HelloHello,ハッピーエンド

無明

ウェルカム学園生活(脚本)

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〇西洋の街並み
  ────ここ、ロプトは小さな村だ。
  エルヴァン王国の東、ルリエラ大森林に隣接する自然豊かな・・・悪く言えば田舎である。

〇暖炉のある小屋
  そんな田舎の村にある、小さな店。
  店舗自体は小さいが、食材に雑貨、簡易的な武器まで、だいたいそろう。
  この村にとってかかせない、いわゆるよろず屋。そして、その店の一人娘が──
  私、ルエン。
  愛想もへったくれもないこと以外は、ごく普通の転生者である。
  ・・・転生者の時点で普通じゃねえな、うん。
  とにかく、私ルエンはこのロプト村で生まれ育った、ごくごく普通の村娘である。
  私の希望は、このままよろず屋を継いで平凡な毎日を送ること。
  チートとか持ってないし、神様や精霊に愛されてもないし、なによりドッタンバッタン冒険活劇とか勘弁である。
  だから願わくば、このままただの村人Cとして生涯を終えたい──
  ・・・そう思っていた、のだけど。
レミラン「おかえり、ルエン!ちょうどよかったわ」
ルエン「ただいま。どうかしたの、母さん」
レミラン「ほら、この間試験受けたでしょう?学園に通えるかどうかっての」
レミラン「さっき先生がいらしてね、合格だって!」
ルエン「あー・・・うん、そっか・・・」
レミラン「あら、あんまり嬉しそうじゃないね?」
  嬉しくないわけではないが、正直複雑だ。
  なにせ転生者の私は知っている。
  エルヴァン王立学園。そこは、私がかつて関心をもっていた乙女ゲームの舞台。
  ひかえめに言って、面倒事の予感しかしないのだから・・・!

〇西洋の城
  『CRYSTAL ROSE ~七星の華~』
  豊富なシナリオとエンディング。趣向を凝らしたミニゲーム。爽快感抜群のバトル。鮮やかなグラフィック。
  なにより、魅力的かつ個性豊かなキャラクターたち。
  レディたち以外をも虜にした、据え置きゲーム機専用の恋愛ゲームだ。
  そのボリュームは、アプリだと容量が多すぎるので据え置きソフトになったという噂があるほどである。
  私自身はプレイしなかったものの、実況動画や考察、二次創作を通じてストーリーは把握しており。
  ゆえに確信している──シナリオに巻きこまれたら、絶対面倒なことになる、と。

〇暖炉のある小屋
  貴族は無条件で通うことになるが、実は平民でも試験をパスすれば入学できる。
  学園で教養や知識を学ぶのは平民にとってまたとない機会であり、ステータスであり、なにより役立つ。
  この店の一人娘として、後継ぎとして、両親の提案を断ろうとは思えなかった。
ルエン「いや、一人暮らしかと思うとさすがに緊張してさ」
レミラン「一人暮らしって言ったって寮生活でしょ?ご飯も寮で出るそうだし?」
レミラン「出費が痛いところだけど、それを除けば結構いいんじゃない?」
ルエン「まあ、そうかもね」
ルエン「少しさびしい気もするけど、せっかく受かったんだし行ってくるよ」
レミラン「そう言うと思った アンタなら心配ないだろうけど、気をつけなさいよ」
  ゲームの展開に巻き込まれるのはいやだけど、それも関わらないようにすればいいだけの話だし。
  そんな気持ちで、私は浅はかにも学園への入学を承諾したのだった。

〇黒
  ──一週間後

〇草原の道
ルエン「それじゃ、行ってくる」
レミラン「ま、気張らないで楽しく過ごしなさい!」
クリフト「母さんの言う通りだ。 とりあえずは、お前が楽しく学ぶのが一番だからな」
クリフト「店のこととかは僕たちに任せて、見聞を深めてくるといい」
ルエン「うん──いってきます!」
  よく晴れた日の朝。私は、両親やロプト村の人々に見送られて、王都に向けて出発した。

〇森の中
  王都までは馬車でおよそ五日。途中で別の村や町からの学生も拾いながらの旅程となる。
  送ってくれるのは、学園が用意してくれた護衛の皆さん。
  昔の戦乱期より平和になったとはいえ、魔物も野盗も出る世の中だ。
  残念ながら、現代日本とはちょっと比べられないくらい治安がよくないのである。
  こうした脅威から身を守るための、端的に言うなら戦闘手段の指南もカリキュラムにはあると聞く。
ルエン(冒険とかは勘弁だが、ちょっとワクワク・・・)

〇噴水広場
  ──幸い、五日間トラブルが起きることもなく。
  我々一行は、無事王都エルヴァンに到着したのであった。
ルエン(いろいろと見て回りたいところだが、観光はあとだな)
ルエン(まずは・・・)

