VS 嘘つきだめんず(脚本)
〇カウンター席
さとる「ありさちゃん今日もかわいいね!!」
ありさ「ありがとう さとるくんの方もめっちゃがんばってるよね!」
さとる「ありさちゃんにはいつもそう言ってくれてうれしいよ 消防士の採用試験も来月だから ほんとがんばらないとね」
ありさ「今起業するための事業も計画中なんだもんね?」
さとる「うん! 今度こそ消防士になって、安定してお金が入ってくるようにしたいよ」
ありさ「今度こそ合格するといいね!」
さとる「うん! 合格できるように一生懸命がんばるよ」
さとる「そろそろ店を出ようか」
ありさ「うん!」
さとる「ごめん いまお金なくて、スーパーのアルバイトじゃお金貯まらなくて・・・」
ありさ「いいよ! わたしがおごってあげる」
さとる「ごめんね」
れいじろう「ちょっとまったー!」
さとる「うん? 誰ですかあなたは?」
ありさ「お父さん!」
さとる「え! ありさちゃんのお父さんなの!?」
れいじろう「俺は天才占い師 星野霊次郎だ」
さとる「天才占い師!?」
ありさ「ちょっとお父さんこんなところ来ないでよ!」
さとる「そうですよ! デート中に困ります」
れいじろう「お前か この悪い気を放っていたやつは」
さとる「なんだと!」
ありさ「さとるくん! お父さんの目を見ちゃダメ!」
さとる「そんなこと言われてもこんな意味わかんないむかつくこと言われたら、 にらみ返してやりたいよ」
れいじろう「お前の目を見て、お前のすべてを理解した」
さとる「はあ?」
れいじろう「お前は3つの嘘を貫き通している まず1つ お前は消防士など目指していない」
さとる「えっ。。」
れいじろう「お前は消防士という公務員で安定した職業を目指している一人の若者であるということを演じている」
れいじろう「試験さえも受けていなく、毎年採用試験を受けて落ちたことにしている」
ありさ「ほんとうなの!? さとるくん?」
さとる「お父さん嘘つかないでください!」
れいじろう「では2つ目の嘘を言おう お前はスーパーでアルバイトなどしていない ホストだ」
さとる「うっ!。。」
ありさ「ええ!なにそれ!」
れいじろう「なので、別にお金はたくさん持っているし、 ここのカフェ代ぐらい余裕で払えるお金はある」
さとる「言うな!」
ありさ「え?どうして嘘ついてたの?」
れいじろう「最後の3つ目を言おう お前は起業するための事業など計画していない」
さとる「ぐぬぬっ!」
れいじろう「起業計画は、お前がホストとして客から搾取するための口実だ」
れいじろう「月に50万円ぐらいお前のニセの起業計画のために恵んでいるお客がいるよな?」
ありさ「そんな! ひどい!」
さとる「それはハズレてる! 俺にはちゃんとした計画がある!」
れいじろう「ほう?どんな?」
さとる「お前なんかに教えられるわけがないし、 経済や金融のことをなにも知らないあなたに話してもムダだ」
さとる「ただ1つ言っておくと、常日頃からお金を単に使うのではなく」
さとる「お金を使うことによってどういう効果が得られるか考えた上で使っていることぐらいは教えといてあげるよ」
さとる「意味分かる? いわゆるレバレッジだ」
れいじろう「お前レバレッジの意味をわかって使っているか?」
さとる「え?」
れいじろう「レバレッジとは、借り入れを利用することで、自己資金のリターンを高める効果が期待できることを言うんだ」
れいじろう「お前の言ってることは単なる『投資』だろ? なんだその「ちょっと専門用語使ってみました」みたいなのは」
れいじろう「その程度のことも知らずに事業を起こそうなど100年はやいわ」
「くそーーーー!」
ありさ「さとるくん待って!」
れいじろう「行くなありさ」
ありさ「なんで!おとうさんひどい!」
れいじろう「あんな悪い気の塊のような男と居ては魂が腐る いまの純粋なお前ではなくなってしまう」
れいじろう「あいつは客に嘘をついて金をだまし取っている男だった」
れいじろう「月に100万以上稼いでいるお前に近づき、いつかは搾取してやろうとしていた 対してお前は純粋にあの男が好きだった」
れいじろう「あの男が言っていた通り、いまはスーパーでアルバイトしているが 消防士になり将来的には起業を志している若者に恋したんだ」
れいじろう「本当にやつがそんな清々しい若者ならお父さんはなにも言わなかった」
れいじろう「デート中に邪魔をしてすまなかった」
れいじろう「しかし、愛する娘の純粋なその心を悪に染めて欲しくなかったし」
れいじろう「純粋な気持ちを踏みにじようとするあの男はどうしても許せなかったんだ」
ありさ「おとうさん。。。ありがとう」
れいじろうパパ最高です! 私も若い時好きだった人から騙されていたと知りながらも縁がきれずという経験がありますが、彼女のように実の父親が説得力と愛情で守ってくれて羨ましい限りです。
作者さんの実体験が元になっているんですね。さとるのクズ男っぷりが妙に具体的でリアリティあるのはそのせいか、と感心しました。天才占い師霊次郎の畳み掛けるような爽快な論破で、世の中のダメ男を片っ端から成敗してほしいものです。