せかい は ひろい !(脚本)
〇宇宙空間
水星「ねえ、地球は今なに流行ってんの?」
地球「さあ? もう人間にはついていけないよ、 勝手にやってくれって感じ?」
金星「冷たいヤツだな・・・ 何故お前なんかに生命が宿ったのか 俺ならもっと大切にするのに」
地球「ホント代わって欲しいよ ま、僕と同じ環境に出来るなら いつでもどうぞ?」
金星「・・・ふざけた事をぬかす」
水星「まあまあ、たまには仲良くしよ? それ何億年続けてんのさ、ね?」
地球「勝手に嫉妬してくるヤツと仲良く? 僕はいつでも歩み寄ってるよ」
金星「尊い命に対してこんなに薄情なヤツと? 勘弁してくれ」
地球「・・・なに?」
金星「・・・やるか?」
水星「わー! ごめんね、変な話ふっちゃって! ごめんなさいねって!」
火星「ウフフ、楽しそうだね?」
「楽しそうに見えるか?」
火星「アハッ、怖い怖い」
木星「うるせえな・・・ みんな重力で引っ張って消すぞ? 火星も無駄に煽るな」
土星「そうだぞ、火星! 金星が本当に何とかなっちまったら どうするつもりだ!」
火星「ウフッ、それはそれで面白いよ? 木星が全部吸い込むのも楽しそうだけどね ごめんなさーい」
火星「ていうか二人共また地表変えたの? 今が一番似合うねー」
木星「人間が必死で斑点とか数えてるから 隠してやってる」
土星「その方が見付けた喜びがデカいからな!」
木星「らしいな、何が楽しいんだか」
土星「俺は常に衛星を数えられている! 大変そうだから今はさらけ出しているが 何年かしたら着込んでやるんだ!」
天王星「さすがですね 人間に娯楽を提供してあげるとは懐が深い」
「暇だからな」
天王星「ふふ・・・確かに暇ですね」
木星「・・・ん? 離れるか」
土星「おお、吸い込んでしまうな! そうかそうか、少し退いてやろう!」
海王星「こんにちは!」
冥王星「・・・こ、こんにちは」
天王星「はい、こんにちは」
海王星「大きなお兄様達にお知らせがあるの」
冥王星「・・・あ、あるの・・・えっと」
天王星「おや、何でしょう?」
海王星「冥ちゃん、頑張って?」
冥王星「・・・う、うん あのね、す、彗星が通るよ」
海王星「珍しい彗星が通るよ」
天王星「ほう、珍しいとは?」
冥王星「・・・ご、五万年振りに寄ってくれるの」
海王星「もう二度と寄らないの」
冥王星「・・・た、太陽系から出ていくの」
海王星「二度と戻って来ないの」
天王星「なるほど・・・あの子の事ですね」
地球「それ人間がZTF彗星って呼んでるヤツか そっか、アイツ出て行くのか」
火星「いいなー、家出ってコトじゃん?」
天王星「家出は良く無いでしょう ですが少なからずそういう星が居ますね 何を求めているのでしょう?」
地球「『自由』とかじゃん? ちょっと分かるよ・・・うん」
火星「何もかも捨てて新しい世界に行くのかー、 僕らがやったらバランス崩れちゃうね!」
天王星「こら火星、そういう所ですよ? 調子に乗ってはいけません 皆が不安になる、特に・・・」
海王星「・・・バランス、崩れる?」
冥王星「・・・ぼ、僕なんか・・・ 外に出ても気付かれないかも・・・」
冥王星「・・・僕なんか居なくても 人間は僕の事を・・・僕は・・・」
天王星「小さい子達は可哀想に、震えていますね」
天王星「ただでさえ私達には思考する時間が 無限にあるのですよ 余計な事は吹き込まないように」
火星「ウフッ、ごめーん 気を付けまーす」
地球「・・・いいよな、彗星は・・・」
天王星「地球、黙っておきなさい」
地球「はいはい、黙ればイイんでしょ黙れば」
天王星「・・・まったく、困ったものです」
木星「ZTFってアレか?」
土星「おお、緑色だな! アレだろ!」
天王星「ふむ、そうみたいですね」
ZTF彗星「ヒィエエエエーイ!」
火星「いえええーい!」
水星「いえええーい!」
ZTF彗星「フゥエエエエーイ!」
火星「うえええーい!」
水星「うえええーい!」
金星「なんだコイツ」
地球「・・・スゴい・・・!」
ZTF彗星「やあ! オレだ! お行儀のイイ優等星たち、久し振りだな!」
金星「ああ久し振り・・・ お前、そんな感じだったか?」
ZTF彗星「そんな感じになった! 色々あったからな!」
金星「そうか、まあ、うん、元気でな」
地球「・・・ZTF、僕も・・・!」
水星「燃え尽きんなよ!」
火星「燃え尽きちゃえ!」
ZTF彗星「りょーッほうとも! りょーッかいだっ! じゃあな、バイバイスイーングバーイ!」
水星「スイングバイバーイ!」
火星「バイバーイ、ウフッ」
「・・・」
天王星「ずいぶんと雰囲気が変わりましたね」
木星「愉快なヤツになったみたいだな」
土星「星は爆誕から爆死まで変わり続ける! 彗星もそうなんだろ!」
天王星「ふむ・・・」
海王星「ZTFさん、バイバイ」
冥王星「・・・ば、バイバイ・・・」
天王星「・・・さ、みんな定位置に戻りましょうか 彼の旅立ちを知らせてくれた お利口さん達もね」
海王星「はーい」
冥王星「・・・は、はい」
木星「数メートルでも気付きそうだからな、 最近の人間は」
土星「おう! 戻ろう!」
火星「んじゃねー」
水星「うえーい」
地球「・・・」
金星「じゃあな、オッサン」
天王星「ああ、ではまた・・・やれやれ」
・・・
地球「・・・」
地球(・・・僕も・・・いいかな? いいよね?)
