便利屋つくもの家系能力

あまくに みか

転売ヤーをとっちめろ!(脚本)

便利屋つくもの家系能力

あまくに みか

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〇一戸建て
「お願いです、便利屋さん!!」

〇豪華なリビングダイニング
森尻「この転売ヤーをとっちめてください!!」
パパ(津雲 れい)「よし、引き受けたァ!!」
ママ(津雲 聖子)「今日中に解決できそうね〜、パパ」
パパ(津雲 れい)「そうだね、ママ」
優(ゆう)「すぅ、すぅ・・・」
森尻「えっ、今日中? はやいですね」
森尻「転売ヤーのアカウント名が ”ナツ”っていうことしか情報ないのに──」
晴(はる)「安心して、森ヒップ!」
森尻「森尻です」
晴(はる)「私たち、津雲家には」
晴(はる)「すんごい家系能力があるんだから!!」

〇渋谷駅前
  1週間前

〇雑貨売り場
  今日は人気ゲーム『祝日男子』
  略して”シュクダン”の地域限定グッズ先行発売
森尻「お客様も朝から大行列! 忙しくなるぞ!」
客「早く買って、推しに囲まれた〜い」
客「個数制限あるから、売切れにはならないよね」
客「楽しみ〜」
  シュクダンの人気は、俺の予想を遥かに上回り
  目玉商品の地域限定グッズは
  開店数時間で売り切れてしまった
客「売切れ?」
客「嘘でしょ!? 朝から並んだのに!」
森尻「申し訳ございません」
客「見て!!」
客「転売されてる!!」
客「は? 転売ヤーに売るなんてどうかしてる!?」
客「本当に欲しい人が買えるようにしてよ!」
「なんとかしてよ!!」

〇公園通り
森尻「はぁ〜・・・」
森尻(俺だって、転売されるのは腹が立つ!!)
森尻(けど、買いに来てくれたお客様の誰が 転売ヤーかだなんて)
森尻(見分けがつくわけないじゃないか)
森尻(購入制限をかけていたのに・・・)
森尻(今の日本の法律じゃ、 転売を取り締まれないし・・・)
男の子「お兄さん、悩み事?」
森尻「君は?」
男の子「お兄さんの悩み事 解決出来る人、知ってるよ」
森尻「ほ、本当!?」
男の子「はい、これ」
森尻「『あなたのお悩みソッコー解決♪』」
森尻「『便利屋つくも』」
森尻「なんだこれ・・・ ──って、あれ?」
森尻「──いなくなってる」
森尻「便利屋つくも・・・か・・・」

〇事務所
森尻「これが、お店の防犯カメラ映像を記録している機械です」
パパ(津雲 れい)「なるほど」
森尻「俺も見ましたけど 特に怪しい人は見つけられませんでしたよ」
パパ(津雲 れい)「我々に任せたまえ」
パパ(津雲 れい)「津雲家家系能力!!」
パパ(津雲 れい)「憑依! パソコン!!」
森尻「えっ? あの パパさんどこ行ったんです?」
晴(はる)「パパならこの機械に憑依したよ」
森尻「憑依? 霊がのりうつるっていう?」
晴(はる)「ん〜 私たちのは逆かな」
森尻「逆?」
ママ(津雲 聖子)「津雲家の家系能力は、 私たち自身が何かにのりうつることが出来るのよ〜」
ママ(津雲 聖子)「パパは電化製品ね〜」
森尻「すごい! チートじゃないですか!」
晴(はる)「けど能力には色々と デメリットがあるんだよねー」
パパ(津雲 れい)「”ナツ”を特定したぞ!」

〇事務所
パパ(津雲 れい)「”ナツ”はっ・・・」
森尻「は?」
パパ(津雲 れい)「ハクショーイ!!」
ママ(津雲 聖子)「パパは能力を使うと 反動で体温が下がるのよね〜」
パパ(津雲 れい)「お陰で、万年冷え性だ」
パパ(津雲 れい)「さて、”ナツ”だが──」
パパ(津雲 れい)「この女だ」

