初めての村「村人Aは面倒くさがりだった」(脚本)
〇村の広場
エキドナ・アルカーノ「ここが僕の拠点《きょてん》、ノルテリア村って言って街道沿いの村で西に行けば王都『ウェイランド』」
エキドナ・アルカーノ「東に行けば魔法大国『ミルテアリア』にそれぞれ向かうのにちょうどいい場所にあるんだよ」
街道を一時間ほどいろいろと情報交換しながら一行がたどり着いたのは、村というには少々大きめな集落だった。
わだちがある砂利道の先には、丸太を組んで作った柵に囲まれた村の入り口には90センチほどの剣を持った青年が立って居た。
エキドナ・アルカーノ「やあ、暇かい?」
村人A「暇すぎて死にそうだ。いい事なんだけどな・・・・・・そっちの3人は?」
エキドナのあいさつに答えるついでに一応聞いておく、そんなやる気のない口調で門番はエキドナに問いかけた。
そんな態度にはすでに慣れているエキドナは適当に答える。
エキドナ・アルカーノ「そかそか、行き倒れた子供たちを保護したから自警団に顔出しておくね~」
村人A「ああ、手間が省けてまた暇になった。面倒くせぇ」
エキドナ・アルカーノ「そのうち根っこが生えて動けなくなりそうだねぇ」
今日も村は平和だと表情を緩めながらエキドナは村の中に入る。
日下部 弥生(くさかべ やよい)「エキドナさんあれ良いの?」
なんかこう・・・・・・閉鎖的なものを思い浮かべていた弥生が小さく声をかけてきたが
エキドナは「良いの良いの」と文香の手を取り進んでいく。
真司も気になりほけーっと村の外に視線を向けている彼を盗み見るのだが暇そうにあくびをしていた。
日下部 真司(くさかべ しんじ)「姉ちゃん・・・・・・」
日下部 弥生(くさかべ やよい)「あたし達が気にしすぎなのかも・・・・・・」
実は弥生達の警戒心には理由がある。
日本で田舎の小さい村というのは案外移住者に厳しい、もちろん全部という訳ではないが・・・・・・
たまたまだが弥生達が岩手の村に引っ越して来た時は常に見られていたり、言葉には出されなかったが居心地の悪い場所も多かった。
日下部 弥生(くさかべ やよい)「・・・・・・とりあえず行こうか」
日下部 真司(くさかべ しんじ)「そだね」
なんとなく真司の手を握った弥生。
思ったよりもしっかりとした手だなぁ、と感じたがすぐにぺいっと引っぺがされる。
日下部 真司(くさかべ しんじ)「なんだよいきなり・・・・・・」
日下部 弥生(くさかべ やよい)「迷子にならないようにって」
日下部 真司(くさかべ しんじ)「・・・・・・文香じゃあるまいし。姉ちゃんに合わせて歩いてたらエキドナ姉を見失っちゃうから、僕先に行ってるよ?」
言うが早いか真司は小走りでエキドナと文香の後を追う。迷子というのは弥生の口実だ。
頬を若干染めた真司の顔を見てたら盛大にからかうつもりだった弥生は、当てが外れて少しむくれてしまう。
日下部 弥生(くさかべ やよい)「生意気なこと言うようになったわね・・・・・・ま、頼もしいとこまではあと一歩かなぁ?」
エキドナと文香に追いついた真司が何やら挙動不審にしているが、後で聞けばいいか。
そう決めて弥生は村を観察しながら歩く。
人はそう多くない、昼過ぎだし・・・・・・あと数時間もすれば日が傾いてくる頃合いなのに。
ということはどこかに畑があるのだろうかと何を育てているのか気になってきた。
ちなみに家畜を飼ってたりするのは少ないんじゃないかな、と。弥生は経験で導き出す。
一種の獣臭さというか、精肉する際の匂いは案外土地に根強く残るからだ。
弥生の鼻に届くのは土の匂いが強い、それに害獣が多いから村を柵で囲ってるのであれば肉や魚は狩ったほうが良い。
集落に肉食動物が入ってくる事につながるから、ずっと昔に祖父から聞いた事があった。
村の家はレンガ造りと木造が半々程度で木造はログハウス風な家が多い。
それに・・・・・・
日下部 弥生(くさかべ やよい)「ガラス窓無いんだ・・・・・・」
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