いらない勇者を駆除(け)す方法

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エピソード1(脚本)

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〇中世の街並み
  とある世界では魔族がはびこり混沌としていた。
  普通の人間では太刀打ちができないため、古来より伝承されていた勇者召喚を使って、勇者を召喚することに成功した。
  だが、勇者ひとりの力では、とうていその魔族の数に太刀打ちできない。
  このため勇者召喚法は世界中に伝わり、いたるところで勇者召喚術が行われた。
  これにより魔族を討伐することに成功した。
  だが、目的を失った勇者達は暴徒化し、
  世界は勇者を中心に再び混沌とし始めるのだった・・・
カノクラマサミチ「・・・誰か、つけているな」
カノクラマサミチ「・・・誰だ!」
マサキユウヤ「勇者カドクラ、待っていたよ」
カノクラマサミチ「なんだ、お前は!」
マサキユウヤ「アンタ、この街でずいぶん悪さしてるみたいだな。あっちこっちから恨みの声があがっているぜ」
カノクラマサミチ「それがどうした? 与えられた力を自分のために使って何が悪い?」
マサキユウヤ「世界を救うために与えられた力を、自分の利益のためにしか使わないなんてな。勇者として恥ずかしくないのか?」
カノクラマサミチ「何が勇者だ。随分と勝手な言い草だな。誰がこの世界に連れて来てくれと言った?」
カノクラマサミチ「勝手にこの世界に呼び出しといて、魔族との戦いが終われば今度は邪魔者扱いだ。一体、どっちが身勝手だ?」
カノクラマサミチ「どうせ元の世界に帰れないなら、俺は俺の好きなようにやらせてもらうさ!」
マサキユウヤ「気持ちはわらないでもないさ。でもな、やっていいことと悪いことってものは、どちらの世界でも決まっているもんだぜ!」
カノクラマサミチ「邪魔をするなら殺す! 殺されたくなかったら今すぐ俺の前から消えろ!!」
マサキユウヤ「・・・言っても無駄か」
カノクラマサミチ「よく言うぜ。最初から説得するつもりも無かっただろうが!」
マサキユウヤ「そういうこと。悪いが勇者を消すのが俺の仕事なんでね。恨みはないが消えてもらうぜ!」
カノクラマサミチ「てめぇ! あの勇者殺しか!!」
カノクラマサミチ「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
カノクラマサミチ「・・・くっ。一瞬かよ、ちくしょう。どんだけ強いんだよ、お前・・・」
マサキユウヤ「・・・悪いね。正義の味方気取りをするつもりはない」
マサキユウヤ「俺もアンタと同じだよ。自分の都合で力を使っている」
マサキユウヤ「勇者の紋章、回収させてもらうぜ!」
イザベラ「・・・呆れるほどの強さね。これだから勇者ってのは・・・」
マサキユウヤ「・・・紋章は回収した。帰るぞ!」
イザベラ「止めを刺さなくていいの? 後で恨まれて襲われるかもしれないし。私が代わりに殺してあげようか?」
マサキユウヤ「止めとけ、イザベラ。勇者の紋章が無ければただの人間だ。もう悪さもできないさ」
イザベラ「・・・好きにすればいいわ。人間も勇者も興味ないし」
マサキユウヤ「帰ろう、ギルドに!」
イザベラ「はいはーい!」
マサキユウヤ「その恰好で行くなよ、イザベラ。魔族の生き残りだとバレたらその場で殺されるからな」
「これでいいでしょ?」
イザベラ「女戦士のイザベラちゃんでーす!」
マサキユウヤ「それでいい。さあ、行こう」
  ユウヤは何も気付いていなかった。
  この戦いに目撃者がいたことを・・・。
  後の「アントニウスの聖戦」と呼ばれることになる戦いの前日譚である・・・

コメント

  • たしかに召喚された勇者が、その後どうなったのかがわからない作品もありますよね。
    こんな風になることもあるよねって思いました。
    おもしろかったです!

  • 設定や世界観がとても練られているので、短編ですが読み応え十分の物語ですね。目的の失った”力”がどうなるか、この先の展開を想像すると楽しいです。続編も見てみたいですね。

  • 短いストーリーのなかでギュッと中身が凝縮されていて楽しいお話しで一気に集中して読ませて頂きました。続きも読んでみたい気がします。

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