〇雑貨売り場
  ”ナツ”は、仲間を使って
  行列の先頭を陣取っていた
  そして、限定グッズを購入

〇満車の地下駐車場
  仲間たちと取引きしているところを
  駐車場の防犯カメラで確認済みだ

〇公園通り
パパ(津雲 れい)「車のナンバーはこれだ!!」
ママ(津雲 聖子)「赤い外車 特徴的ね〜」
ママ(津雲 聖子)「”彼ら”なら知っているかも」
パパ(津雲 れい)「ママ、住所特定頼めるかい?」
ママ(津雲 聖子)「ええ! その間、優くんをお願いね」
ママ(津雲 聖子)「津雲家家系能力!」
ママ(津雲 聖子)「憑依! 鳥!!」
森尻「こ、今度は鳥!?」
晴(はる)「ママはねー、動物に憑依できるんだぁ」
晴(はる)「カラスと猫のコミュニティは ママ友並に、あなどれないって言ってた」
森尻「家系能力すげぇ・・・」

〇公園通り
パパ(津雲 れい)「ママが”ナツ”の住所を特定するのも 時間の問題だ」
パパ(津雲 れい)「さて、森ヒップくん」
森尻「森尻です」
パパ(津雲 れい)「君は”ナツ”をとっちめた後は どうするつもりかね?」
森尻「お客様の信用を取り戻さないと・・・です」
森尻(けど、どうすればいいんだろう?)
ママ(津雲 聖子)「パパ〜」
ママ(津雲 聖子)「”ナツ”の家、特定したよ〜」
パパ(津雲 れい)「流石ママ♪」
森尻「って、ええ!? 急にふくよかになりすぎじゃ・・・」
ママ(津雲 聖子)「能力を使った反動で 一定時間、太っちゃうのよ〜」
ママ(津雲 聖子)「困ったわぁ」
パパ(津雲 れい)「ママは太っても かわいくて、もふもふで、素敵だよ」
ママ(津雲 聖子)「まあ、パパったら」
森尻「・・・」
森尻「なにこの家族・・・」

〇白いアパート
晴(はる)「”ナツ”の居場所もつきとめたし」
晴(はる)「いよいよ、とっちめちゃうよー!」
晴(はる)「悪いやつには、ちょーっと」
晴(はる)「怖い目にあってもらわないとね」

〇けばけばしい部屋
ナツ「あははは」
ナツ「オタクって本当にチョロくって、最高」
ナツ「もっと高値で売っちゃおうーと」
ナツ「通報したって無駄だよ、バーカ」
ナツ「なっ、なに?」
  転売ユルサナイ・・・転売ユルサナイ
  転売ダメ絶対転売ダメ絶対転売ダメ絶対
  転売したら、どうなるか知ってるか?
  ナツ、いや──
  佐藤 なつき
ナツ「な、なによ、これ なんで、私の名前が!?」
  アカウントを凍結します
ナツ「ちょっと! 勝手になにしてんの!?」
ナツ「パソコンがいうこときかない!?」
ナツ「どうなって──」
ナツ「なに?」

〇けばけばしい部屋
ナツ「ひゃっ!! 停電?」
ナツ「キャーーーーー!!」
ナツ「ゆゆゆ幽霊なんて信じないんだから!!」
ナツ「ネズミ?」
ナツ「たくさんいる!!」
ナツ「もう嫌!! 外に出──」

〇けばけばしい部屋
警察「佐藤なつきだな?」
ナツ「警察ぅ!?」
警察「万引きしましたね」
警察「複数の店舗から、被害届が出ています」
ナツ「ちょっと、なんの話よ!?」
警察「お話は署で聞きましょうか」
ナツ「ちょっと! 離してよ!」

