とある新人サンタのイヴ(運送会社勤務)

今乃ヘビちゃん

オール フォア スマイル(脚本)

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〇空きフロア
  12月24日
  
  三田(みた)運送会社の一室
三田「諸君、通常業務ご苦労。 だが、今年もこの日がやってきた・・・」
三田「作戦名、『ミッション・イン・クリスマス!』 全員細心の注意を払いつつ、迅速に行動するように!!」
「おおおおおおお!!」

〇黒

〇立派な洋館
名渡 櫂(なと かい)「三田さん! 何で新人の俺がこんなお屋敷の担当なんですか・・・!?」
三田「いいか名渡(なと)くん。これは新人である君の訓練も兼ねている」
三田「緊張するのもわかるが、私が付いている。安心したまえ」
名渡 櫂(なと かい)「は、はあ・・・」
名渡 櫂(なと かい)「ところで三田さん、それ、目立ちすぎません? 別のにした方が・・・」
三田「バカを言うな。サンタの私が赤を着ずに誰が着る!?」
名渡 櫂(なと かい)(この人、自分でサンタ言っちゃったよ・・・)
三田「それに赤はリーダーの色と相場が決まっているのだぞ? ・・・まさか君も着たいのか!?」
名渡 櫂(なと かい)「いえ、結構です」
名渡 櫂(なと かい)(この人が1番子供なのかもしれない・・・)
三田「いかん!! 刻一刻と時間が迫っている。急ぐぞ!!」
名渡 櫂(なと かい)「あーもう、わかりましたよ!!」

〇洋館の階段
名渡 櫂(なと かい)「やっぱ中も広い・・・って三田さんアレ!!」
名渡 櫂(なと かい)「あんなのどうするんですか!?」
三田「ふむ、あれは・・・大型のル○バだな」
名渡 櫂(なと かい)「いやいやいや、あんな砲塔みたいの付いててル○バな訳が・・・」
  カランコロン・・・
名渡 櫂(なと かい)「ちょ!? 何やってんですか!?」
三田「シッ・・・!! 見たまえ」
名渡 櫂(なと かい)「っ・・・!! 音もなく静かに回収して行った!?」
三田「よし、進路図によるとターゲットは2階の奥だ。今のうちに行くぞ」
名渡 櫂(なと かい)「は、はい!!」
名渡 櫂(なと かい)(この人は勇敢なのか無謀なのかわからん・・・)

〇洋館の廊下
名渡 櫂(なと かい)「てか広すぎません? こんなとこ住んでる人って・・・」
三田「止まれ名渡くん!」
名渡 櫂(なと かい)「うわ、どうしたんですか!?」
三田「あれを見ろ」
名渡 櫂(なと かい)「へ、蛇!?」
名渡 櫂(なと かい)「無理無理無理無理無理無理・・・!!!!!!」
名渡 櫂(なと かい)「何であんなデカいのが!?」
三田「落ち着け、名渡くん! よく見ろ!」
三田「毒蛇は頭が三角形に近いものが多いらしい」
名渡 櫂(なと かい)「あれは丸いですね・・・って毒が無くてもヤバいですって!!!!」
三田「それに見たまえ、あの顔を。優しそうな表情をしているではないか」
名渡 櫂(なと かい)「蛇の表情なんてわかりませんよ!!」
三田「あの蛇はきっと大人しい。 こちらから危害を加えなければ大丈夫だ!」
名渡 櫂(なと かい)「性格なんて飼い主でなきゃわかんないですって!!」
三田「いいから私を信じろ!!」
名渡 櫂(なと かい)「そんなの絶対嫌ですってぇぇぇぇぇ!!」
三田「息を殺し、腰を落としてゆっくり進むんだ」
名渡 櫂(なと かい)「ちょ、三田さん・・・!!」
名渡 櫂(なと かい)(あの人どんどん進んでくよ・・・)
名渡 櫂(なと かい)「ああもう、やけくそだ・・・!!!!」
名渡 櫂(なと かい)(こっち見んなってえええええ・・・)
三田「いいぞ名渡くん、もう少しだ・・・!!」

