテが食べられる所だったのに!!」
教授「枕にしてヨダレを垂れるなど、言語道断じゃ!!」
あきこ「は、はーい・・・ごめんなさい・・・」
教授「うむ、分かればよろしい」
あきこ「でもでも!勉強しなくちゃいけない理由がちょっぴり分かりました!!」
あきこ「私もたくさん勉強して、何かを残せるように頑張らないとですね!!」
教授「ふぉっふぉっふぉ、理解出来たなら良かったのぅ」
あきこ「よーーし!じゃあ、先ずは駅前に出来たエッグ鯛焼きの味を学んで、全力で真似るぞー!!!!」
  ──タタタタツ
教授「・・・ふぅ、行ったか」
教授「さて・・・一緒に聞いていた君はどうじゃっただろうか。勉強をする理由が見い出せたかのぅ」
教授「なになに? ・・・ふむ、なるほどのう。次は成績について、か」
教授「なら次回は、【成績と人間の価値について 】の授業をするとしようか」
教授「次の授業も、楽しみにしておくと良い」
教授「ふぉーふぉっふぉっ」

コメント

  • おぉー!マンガで学ぶアレ見たいになってて分かり易くなってますね!沢庵!

  • 最初ダジャレを盛り込んだ教授のお笑い話なのかと思いましたが、真面目な話だったのが意外でした。
    「どうして勉強しなければならないのか」という理由を、動物と比較しながら解説している点に説得力がありました。

  • 勉強する意義……、学生の時分にはイマイチ理解できなくても、大人になったら身に染みるものですよね。人間というのは、次代へ経験を伝えられるイキモノのはずが、そのことは上手に伝えられないようですねw

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