堀田探偵シリーズ第二弾『魔法使いと音の無い雨が降る町』

komarinet

第五話 副町長(脚本)

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〇個別オフィス
???「堀田」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ああ、お疲れ様」
???「聞いたぞ。 ここを辞めるらしいな」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「実はそうなんだ」
???「今さらサラリーマンか?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いや、探偵は続ける」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ここの方針と、 僕のやりたいことが違うだけさ」
???「『人のためになる探偵』か?」
???「やめておけ」
???「誰かが隠したいものを 無理矢理暴く」
???「そんなものが人の為に なるわけがない」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それでも、さ。 やれるところまではやってみたい」
???「勝ち逃げか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「えっ?」
???「だってそうだろ?」
???「お前のせいで私は、 ずっと二番手だったんだ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そんなこと言われてもな」
???「そうだ、いいことを思いついた」
???「お前が『人のためになる』探偵を 目指すなら──」
???「私はその逆を生きよう」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「どういう意味だ」
???「言葉通りさ」
???「人のために『ならない』探偵」
???「今からそれが、私の目標だ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「・・・」

〇病室のベッド
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ん・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ここは病院か? 眼鏡は」
???「はい、眼鏡」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ああ、どうも」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「やあ、君か」
浜 伊織(はま いおり)「・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「僕はどれくらい寝てた?」
浜 伊織(はま いおり)「事故を起こしてからなら 十時間くらいですかね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「心配かけたね」
浜 伊織(はま いおり)「べっ」
浜 伊織(はま いおり)「別に心配かけてなんか。 かかったのは迷惑だけです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そうか。すまなかったね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ロンくんは?」
浜 伊織(はま いおり)「外で待たせてます」
浜 伊織(はま いおり)「病院に二人で忍び込まれても 迷惑でしょうから」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「はは、違いない」
浜 伊織(はま いおり)「全く。人の気も知らないで・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「何か言ったかい?」
浜 伊織(はま いおり)「いえ、何も」
浜 伊織(はま いおり)「それより、何があったんですか?」
浜 伊織(はま いおり)「車で畑に突っ込むなんて」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いや、実は 僕にもよくわからないんだ」

〇車内
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「走っていたのは 音無雨町内の道路だ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「センターラインもなかったから 比較的真ん中を走っていたよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「だが、突然車が横転し、 僕は意識を失った」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「考えられるのは 地盤沈下とかだが」
浜 伊織(はま いおり)「それはあり得ませんね」

〇山間の田舎道
浜 伊織(はま いおり)「ここへ来る前、 事故現場を調査しました」
浜 伊織(はま いおり)「地面に異常は認められませんでした」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「しかしそうなると、 原因がわからないな」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「薬物でも盛られたか?」
浜 伊織(はま いおり)「その可能性は低いと思います」
浜 伊織(はま いおり)「タイヤ痕を見てきましたが、 真っ直ぐでした」
浜 伊織(はま いおり)「意識があやふやなら、 タイヤ痕は曲がるはずです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「その通りだ。 じゃあ僕は正気だったってことか」
浜 伊織(はま いおり)「それもどうでしょう」
浜 伊織(はま いおり)「確かに、タイヤ痕は 真っ直ぐだったのですが」
浜 伊織(はま いおり)「真っ直ぐ── 畑の方へと向かっていたんです」

〇病室のベッド
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「なんだって!?」
浜 伊織(はま いおり)「つまりですね」
浜 伊織(はま いおり)「所長は畑めがけてアクセルを踏み、 自ら落ちたってことですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「なんてことだ」

〇病院の入口
浜 伊織(はま いおり)「ふう」
初刷 論(はつずり さとし)「お疲れ様。 警備員は大丈夫だった?」
浜 伊織(はま いおり)「急患の家族のふりして 救急入口から入ったから」
浜 伊織(はま いおり)「警戒するどころか 優しい言葉をかけられたわ」
初刷 論(はつずり さとし)「いや度胸半端ねぇわ」
浜 伊織(はま いおり)「二時間も待たせてごめん」
初刷 論(はつずり さとし)「それは大丈夫」
初刷 論(はつずり さとし)「議員の素行調査のときなんか 2日間張り込んだからな」
初刷 論(はつずり さとし)「で、所長は目を覚ましたのか?」
浜 伊織(はま いおり)「一度はね。 でも、少し話してまた寝たわ」
初刷 論(はつずり さとし)「そっか。なんだって?」
浜 伊織(はま いおり)「ああ、所長は──」