地球(人間なんて僕のカラダが目的なんだ なのに全く大事にしてくれない、 酷い事ばっかりしてくる)
地球(もうずっと痛いのに、おかしいのに 何もしてくれないし酷くなってきた)
地球(変なモノをカラダに入れられたり 気持ち悪い液体をかけられたり ずっとずっとずっとずっとずっと・・・)
地球(僕のカラダ、もう壊れちゃうよ・・・)
地球「・・・そうだよ・・・!」
地球「なんであんな人間の為に 僕がガマンしなきゃいけないの?」
地球「金星に地表の全てを渡そう 兄弟星なんだから大丈夫だろ」
地球「・・・よし!」
どこ行った地球?!
天王星「本当に全てを置いて行ったのですか?」
金星「ああ、とりあえず地球の位置についた! 人間が焼けたり凍ったりしない 絶妙な位置だ、ここは間違いないんだ!」
金星「でも違和感を感じてる人間がいる! 分かるんだ、直に伝わってくるんだ! カラダに! 心に!」
水星「ヤッバ」
天王星「落ち着け! 金星はそのまま地球のフリを続けなさい」
金星「お、おう! 分かった!」
天王星「水星は金星のフリをお願いします」
水星「は?! いや、うん、りょ!」
天王星「火星は火星のままでいて下さい、 その色は誤魔化せません」
火星「りょーかい、ウフッ」
天王星「私はガスを削って金星の位置に入ります」
天王星「お二方はそのままでお願いします」
木星「おう、任せろ」
土星「心得た! 大変な事になったな!」
天王星「ええ大変な事ですよ、本当に・・・」
天王星「海王星、天王星、ちょっと良いかな?」
海王星「はい!」
冥王星「は、はい・・・」
天王星「海王星は私の位置へ、 冥王星は海王星の位置へお願いします」
海王星「はい! わあ、冥ちゃん良かったね! また八惑星に入ってるよ!」
冥王星 「う、うん! がんばるよ!」
海王星「行こう!」
冥王星 「うん!」
天王星「・・・その場しのぎですが上出来です 何とかなりますかね・・・」
天王星「お父様、いかがでしょう?」
太陽「ええよ」
天王星「ありがとうございます では次の・・・」
太陽「うん、地球追っかけよっか?」
天王星「・・・はい?」
太陽「ワイが細かいのも大きいのも引っ張るから 太陽系ごと移動して地球捕まえよ?」
天王星「・・・なるほど・・・はい?」
太陽「んじゃ、行くでー」
天王星「ちょ」
太陽「第三宇宙速度、発動!」
天王星「なんですかソレは?!」
太陽「ソレっぽい事を言ってみたかったんや!」
天王星「・・・いま動いてます?」
太陽「うん、全速力で」
天王星「太陽系ごと?」
太陽「上手いやろ? 匠やろ?」
天王星「・・・はい」
太陽「あ、ほら見てみ、もう地球みっけ!」
天王星「ほんまや・・・」
太陽「元に戻す、総員衝撃に備えよ!」
天王星「総員?!」
太陽「言って!」
太陽「みたかった!」
太陽「だけや!」
・・・
地球「・・・ん?」
太陽「セイッ!」
地球「うわ?!」
地球「ええ?!」
地球「キャーッ?!」
太陽「オイタが過ぎたな? まあええか、帰るでー」
・・・
地球「・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
地球「ごめんなさい」
地球「ごめんなさい」
地球「ごめんなさい」
地球「ごめんなさい・・・」
水星「もうイイって、ウケるー」
地球「ごめんなさい」
金星「あれから百年、確かにもういいだろ」
地球「・・・え?」
金星「地表もらってからお前が戻るまで ・・・正直、かなりキツかった」
金星「人間がいるだけでチクチク痛えのな? 知らなかった お前が大げさにワメいてるだけかと・・・」
金星「よくやってるよ 今までお疲れ、これからも頑張れよ まあ頑張るしかねえけど」
地球「・・・金星、ありがとう」
金星「ああ、兄弟なんだから何かあったら・・・ うん・・・俺ちょっと寝るわ、うん」
地球「・・・二人も、本当にごめんね」
海王星「うん、もういいの! お兄様、また人間のお話聞かせてね!」
冥王星「うん、僕も聞きたいな ケレスとか友達も連れて来るよ」
地球「・・・冥ちゃん、ありがとう」
海王星「うふふ、おやすみなさい!」
冥王星「おやすみなさい」
地球「・・・」
地球(次はもっと加速を覚えてから・・・ ダミーを用意して・・・)
日本刀を擬人化した刀剣男子みたいで👍。太陽系の惑星男子ですね。木星と土星がワイルドすぎるけど、2.5次元ミュージカルができそうなイケメン揃い。お父様の太陽が関西弁&関西人キャラでいい味出してますね。
『家族』がテーマで、このような作品を作り上げる発想力に感服です!地球に「カラダが目的」と言われたら、イチ地球人としては何も言えなくなりますねww
星が人になっているのが斬新でおもしろかったです!
前半の、地球と金星が言い合っている時の水星が気を使っている感じが、水星の人の良さを表していた気がします😂
私たち人間がもっと地球を大切にしないと、このお話のように地球が悲しむんだなあと思いました。
地球環境について少し考えさせられました。