〇西洋の城
  荷物を抱えてやってきたのは、エルヴァン王立学園。
  そう、私がこれから通う学校だ。
ルエン(部屋に荷物を置いたら、すぐ教室に行こう。キャラと同じか確認しないと・・・)
  巻き込まれないためにも、まずは自分の立ち位置の確認。
  主人公たちと世代がズレていればそれでよし、同世代でも大人しくしとけば遭遇はなんとか回避できるはずだ。
  さて、そうと決まればさっさと荷物を──
???1「あなた、この私が誰か知ったうえでそんな口をきいているのかしら?」
???2「し、知りませんけど、だからってあんな言葉納得できません!」
ルエン「げえっ・・・!?」
  思わず出た声に慌てて口を塞ぐ。幸い、みんな騒動に気を取られてこちらを気にしてはいないようだ。
ルエン(くそっ、幸先が悪い・・・)
  私の視線の先で、言い争っているのは──
  ──このゲームの主人公と、悪役令嬢だ。
エリーゼ「まあ・・・この私を知らないなんて、あなた、本当に世間知らずなのね」
  悪役令嬢、エリーゼ・フォン・ドロッセル。
  国防の一端を担う大家ドロッセル公爵家の令嬢であり、第二王子の婚約者。
  その第二王子ルートでのライバルだが、ほかのキャラのルートでも暗躍したり嫌がらせをしたり・・・
  公式からも『悪役令嬢』として扱われる、ある意味テンプレ的存在である。
アリア「あ、あなたがどこの誰でも、たとえ貴族だったとしても関係ないじゃないですか!」
アリア「だって、この学園では身分なんて関係ないんでしょう?」
  主人公、アリア。名前はプレイヤーが変えられるのだが、これはデフォルトネームだ。
  王都に店を構えるパン屋の娘で、幼い弟がいる。
  大変な努力家で、この学園にも猛勉強して入学している。
  いかにも主人公らしく、人当たりがよく前向きで親切。しかし、その身に抱えた本人すら知らない厄ネタは多い。
  この二人は入学初日にたまたまぶつかってしまうのだが、エリーゼが貴族主義的な発言をしたことをきっかけに口論に発展。
  アリアは悪い意味で注目されてしまう・・・というのが、ゲームの冒頭だ。
  ちなみに、この学園では確かに表向き身分による区別はされない。
  しかし、預かっているのはほとんどが貴族の跡取りであり、学園としても彼らを教育し庇護する責任は重大だ。
  貴族同士の関係性も絡んでくるし、「学園だからみんな仲良くね」なんて簡単にできるはずもない。
  アリアが考えているほど、この学園で貴族と平民が平等に過ごしているわけではないのだ。
ルエン(さて・・・思わぬ遭遇に慌ててしまったが、別に関わったわけではない)
ルエン(ここは静観で問題ないな。 モブに徹していれば巻き込まれはしないだろう)
ルエン(たぶん、そろそろ・・・)
???「お嬢様、どうかなさいましたか?」
  そう言いながら校舎から現れたのは、濡鴉のような美しい髪をした青年だった。
  それを視認するなり、エリーゼはふんと鼻を鳴らしてアリアに背を向ける。
エリーゼ「なんでもないわ、愚民に言いがかりをつけられただけよ。それより、荷物はきちんと運び入れたのでしょうね?」
クロウ「はい、すべて確認いたしました」
エリーゼ「ならいいわ。 はあ・・・私としたことが、平民ごときに無駄に時間を使ったわね」
アリア「なっ・・・!?」
  さすがにお人好しのアリアといえど、ワナワナと口を震わせる。しかし、それを意に介すことなくエリーゼは校舎に入っていった。
  付き従う青年が咄嗟に頭を下げたのが、またなんとも言えない。
  彼はクロウ。エリーゼの執事であり、隠し攻略対象だ。
  基本的にはエリーゼを諌めつつも彼女の手足となって動くのだが、条件を満たすことで解雇イベントが発生。
  そのままアリアにつくことになるのだが、クロウルートって作中屈指のホラーというか、えげつないルートなんだよな・・・
  なんせヤンデレ化するうえにご主人=アリアを害するものは排除するスタンスだから、元主人とはいえエリーゼがどうなるか・・・
  ・・・うん、お察し、いやお察死である。
ルエン(いや、しかし、なんとか切り抜けられてほんとによかった・・・)
  なんせこのゲーム、大抵どのキャラのルートでも国or世界の危機かアリアの厄ネタ、またはその両方に触れることになるのだ。
  それがまた世界観に深みを与えるというか、おもしろい部分でもあるんだが・・・
  裏を返せば、少し関わり方を間違えればそれを巡る大騒動に巻き込まれかねないということだ。
  慎重に慎重を期して、なるべく目立たないようにしなくては──
  ──まさか、そんな思考がフラグになってるなんて。
  このときの私は、そんなこと考えもしなかったのであった。

次のエピソード:来ないで悪役令嬢

コメント

  • クロウ(名前間違ってたらすみません)ルート気になります…。
    世界線が面白いですね!感想短くてすみません!!(笑)

  • ゲームの主人公(アリア)やライバル(エリーザ)に転生したのではなく、あくまでモブとして騒動に巻き込まれていく展開が面白いと思います。
    また、それぞれの登場人物がゲームの中でどんな役割を持っているのか、さりげなく語られている点が良いと思います。その上で自分(エリン)の立ち位置が分かりやすかったです。
    序章でしたが、続きを読みたくなりました。

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