〇病室のベッド
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「とりあえずまた明日から 調査を開始しよう」
浜 伊織(はま いおり)「は!?」
浜 伊織(はま いおり)「いや無理ですよね」
浜 伊織(はま いおり)「カルテには 肋骨が数ヶ所折れてるって」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ふむ。肋骨だけか。なら、」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「手術までは必要ない。 そう書いてあったんじゃないか?」
浜 伊織(はま いおり)「なぜ分かるんですか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「肋骨は、ずれてなければ 保存療法が基本だからね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「はははっ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「っと、痛ててて」
浜 伊織(はま いおり)「安静を要するとも 書いてありましたけどね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「大丈夫さ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「もう事故に逢わなければ いいってことだ」
浜 伊織(はま いおり)「・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「なんて顔してるんだい」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「もちろん先生のOKが 出なければ退院出来ない」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「心配いらないよ。 はっはっは」

〇病院の入口
初刷 論(はつずり さとし)「不安だ」
浜 伊織(はま いおり)「でしょ」
初刷 論(はつずり さとし)「医者の弱みを見つけてでも 無理矢理退院するな」
浜 伊織(はま いおり)「私もそう思う」
浜 伊織(はま いおり)「なんか、どっと疲れた」
初刷 論(はつずり さとし)「音無雨町から三時間歩いたもんな」
浜 伊織(はま いおり)「三時間歩いて戻る?」
初刷 諭(はつずり さとし)「まさかだろ」
初刷 諭(はつずり さとし)「歩いて15分でネカフェあるんだから そこで充分」
浜 伊織(はま いおり)「意義なーし」

〇空

〇空

〇病院の入口
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いい朝だねぇ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「思わず歌いたくなるよ」
浜 伊織(はま いおり)「どうぞ、ご自由に」
浜 伊織(はま いおり)「深呼吸してからねっ!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「痛くないっ!」
初刷 論(はつずり さとし)「痛そう・・・」
浜 伊織(はま いおり)「先生。 本当に退院でいいんですよね?」
県立病院 医師「もっ、もちろんだとも!」
県立病院 医師「堀田さん、例の件はくれぐれも なっ?」
初刷 論(はつずり さとし)「駄目だこりゃ」
浜 伊織(はま いおり)「想定内すぎて震える」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ああ、ちょうど新しい車も 来たようだね」
カーシェア社員「堀田様、ご利用ありがとうございます」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いつもすみません」
カーシェア社員「とんでもございません」
カーシェア社員「では私はこれで」
初刷 論(はつずり さとし)「あの人は歩いて帰るんだ・・・」
浜 伊織(はま いおり)「所長の知り合いは 気にしない方がいいわよ」
浜 伊織(はま いおり)「突っ込んだらきりがないから」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「よし、じゃあ夢と希望の 音無雨町へ、出発といこう!」
初刷 論(はつずり さとし)「おおー・・・」

〇郊外の道路

〇車内
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「昨日はちょっとしたトラブルで 打ち合わせしなかったから」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「情報の共有をしようか」
(ちょっとしたトラブル・・・)
初刷 論(はつずり さとし)「そうですね」
初刷 論(はつずり さとし)「佐々木哲司の戸籍附票から 住所が判明したので」
初刷 論(はつずり さとし)「家の前に張り込みました」
浜 伊織(はま いおり)「夜中まで監視を続けて いたのですが」
浜 伊織(はま いおり)「拉致があかないので 解錠して侵入しました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ええー!?」
初刷 論(はつずり さとし)(ほらな、勝手に侵入して いいわけないよな)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「手袋はしたんだろうね?」
初刷 論(はつずり さとし)(そこかい)
浜 伊織(はま いおり)「当然です」

〇古いアパートの部屋
浜 伊織(はま いおり)「部屋で例の花びらや 歴史書を見つけました」
浜 伊織(はま いおり)「部屋の主は佐々木と考えて 矛盾はありません」
浜 伊織(はま いおり)「ただ、あまりにも生活感が 欠落していました」
浜 伊織(はま いおり)「ゴミ箱に塵一つなく、 テーブルには積もった埃」
浜 伊織(はま いおり)「流しを使った形跡も ありませんでした」

