悩みがアイスに見える自称助手ちゃんとカウンセラーの僕

やたさにし

僕の悩みが少し漏れた(脚本)

悩みがアイスに見える自称助手ちゃんとカウンセラーの僕

やたさにし

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〇開けた交差点
  __数年前
「この前は、急に怒鳴ってごめんなさい。 あの時の俺は、どうかしてた」
「もう一度会いたい。 自分から言って都合がいいことだってわかってるけど、 直接、×××に会って謝りたい」
「明日、いつもの喫茶店で会えないかな? もし無理なら×××の空いてる日に合わせる。 だからお願いします」
「もう一度だけ×××と会う機会をください」
中山優樹「・・・送信っと」
中山優樹「ハァ・・・ ×××はこれを見てくれるかな・・・」
  3日前に喫茶店で、
  俺は些細なことで、×××に怒鳴って
  怒りのあまり、今までの不満や思いも言ってしまった。
  キレていた俺は一人で喫茶店を出て、
  家にまっすぐ帰った。
  帰宅途中、何回も通知音が鳴ったが、
  全部無視した。
  家に帰っても
  ×××のメールを見ずにそのまま一日が経ち、
  冷静になって行動を振り返ると、
  罪悪感で胸がいっぱいになった。
  その後、ひどいことをしたと反省して
  今に至るわけだが・・・
中山優樹(さすがにあの時は言い過ぎたし、 絶対怒ってるよな。 どうしてあんなに非難してしまったのだろう)
  後悔と懺悔がぐるぐると回る。
  良くない思考が延々と繰り返す。
  ×××は悪い癖だとよく注意してきたが、どうも治せそうにない
「ピロンッ!」
  スマホから通知音がなった
「わかった。いいよ。 明日、○時に集合ね」
中山優樹(良かった。 拒否されたら、どうしようかと思った。 これでちゃんと謝れる)
「あの時は本当にごめん。 ありがとう!」
  家に帰った後、俺は、×××に会うために準備をした。
  持ち物も確認して、時計のアラームをかけて明日へと備えた。
  だが、いつまで経っても喫茶店に×××はあらわれることはなかった。
  あの日以来、僕は×××と会話することは二度となかった。

