おてんば姫の冒険記

灰谷あずま

城下町はドキドキがいっぱいよ!(脚本)

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〇城壁
  メロエル城・・・
  平和な国の、平和なお城で、
  王様が民に演説している。
  この国に何がしかの不満は
  あるだろうか?
  何かあればいつでも私が耳を傾けよう!
  私は民に寄り添いたい!
  出来ることはなんでもする。
  私にできずとも、妃や王女に
  できることがあれば
  必ずや助けとなろう!
サイネリア「・・・・・・」
  王様ばんざーい!
  メロエル王国ばんざーい!!

〇貴族の部屋
サイネリア「・・・・・・」
サイネリア「・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・」
サイネリア「あーーーもーーー つかれたーーーー!!!」
タイクーン「おいおい、だらしないな! 王女ともあろう者が」
サイネリア「はぁー? だって疲れたんだもん、 仕方ないでしょ!」
ギャラクシー「ハハハ・・・・・・ まあまあ、サイネリア様。 お仕事は終わったのですから、 休まれたらいいのですよ」
タイクーン「ギャラクシーは王女に甘すぎるぞ!」
サイネリア「いいじゃないの! ほんと、公務って面倒くさいのよ! お付きのあんたにゃ 分かんないでしょうね!」
タイクーン「お前はいつもそう言って、王様の 悩みを増やしてるだけだろうが!」
ギャラクシー「落ち着きなさい、2人とも。 これでもサイネリア様は 頑張っているんですよ?」
サイネリア「ギャラクシー・・・・・・♡」
タイクーン「まったく・・・・・・ まあいいけどな。 今日はもう大人しくしててくれよ」
サイネリア「何言ってんのよ! このあとはいつものアレよ!」
タイクーン「ま、まさか・・・・・・今日も?」
ギャラクシー「サイネリア様、それはあまり オススメしませんが・・・・・・」
サイネリア「2人は別に来なくていいのよ? アタシ1人で行くから!」
ギャラクシー「・・・そんな事言わないでください。 お供しますよ、ねぇ、タイクーン?」
タイクーン「・・・・・・はいはい。 行きますよ行きゃいいんだろ」
サイネリア「よろしいっ♪ では、城下町にしゅっぱーつ!」

〇ヨーロッパの街並み
サイネリア「わー!あそこから いい匂いしてくるー! 何の料理かしらーーー!」
タイクーン「おい、あんまり騒ぐなよ・・・ 田舎モンみたいだぞ」
サイネリア「なによう、そんなにアタシ うるさいかしら・・・・・・ それともこの服、似合ってない?」
ギャラクシー「『確かに露出が多いな…』」
タイクーン「い、言ってねぇ!見てねぇ!! おいギャラクシーいい加減にしろ! 変な声真似もやめろ!」
サイネリア「た、タイクーンのえっち・・・・・・」
タイクーン「見てねえっつってんだろ! お前を女として見てねぇの!」
ギャラクシー「それは言い過ぎだ、サイネリアには サイネリアの魅力があるよ。 タイクーンも分かるだろう?」
タイクーン「チッ・・・・・・まあいい」
  あーっ!
  おねーちゃんだー!!
アン「おねーちゃん、こんにちは! 今日も遊びに来てくれたんだね!」
サイネリア「あら、アンじゃない! こんにちは! 今日も元気ね♪」
アン「あー、うん・・・・・・ 元気だよっ」
サイネリア「あれ。 そうでもない? 何かあったの?」
アン「う、うーん・・・・・・実はね、 お父さんが帰ってこないの」
サイネリア「アンのお父さんって、道具屋さんの 店主さんよね? どこかに出かけたの?」
アン「うん・・・・・・ お店に出す薬草が足りなくて、 森に採取に行ったのよ。 でもまだ戻ってこないの」
アン「いつもお昼前には帰ってくるのにぃ・・・」
ギャラクシー「・・・何かの事件に 巻き込まれてないと いいんですが・・・」
サイネリア「大変じゃないの! よし、探しに行ってあげる!」
アン「えっ・・・・・・でも、森には モンスターも出るし・・・・・・ おねーちゃんまで危ない目に あうかもしれないよ?」
サイネリア「それなら大丈夫よ! おねーちゃんも少しなら魔法が 使えるし・・・・・・ このお兄ちゃんたちも強いから!」
アン「・・・・・・ほんと?」
サイネリア「ほ・ん・と! だから、安心して! アンは、ここでお父さんが帰るのを お母さんと待っててね」
アン「・・・・・・うん! ありがとう、でもほんとに 気をつけてね!」
サイネリア「話は聞いたわね? 2人とも、行くわよ!!」
タイクーン「強引だなぁ・・・・・・ まあいいか、モンスターがもし出たら 剣のサビにしてやればいい」
ギャラクシー「若夫婦は血気盛んだなぁ・・・・・・」
「誰が若夫婦じゃー!!」