〇可愛い部屋
名渡 櫂(なと かい)「ここがターゲットのいる部屋・・・」
名渡 櫂(なと かい)「外観と違って思ったより可愛い部屋だな・・・」
三田「あまり人様の部屋をじろじろ見るな」
名渡 櫂(なと かい)「す、すみません・・・」
三田「わかればいい。よし、あとはターゲットの枕元にプレゼントを・・・」
三田「こ、この感じは・・・まさか・・・!?」
名渡 櫂(なと かい)「え?」
三田「いかん!!」
名渡 櫂(なと かい)「ちょ、三田さん!? どこへ──!?」

〇貴族の応接間
三田「名渡くん、私はこの部屋で待機している。 プレゼントは君が渡してくれ」
名渡 櫂(なと かい)「な、何言ってんですか!? もうすぐそこなんですから手本を見せて下さいよ!」
三田「・・・私の鼻がこれ以上は危険だと言っている」
名渡 櫂(なと かい)「鼻・・・?」
三田「ああ、私は極度の猫アレルギーなのだ。 もう鼻がムズムズしてしょうがない」
名渡 櫂(なと かい)「つまりあの部屋のどこかに猫がいると・・・?」
三田「その通りだ。これは想定外の事態故に、君に任せるほかない」
名渡 櫂(なと かい)「そんな無理ですって!」
三田「頼む名渡くん!!」
名渡 櫂(なと かい)「うわっ! しっ、シーーーーッ」
三田「ごほん、すまない」
三田「なあ名渡くん。この部屋の向こうで寝ているであろう可憐な女の子が、プレゼントを受け取ったらどんな顔をするだろう?」
名渡 櫂(なと かい)「それは、サンタからだって大喜びするんじゃ・・・」
三田「私もそう思う。君も覚えがあるのではないか?」
名渡 櫂(なと かい)「・・・・・・」
名渡 櫂(なと かい)(そういえば、俺も小さい頃はサンタを信じてたっけな・・・)
名渡 櫂(なと かい)(頼んだ物の色が違ったりして、結局親だって気付くまでそうはかからなかった)
名渡 櫂(なと かい)(親には気づいてないふりして、それでもプレゼントが嬉しくて・・・)
三田「さあ、子供たちの笑顔を思い浮かべるんだ!!」
名渡 櫂(なと かい)「俺、やります!!」
名渡 櫂(なと かい)「子供たちの笑顔のために!!」
三田「ふ・・・これで君に教えることはもう何もないな」
名渡 櫂(なと かい)「いえ。まだまだこれからです」
三田「そうだな。頼んだぞ、名渡くん!!」
名渡 櫂(なと かい)「はい!!」

〇白

〇住宅街
  ママー! サンタさんきたー!!!!
  やったー! おにんぎょうさーん!!!!
名渡 櫂(なと かい)(子供たちの声を聞くだけで、こっちも嬉しくなってくるな・・・)
名渡 櫂(なと かい)「さて、帰って寝るか」
名渡 櫂(なと かい)「そういや、なんで三田さんだけ現地解散だったんだ?」

〇可愛い部屋
女の子「パパー! サンタさんきたよー!!」
三田「おおーそうかそうか!! カレンちゃんは可愛いしお利口さんだから当然だなー!!」
女の子「うん! 来年も"よろしくね!!" パ〜パ♪」
イヴ「にゃ〜ん」

コメント

  • まさかリーダーの家だったとは思いませんでした!笑
    でも、それだとやけに詳しいのとかの説明がつくんですよね。
    子どもが喜んでる顔を見るのは嬉しいですよね!

  • まさかの大きな御屋敷は上司三田さんのお家だったとは!笑お子さんにベタ惚れの子供想いのパパであり、自分の家で実践研修をさせる部活想い?な上司さんにほっこりしました笑

  • 三田さん可愛いなぁ。ヘビは平気で、猫はアレルギー(笑)とか、わけわからんところもちょこちょこあって、くすっと笑わせて頂きました。娘さんの喜ぶ顔が見れてよかったですね。それにしても大掛かりなミッション♪

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