〇けばけばしい部屋
ママ(津雲 聖子)「少し脅かすつもりが 余罪まで見つけちゃったのね」
ママ(津雲 聖子)「さすがね、パパ」
パパ(津雲 れい)「ぽっちゃりでやわらかなママも素敵だよ」
パパ(津雲 れい)「ハーックショイ!!」
ママ(津雲 聖子)「パパったら」
橋本「津雲くん」
パパ(津雲 れい)「橋本さん」
橋本「素早い通報、ありがとうございました」
橋本「流石の家系能力だ」
パパ(津雲 れい)「特殊課の助力あってのことですよ」
橋本「この後は我々が引継ぎます では」
森尻「警察の人にも伝手があるんですね」
パパ(津雲 れい)「まあ、我々の家系は特殊だからね」

〇白いアパート
森尻「ところで、晴さんの家系能力って・・・」
晴(はる)「見えない”もの”に憑依する、だよ」
森尻「君は、あの時の!?」
晴(はる)「へへっ、晴だよ」
晴(はる)「能力を使うと、男の子になっちゃうんだ」
晴(はる)「ところで、モリジー」
森尻「森尻です」
晴(はる)「”ナツ”はとっちめるどころか 逮捕されちゃったし」
晴(はる)「これで万々歳?」
森尻「スッキリはしましたけど・・・」
森尻「お客様の信用を取り戻す問題が残っています」
晴(はる)「うんうん、そうだねー」
森尻「発注量や販売方法について お店のみんなともっと検討しないと」
森尻「今回の件は、お客様に頭を下げ続けるしかないですが──」
パパ(津雲 れい)「それについては、問題ないぞ」
パパ(津雲 れい)「すでに手を打ってある」
パパ(津雲 れい)「君が、転売ヤーをとっちめて 浮かれているようなら黙っておくつもりだったが──」
パパ(津雲 れい)「きちんと地に足がついているようだ」
晴(はる)「よかったねぇ! モリジー!!」
森尻「あ、あのどんな手を?」
ママ(津雲 聖子)「それはね〜」
ママ(津雲 聖子)「私たちの家系能力を いっさい忘れたら、わかるわよ〜」
森尻「それって・・・?」
  津雲家家系能力!
  憑依! 脳!

〇雑貨売り場
森尻(あれ・・・? 飲みすぎたみたいに頭がぼんやりする)
森尻(昨日は、なにしてたっけ?)
森尻(とにかく売切れの件 お客様にお詫びしないと)
森尻「はい、渋谷店の森尻です」
森尻「えっ? シュクダンの地域限定グッズ」
森尻「期間限定受注販売になったんですか!?」
森尻「よかったー」

〇渋谷駅前
晴(はる)「パパ、モリジー喜んでたね!!」
パパ(津雲 れい)「ハーックショイ!!」
パパ(津雲 れい)「あぁ、寒い」
パパ(津雲 れい)「ところで、晴」
パパ(津雲 れい)「彼とはどこで知り合ったのかな?」
晴(はる)「ああ、あのね 私って幽霊とか見えるでしょ?」

〇公園通り
  あの日も、家系能力で
  幽霊にとりついて遊んでたんだ
  そうしたら──
  モリジーの守護霊がやって来たの
守護霊「孫が心を悩ませています」
守護霊「どうか、助けになってあげてください」

〇渋谷駅前
パパ(津雲 れい)「なるほど、それでか──」
「おい! オヤジ!」
優(ゆう)「早くミルクをよこせってんでぃ!!」
ママ(津雲 聖子)「あらあら 優くんが荒ぶっているわ〜」
晴(はる)「優の能力の反動 何回もみてもヤバ〜い!!」
パパ(津雲 れい)「ハーックショイ!!」
パパ(津雲 れい)「かわいい優が・・・」
優(ゆう)「オヤジ! オムツもぬれてんぞ!」
パパ(津雲 れい)「家系能力も困ったものだ」
パパ(津雲 れい)「ああ、寒い」

コメント

  • トントン拍子でテンポが良く、楽しみながら読めました😆
    チート級の能力で悪を裁く仕事に憧れちゃいます🌟

  • 面白かったですー!!✨家族それぞれが憑依能力を持っていて反動もそれぞれ違うのも斬新で面白いですね✨😊

    ありがとうございました!!

  • 家系能力って名前が面白いです。
    体温が冷えた夫と、ふくよかになる妻…
    抱擁で副作用も解決ですね😄

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