メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード48(脚本)

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〇怪しげな酒場
  チンピラたちが店を出て行ったあと、エルルはむっと唇を尖らせて言った。
エルル「ニルさんっ! どうして止めたんですか! あんな失礼な人たち、ぶっとばさないと気が済みません!」
ニル「まあまあ。無駄な争いはしなくていいよ」
  あれだけのことをされてもいつもと変わらない様子のニルに、エミリアは呆れたように言った。
エミリア「ああいう輩は一度痛い目に遭ったほうがいい。 次に出会ったときは容赦なくやらせてもらう」
  そしてハンカチを取り出して、ぬれたニルの頭を丁寧に拭った。
ニル「それにしても、なんかさっきの・・・。 暗機集団、だっけ。そんなのがあるんだね」
アイリ「そうね。 存在は知ってたけど私も初めて見たわね」
エミリア「基本的にはゴロツキの集まりだな。 善良な人々を脅かすはた迷惑な奴らだ」
エミリア「メルザムはギルドや騎士団がしっかりと管理していたからそういったものはいなかったがな」
エルル「暗機だと思われる者には武器や防具なども売らないように、ギルドから店側に通達も出ているんですよ」
エルル「もしわかってて売った場合は、営業停止になるんです!」
ニル「へえ・・・そうなんだ。知らなかった」
エミリア「人々に害なすギアーズを倒すだけであれば一向に構わんが」
エミリア「ギルドの目がないからと住民に危害を加える存在など、到底看過できるものではないからな」
エミリア「集団が大きくなればなるほど、きちんとした規律を設けなければ、あのような不届き者が野放しになる」
アイリ「ほんと、最悪だったわねアイツら。 大きな暗機集団所属だからってなに? ああいうヤツが一番ムカつくわ」
エルル「自分の仲間たちのことを自慢するのはいいですけど、それで乱暴したり脅したりしていい理由にはならないです!」
エミリア「しかも集団の中でも下っ端そうだったな。 今までそれでデカい顔をしてきたんだろう。 弱いくせにイキがる男は虫唾が走るな」
ニル「さ、3人とも・・・。 それくらいにしておいてね」
  ニルはヒートアップしている女性陣を止めきれず、ぼんやりと話に耳を傾けながらちびちびとポムルンを飲んだ。

〇可愛らしいホテルの一室
  チンピラたちへの怒りを抱えた3人をなだめながら、ニルは宿屋へと戻った。
  宿屋に着くとようやく落ち着いたのか、みんなくつろいでのんびりとし始める。
  ニルも同じようにソファにくつろいでいるとふと、ある違和感に気がついた。
ニル(・・・ヴェラグニスが、ない)
  ニルは記憶をたどり、酒場に行くまでは持っていたことを思い出した。
  どうやら酒場に忘れてしまったようだ。
  今すぐに取りに行くこともできたが、チンピラたちの一件で気が立っているみんなは心配するだろう。
ニル(みんなが寝たら酒場に戻ればいいかな)
  アイリたちは旅の疲れもあってか、しばらく経ってからあくびをし始める。

〇可愛らしいホテルの一室
  みんなが布団にもぐり、寝静まったのを確認してニルは部屋を抜け出した。

〇怪しげな酒場
  賑わう大通りを抜け、ニルはヴェラグニスを忘れたと思われる酒屋へと戻った。
  ガヤガヤとした店内で、自分たちが利用した机に向かう。
  しかしヴェラグニスは見当たらなかった。
  もしかしたら店側が回収してくれたのかと思ったニルは、店員を呼び止めた。
ニル「すみません、今日ここに剣を忘れてきちゃったんですけど。 そちらで回収してくださってませんか?」
給仕「え? いいえ、剣は預かっていませんが・・・」
ニル「え、そうですか・・・。 引き止めてごめんなさい、ありがとうございます」
  ニルの記憶だと、この酒屋の机のふちにかけていたはずだ。
  チンピラたちが絡んでいた一件で、ニルたちは酒屋では他の客に近づかれてもいない。
  うーん、とニルは記憶を丁寧にたどる。
  酒屋を出るときに、机のふちにはすでにヴェラグニスはなかった。
ニル(・・・ってことは)
ニル「・・・・・・」
  ニルは大方の検討がついて、再び酒場の店員を呼び止める。
ニル「すみません、もうひとつ伺いたいことがあって──」

〇西洋の街並み
  ニルは酒場で聞いた通りの住所に足を運ぶ。
  栄えていた大通りと比べ、町外れで周囲も暗く閑散としている。
  治安もあまりよくないようで、浮浪者と思われる人々がジロジロとニルを見ている。
  ニルはその視線を気にせず、手にしている簡単な地図が描かれているメモどおりにぐんぐん歩いていく。
ニル(えっと、たしかこのあたり・・・)
  ニルは周囲を歩きながらあたりを見渡していると、暗い建物の中、周りから少し離れてぽつんと立つ小屋を見つけた。
  窓から明るい光と騒がしい声が漏れるその小屋の前でニルは足を止め、メモと小屋を見比べて、小さく頷いた。

〇荒れた小屋
  キィ・・・
  ニルは鍵がかかっていない小屋の扉をゆっくりと開く。
  小屋の中で騒いでいた人物たちは、扉が開いたのに気づいてニルの方を向いた。

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