〇学校の屋上
  現在 11月
  氷丘高校の屋上 放課後
中山優樹「風がいつもより冷たい。 今日は特に寒いなぁ」
中山優樹「だけど、 こんな日に食べるアイスも悪くない」
中山優樹「今日発売の新作の イチゴの果肉入りシャーベットは 美味しかったよな」
中山優樹(僕の予想通り×××が好きそうな味だったな。 ×××は向こうでも楽しくやっているのかな?)
  僕の名前は中山優樹。
  職業はこの氷丘学校で
  スクールカウンセラーをしている。
  スクールカウンセラーとは、
  その名の通り学校ついての悩み事や相談事を解決するために助言や支援を行う仕事だ。
  と言っても、ここの学校は悩み事を自分達で解決しようとする方針があるのか、
  僕のところには全く誰も来ない状態だった。
  なので不本意ながら僕は社内ニートだった。
  まぁ、それはそれで満喫はしていたし、
  本当にやることがない状態だったのだが──
「あ!やっぱり屋上にいた!」
  ドアから一人の女子生徒がやってきた。
中山優樹「こんにちは。雪宮さん。 楽しそうでなによりです。」
中山優樹「今日は、寒いから早くここから 立ち去ったほうがいいですよ」
雪宮温美「こんにちは。先生♪ 心配してくださってありがとうございます」
雪宮温美「じゃないですよ!!」
雪宮温美「まーたアイスを食べてるんですか! こんなに寒いのに食べるなんて 先生はどんだけアイスが好きなんですか!」
  ──やかましいコイツのせいで、僕の楽しいノータスク生活が終わってしまった。
  彼女の名前は雪宮温美。
  この学校に通う生徒だ。
  明るく人を惹きつけるその性格から多くの友人を持つムードメーカー。
  そんな頼りになる彼女は、周りの人から相談を受けることがよくある。
  周りから信用されているのはいいことだ。
  だが問題なのは、
  どんなことでもその相談者と共に
  必ず僕のところに来て相談を受けるのだ。
  カウンセラーとしては悩み事には
  全力で相談に乗るし歓迎するが、
  愚痴までこっちに持ってこないでほしい
  そして、彼女は今のようにやたらと
  僕に付きまとってくる。
  理由はわかるが、正直やめてほしい。
中山優樹「僕が寒そうにアイスを食べようが食べまいが僕の勝手でしょう。」
雪宮温美「え、いや、まぁそうなんですけど。 わざわざ寒い場所で食べようとします?普通」
中山優樹「雪宮さんには、 外で食べるアイスの良さがわかりませんよ」
雪宮温美「わざわざ辛い思いをしてまで食べるなんて、 やるどころか、考えもしませんでしたよ」
雪宮温美「教室に冷暖房は完備されてますし、 身体を痛めつけながら食べるより、 落ち着いて食べたほうが味わえますよ?」
中山優樹「そうかもしれないですね。 考えておきます」
雪宮温美「ハァ・・・」
雪宮温美「このやり取り何回目ですか」
中山優樹「今のを含めて17回目ですね」
雪宮温美「言われた回数を覚えてるのなら、 どうして室内で食べないんですか?」
中山優樹(雪宮さんがいつもより不機嫌だ)
中山優樹(これで17回目なのに、 いつにもましてご機嫌斜めだ。)
中山優樹「ん〜・・・ 何かいつもと違うことは・・・」
  僕の視界にアイスクリームが入る
中山優樹(あ、なるほど。そういうことですか)
中山優樹「1つ、いいですか?雪宮さん」
雪宮温美「な、なんですか?」
中山優樹「このアイスクリーム食べます?」
雪宮温美「なんで先生が持っているアイスを渡そうとするんか!」
雪宮温美「それ食べかけですよね!」
中山優樹「ん? これは未開封の新品ですよ」
雪宮温美「え? でも先生は屋上でアイスを食べていたんじゃないですか?」
中山優樹「えぇ、確かに食べましたよ。 これは、2つ目のアイスクリームです。」
中山優樹「雪宮さんは、僕の行動が理解できないから 怒っているのですよね? なら実践してみるといいですよ」
中山優樹「恐れることはありません。 何事もチャレンジです」
中山優樹「雪宮さんも食べれば良さがわかりますよ。 寒い中、堪能するアイスは格別です。 味は先程食べましたし、保証します」
雪宮温美「力説されても食べませんよ。 それよりも、 そんなことはさて置いてですね・・・」
雪宮温美「寒い寒い、と言っておいて2つ目ですか! 先生は頭おかしいんですか?馬鹿ですか? 風邪ひきますよ?」
中山優樹「馬鹿・・・ですか」
中山優樹「もし僕が馬鹿だとしたら 「馬鹿は風邪を引かない」とも言いますし、 心配しなくて大丈夫ですよ」
雪宮温美「先生の場合は、 風邪を引かないというよりは・・・」
中山優樹「『「馬鹿は風邪を引いても気づかない」 方のタイプ』 だと言いたいのですか?」
雪宮温美「私のセリフを取らないでください!」
中山優樹「身体より難しい心のケアするのが 僕の仕事ですし、 身体の調子くらいはわかりますよ」
雪宮温美「それに私は先生の助手として、 先生の健康を気遣っているんですよ」
  彼女は勝手に僕の助手という形で、
  人の相談事を一緒に受けようとしてくる
  普通は、生徒の参加は認められないが、
  相談者を彼女が連れてくるのと
  相談者が彼女の同伴を認めているので、
  強くは言えず、いつの間にか
  勝手に助手と名乗るようになった
中山優樹「そもそも雪宮さんを助手として雇ったことも 認めたこともないですよね?」