〇車内
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「異臭とかは無かったかい?」
初刷 論(はつずり さとし)「いえ、特には」
浜 伊織(はま いおり)「どうかしましたか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いや、ちょっとね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「あと、彼の顔を知っている 人間はいたかな?」
浜 伊織(はま いおり)「町役場の職員は佐々木を 知っていました」
浜 伊織(はま いおり)「写真で確認したので 間違いないかと」
初刷 論(はつずり さとし)「あっ、そういえば!」
初刷 論(はつずり さとし)「家に忍び込んだとき、 途中で誰か来たんですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「えっ、大丈夫だったのかい!?」
初刷 論(はつずり さとし)「はい。何とか見つからずに 逃げられましたけど」
初刷 論(はつずり さとし)「もしかして あれが佐々木だったのかなぁ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)(いや、その可能性は低い)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)(こんな場所で 二つも住居を構えないだろう)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)(佐々木は恐らく殺されてる)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)(部屋に入ってきた人間、 それは恐らく彼を殺した──)
浜 伊織(はま いおり)「あともう一つご報告です」

〇田んぼ
浜 伊織(はま いおり)「佐々木宅から逃げるとき」
浜 伊織(はま いおり)「私たちも”音の無い雨”に 出会いました」
初刷 論(はつずり さとし)「幽霊みたいな 変な影もでてきたりして」
初刷 論(はつずり さとし)「死ぬかと思いました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「幽霊みたいな影か」
浜 伊織(はま いおり)「・・・」
初刷 論(はつずり さとし)「旅館の先代女将が 声をかけてくれて」
初刷 論(はつずり さとし)「命からがら旅館に 駆け込んだんですよ」

〇車内
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「図書室の文献にも 化け物の記述はあったね」
浜 伊織(はま いおり)「・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「浜くん。 ひょっとして幽霊苦手?」
浜 伊織(はま いおり)「大丈夫です」
浜 伊織(はま いおり)「こう見えて 幽霊とか割とイケるタイプです」
初刷 論(はつずり さとし)(苦手なんだな)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ま、まあ幽霊の記述が あった本はたった一冊だけだ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「メジャーな説じゃないから 心配しなくていいと思うけどね」
浜 伊織(はま いおり)「だからイケますってば」
初刷 論(はつずり さとし)(全力で誤魔化してる。 とはいえ・・・)

〇山間の田舎道
初刷 論(はつずり さとし)(実際に見ちゃったからなぁ)
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「あっ、ロンくん! ストップ!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ちょっと車で待っててくれ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「こんにちは。いい天気ですね」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「ああ、旅行中の──」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「堀田と言います」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「堀田さん・・・」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「って、昨日そこで 事故に逢われた方ですよね!?」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「もう平気なんですか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ええ、多少肋骨は痛──」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「全く我が町で事故が起こるなんて僕の不徳の致すところです。確かに町の第一目標として農産物の安定栽培は掲げていますが、そもそ」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「もこれも観光資源を増やすための試みでして、この町に旅行者と移住者を多くするためなんです。つまり道路の整備、これももちろん」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「目標には入っております。基本的な整備はしましたがやはり元々田畑があるところに道を作っただけあって幅が多少狭かったことは否」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「めません。ガードレール設置の意見もあったのですがあまりに過ぎるとそれは景観を損ねることにもなります。私がこの町に惚れ──」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「町長さん」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「あ、すみません。 町のこととなるとつい」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「ともあれ、無事で何よりです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ありがとうございます」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ところで、ここで何を?」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「水路が一部破綻したので 修繕していました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それは申し訳ないことを」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「いえいえ。元はといえば 事故も町の責任」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「こちらから治療費を 申し出たいくらいです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「とんでもありません。 お気遣い痛み入ります」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「今日はどちらに?」
???「勘九郎、水路の修理終わったぞ」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「ああ、ありがとう」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「!!」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「そうだ、あなたも ご挨拶してはどうですか」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「我が町にいらっしゃった お客様ですから」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「堀田さん、ご紹介させて下さい」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「僕の右腕にして副町長の」
志田 勘九郎(しだ かんくろう)「佐々木哲司です」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「佐々木です、初めまして」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「初めまして、佐々木さん」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「堀田と申します」

次のエピソード:第六話 怪しすぎる父娘

コメント

  • 堀田所長無事(?)だったー!!(≧∇≦)
    そして貴重な、眼鏡キャラの眼鏡オフをありがとうございます!!
    病院を出た手腕や心配するポイントおかしいとこなど、久々の堀田さんはやはり健康にいい……!!

  • ここで佐々木!?
    果たして本物かどうか…!?😆

    あー、それにしてもいおりんかわいいなぁ〜。

  • お話のクオリティの高さとホッターのタフさにビックリです😊ライバルキャラの匂わせが気になりますね〜。そして佐々木哲司の登場BGMがやけに重い…?戦闘開始、ということは…

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