〇森の中
  ──メロの森──
サイネリア「さて・・・・・・ ここが、アンのお父さんが 薬草を取りに来た森ね」
タイクーン「薬草はどのあたりでとれるんだ?」
ギャラクシー「森の奥の方だろうな。 だが、奥の方にはモンスターが いるだろう。 気をつけて進もう」
サイネリア「それにしても、危険をおかしてまで 森に来るなんて・・・・・・ 薬草がそんなに欲しいのかしら」
ギャラクシー「物価上昇による、流通量の減少かと 思います」
サイネリア「ぶっか?りゅーつー? 難しい話はやめてよね!」
タイクーン「馬鹿すぎる・・・・・・今のを 理解できなかったのか?」
サイネリア「ばっ、馬鹿ですって!?」
ギャラクシー「・・・・・・しっ! 何か聞こえた!」
サイネリア「お、男の人の叫び声!?」
タイクーン「道具屋の主人か? おい、行くぞ!」

〇密林の中
アーノルド「ひ、ひいいい! やめてくれぇ!」
サイネリア「アンのお父さんね!? 大丈夫!?」
アーノルド「き、キミは・・・・・・?」
サイネリア「説明は後でするわ! えいっ!!!」
モンスター「ぎえええええッ」
タイクーン「ふんっ!!!」
アーノルド「あ、ああ・・・・・・ ありがとうございます」
サイネリア「・・・・・・大丈夫ですか? 私は、あなたの娘さんの友達です」
サイネリア「娘さんから、あなたが帰らないと 聞いたので探しに来たのです。 怪我はないですか?」
アーノルド「ああ、そうだったのか。 本当にありがとうございます。 怪我は、ほんのかすり傷です」
ギャラクシー「草木で切った傷だな。 見せてください」
アーノルド「おお、治った・・・・・・ 何から何まで、ありがとう・・・・・・」
サイネリア「街で娘さんが待ってますよ。 早く森を出ましょう!」
アーノルド「そうしたいのだが、まだ薬草が 見つかっていないのだ・・・・・・ この辺にあるはずなんだが」
ギャラクシー「しかしこれ以上の探索は危険です。 薬草は、こちらで探して納品しますので 今日は戻りませんか?」
アーノルド「納品・・・・・・って・・・・・・ いやしかし・・・・・・見ず知らずの あなた方に全て頼るのは・・・・・・」
サイネリア「・・・・・・」
サイネリア「あなたのお名前と、住所を 教えていただけます?」
アーノルド「えっ? ええと・・・・・・」
サイネリア「悪いようにはしませんよ。 ・・・・・・ええ、はい、 確かにこちらで。 なるべく早く納品しますね」
アーノルド「???」
ギャラクシー(王女・・・・・・ こういう権力の使い方は、 嫌いじゃないですよ、私は)
サイネリア「さて、じゃあこの方を護衛しつつ 街に戻りましょう!」

〇ヨーロッパの街並み
  ──メロエル城下町──
サイネリア「アン! 帰ってきたわよ!」
アン「おねーちゃん!と・・・・・・ お父さーん!! おかえりなさい!!」
アーノルド「アン! 心配かけたようだね、すまない。 ただいま、アン」
アン「ほんとだよ! お母さんもソワソワしてた! 早く家に入ろう!」
アーノルド「そうだな。 ・・・サイネリアさんだったね。 それから、ギャラクシーさんと、 タイクーンさん」
アーノルド「本当にありがとう。 もしウチの店の商品が欲しい時は、 サービスするから、いつでも 寄ってくださいね」
アン「おねーちゃんもおにーちゃんたちも、 またねー! ありがとうー!!」
サイネリア「いい事すると気持ちいいわね!」
タイクーン「王女を危険な目に合わせたって 苦情来ないだろうな?」
ギャラクシー「大丈夫だろう。 今回は誰も無傷だったわけだしな」
サイネリア「2人ともほんと頼りになるわ! ありがとうね! また、遊びに来ましょうね!」
タイクーン「・・・懲りてねぇなぁ、コイツ」
  その後、道具屋宛に大量の薬草と
  その他の商品が届くのは、
  事件から3日後だったという・・・・・・。

次のエピソード:勉強なんかしたくないんです!

コメント

  • サイネリアちゃんのお高く止まってないような性格の良さが、読んでいてとても好感を持てました!
    アンちゃん、お父さん帰って来なくて不安だっただろうしお父さんも山でいきなりあんなモンスターと遭遇したら怖いですよね。
    無事に助かって良かったです。

  • サイネリアちゃんの明るさや率直さ、彼女を取り巻く二人の男子の良さもあり、読みながらとても清々しい気分になれました。とてもシンプルな文章だけど、良識とは・・をしっかり含んでいると思います。

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