  ただ、彼女には1つ問題点があった。
雪宮温美「ハァ〜 いつまでも私を助手と認めないなんて 先生は強情ですね〜」
雪宮温美「それよりも先生」
  雪宮さんが僕に近づいてくる。
中山優樹「なんですか? いくら言われてもアイスを 食べるのはやめませんよ」
雪宮温美「ほんのり漂うイチゴの風味。 甘さ控えめなビターチョコレート。 後味少し残る苦味」
中山優樹「ッ!?」
雪宮温美「これらの感覚から、推定されるのは・・・」
雪宮温美「失恋と後悔。 そして・・・」
雪宮温美「別れの香りがします」
中山優樹「お前、まさか・・・」
雪宮温美「えぇ、やっとあなたの悩みがわかりました」
  雪宮温美には、特殊な能力がある。
  それは相手の心理、悩み事を
  アイスクリームとして認識でき、
  悩みを味わうことができる。
  相手の悩みを詳しく知るほど、
  より繊細に正確に認識することができる
  悩みを詳細に知れば知るほど
  彼女にとって、計算された上品で
  味わい深いものになるらしい。
中山優樹「だから、どうした? わかったところで、君に相談する気はないよ」
雪宮温美「えぇ〜! 先生の悩みは過去1美味しそうなのに〜 それに、相談すれば楽になれますよ?」
  彼女が僕に執着する理由は、これだ。
  彼女はこの世の全ての悩みを
  ただ味わいたいだけの人間なのだ。
  彼女にとって相談とは娯楽と同じだ。
  人の悩みは解決したとき、
  味が最高点に達するらしい。
  悩みを解決するのは、あくまでオマケ。
  自分が楽しむために相談に乗るだけだった。
中山優樹「そういう感じだから 君に相談したくないんですよ」
  そういうところは、×××とは正反対だった。
  相談に乗る様子は×××と似ている。
  正直、彼女を見ていると×××を思い出す。
雪宮温美「匂いも濃くなりましたね。 何か思い出したんですか?」
中山優樹「・・・・・・」
  だから正直、彼女のことがキライだ。
雪宮温美「・・・先生?」
中山優樹「いえ、なんでもありません」
中山優樹(これ以上、しつこいと厄介だ)
中山優樹「ところで、何か用があって 僕を探していたのではないのですか?」
雪宮温美「そうでした! すっかり忘れてました」
雪宮温美「先生! 今、相談したいと訪ねている人がいます。」
中山優樹「・・・その人は今、どこにいるのですか?」
雪宮温美「カウンセラー室で待ってます」
中山優樹「なるほど。わかりました」
中山優樹「雪宮さん。 貴方に1つ注意したいことがあります」
雪宮温美「な、なんですか?」
中山優樹「僕がカウンセラー室にいなかったのも 悪いのは認めますが」
中山優樹「用件も伝えずに屋上で僕とずっと喋って」
中山優樹「相談者をずっと待たせているのは 良くないことだと思いますよ。」
雪宮温美「・・・ごめんなさい」
雪宮温美「待たせている間、相談者が不安になることを忘れていました」
雪宮温美「次からは気をつけます」
中山優樹「そうですね、次から気をつけてください」
雪宮温美「はい・・・」
中山優樹「ですが、」
中山優樹「雪宮さんが自称助手として、 僕を探しに来たことは、 すごく良いことなのは認めます」
中山優樹「伝えてくださってありがとうございます」
雪宮温美「先生!」
中山優樹「では、行きますよ。 相談者をいつまでも待たせるわけには、 いきませんので」
雪宮温美「一緒に来てもいいんですか?」
中山優樹「ここで来るな、と言っても、 どうせついてくるでしょう」
中山優樹「それに雪宮さんの能力は、 相談者に悩みの心残りがあるかどうか わかるではないですか」
中山優樹「相談者に不満が残っていたら、 解決したとは言えませんし、 そういったところでは重宝しますよ」
雪宮温美「それ・・・ ただ能力がほしいだけじゃないですか」
中山優樹「そういう面があるのは認めますよ。 なにせ雪宮さんの能力は珍しいですので」
中山優樹「ですが、それとは別に」
中山優樹「動機はどうであれ、 人助けをしているのは代わりありません」
中山優樹「自身にメリットがあっても、 面倒くさいと人助けをしない人はいますし、 自身の時間を削ってまで助ける人間は そういません」
中山優樹「だから、なんだかんだで人を助ける 雪宮さんに僕は尊敬しますよ」
雪宮温美「先生・・・」
中山優樹「ですので、早く行きますよ いつまでも相談者を待たせるわけには行きません」
雪宮温美「わかりました!先生!」

次のエピソード:味わう前に

コメント

  • 相手の心の状態を色や匂いなどで感知するというのは今までも目にしましたが、アイス(味)として認識してしかもそれを味わうという設定は初めてで、斬新なアイデアだと感心しました。職業柄なのか頭ごなしに相手を否定しない中山さんのソフトな語り口も読んでいて心地良かったです。

  • どんな理由があっても、突然彼氏がぶち切れて、バァーっていろんなこと言われたら、だいぶ引いちゃうかもしれないです!😂
    ちょっと、めんどくさい人なのかなって思っちゃいます😂
    スクールカウンセラーの職業に少し興味があるので、このお話に続きがあったら嬉しいです😌

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