氷魔おスズの旅語り二 百年菊の秘密

ヤミヲミルメ

百年目の墓守り(脚本)

氷魔おスズの旅語り二 百年菊の秘密

ヤミヲミルメ

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〇村の広場
村長「こここそが かつて血に染まった惨劇の現場だよ」
氷魔 おスズ「さすがに百年前となると 痕跡はないのう」
村長「九十九年前だよ 都を恐怖に染めた殺人鬼」
村長「“切り裂きの邪鬼”が この地に逃げ込み」
村長「正義に燃える村人たちによって 私刑に処されたのはね」

〇銀閣寺
村長「お坊様がお墓を建てて 切り裂きの邪鬼を弔ったけど」
村長「お墓はすぐに 荒らされてしまったそうでね」
氷魔 おスズ「連続猟奇殺人鬼なぞ 恨まれて当然じゃからのう」
村長「それに おもしろがられてもいてね」
村長「事件に関係ない見物客が 国中から集まってきたんだよ」
村長「おかげで村は ずいぶんと うるおったそうだよ」

〇けもの道
村長「お坊様は 切り裂きの邪鬼のお墓を」
村長「森の奥の 隠れた場所に建て直して」
村長「それっきりになって 観光客も来なくなってしまったんだ」
村長「そのお墓が最近になって 発見されたんだ」
村長「で、村おこしに利用することになった」
氷魔 おスズ「悪趣味じゃのう」
村長「そりゃあ私だって これが もっと最近の事件なら」
村長「不謹慎だと思うけど」
村長「私らが生まれる前の話だからねえ」

〇岩山の崖
村長「下のほう 見えるかな?」
村長「足もと気をつけてね」

〇滝つぼ
氷魔 おスズ(滝のそばに墓石がある)
氷魔 おスズ(墓石のそばに不自然な形の土の山が・・・)
氷魔 おスズ「土の山が動き出した! ?」

〇岩山の崖
氷魔 おスズ「魔術で動く土人形か!」
村長「百年前のお坊様が どこからか取り寄せて」
村長「お墓を守らせてるんだよ」
村長「あいつをなんとかしないと 観光客がお墓に近寄れないんだ」
氷魔 おスズ「で、わらわを雇って退治させたい、と」
村長「うん。料金は さっき話した通りね」
村長「あいつ、でかいし強そうだけど大丈夫?」
氷魔 おスズ「見た目はどうあれ 土くれは土くれじゃ」
氷魔 おスズ「わらわの魔術なら一撃じゃよ」
氷魔 おスズ「・・・・・・」
  土人形は
  せっせとお墓の手入れをしている
氷魔 おスズ「・・・・・・」
村長「おスズさん」
村長「もしかして土人形のこと倒すの かわいそうになっちゃったりしてない?」
氷魔 おスズ「ば、馬鹿を言うでない!」
氷魔 おスズ「土人形には己の意志も魂もない!」
氷魔 おスズ「命令に従うだけの ただの道具じゃ!」
氷魔 おスズ「一流の氷魔である わらわが ただの道具に情けをかけるなど」
氷魔 おスズ「あるわけなかろう! !」

〇滝つぼ
氷魔 おスズ「おぬしに恨みはないが、依頼でな」
氷魔 おスズ「倒させてもらうぞ」
氷魔 おスズ「いでよ! 氷の矢!」
氷魔 おスズ「なぬ! ? 効いておらぬ! ?」
氷魔 おスズ「ええい! 氷の槍!」
氷魔 おスズ「そんな馬鹿な! ?」
村長「う~ん、おスズさんじゃダメみたいだね」
氷魔 おスズ「こりゃ! 下がっておれ!」
氷魔 おスズ「つぼみ?」
  結局
  依頼は失敗
  依頼料はもらえなかった

〇英国風の図書館
  半年後
氷魔 おスズ「ずっと引っかかっておったものの答えに」
氷魔 おスズ「まさか こんな異国で出逢えるとはのう」
氷魔 おスズ(百年菊、か)
氷魔 おスズ(見慣れぬ花ゆえ この花こそが)
氷魔 おスズ(土人形の硬さの秘訣かと思ったのじゃが)
氷魔 おスズ(これでは・・・むしろ・・・)

〇村の広場
  さらに半年
観光客「ここが あの有名な」
観光客「切り裂きの邪鬼が死んだ場所!」
観光客「今日がちょうど百回目の命日デース」
観光客「これってお祝い?」
観光客「それとも追悼?」
「ただの悪趣味な物見遊山!」
観光客「デース」
観光客「あ! お土産 売ってる!」
観光客「切り裂きの邪鬼まんじゅう か」
観光客「オー! 人の形のケーキの中から」
観光客「真っ赤なベリーソースが あふれ出ていマース!」
村長「まいったなぁ」
村長「土人形問題が解決してないのに」
村長「もうお客さんが来ちゃったよ」
村長「でもまあ、あの土人形は」
村長「こっちから近づきすぎなければ 襲ってこないみたいだし」
村長「大丈夫だよね?」

〇滝つぼ
観光客「ああ! あれが切り裂きの邪鬼のお墓!」
観光客「おお! 本当にあったのか!」
観光客「ワタシも近くで見たいデース!」
村長「ああっ! ダメですよぉ!」
号令務(ごうれむ)「ゴゴゴゴゴゴ」
「ギャーーー!」
氷魔 おスズ「いでよ! 氷の盾!」
氷魔 おスズ「勝負じゃ土人形! 今日こそ倒す!」

〇滝つぼ

〇滝つぼ
氷魔 おスズ(思ったより時間がかかりおる・・・)
氷魔 おスズ(じゃが・・・そろそろ・・・)
氷魔 おスズ「咲いた!」
氷魔 おスズ「今じゃ!」
氷魔 おスズ「さて、村長よ」
氷魔 おスズ「一年前の依頼料と」
氷魔 おスズ「あのあと土人形にかけられた賞金と」
氷魔 おスズ「今回、観光客を助けた礼とを まとめて払ってもらおうかの」

〇村の広場
観光客「さっきの戦い、すごかったですねー!」
観光客「切り裂きの邪鬼まんじゅう とっても おいしいわ!」

〇滝つぼ
  翌朝
氷魔 おスズ(たった一晩で もう枯れてしもうた)
観光客「殺人鬼の墓守りなんかを百年間も ご苦労様デーシター」
観光客「ワタシ、本物の百年菊 初めて見マーシター」
観光客「百年かけて育って」
観光客「百年目に花開くトキに」
観光客「周りの土の中の魔力を ごっそり吸い取る・・・」
観光客「つまり この お花は」
観光客「土人形に取りつけられた 自動停止装置だったのデース!」
観光客「アナタ、戦わなくても土人形が 勝手に止まるの知っていテー」
観光客「止まりそうな頃合いを見計らっテー 勝負を仕かけテー」
観光客「自分の手柄にしましターネ!」
観光客「大丈夫デース」
観光客「アナタの戦い 見ていて おもしろかったのデー」
観光客「ズルしたのはナイショにしマース」
観光客「ワタシ、ただの観光客デースから おもしろいもの見られればいいのデース」
氷魔 おスズ「おもしろい、か・・・」
氷魔 おスズ「では これは おもしろいかの?」
観光客「オー! お墓に文字が 書かれてマースネー」
  あなたの無実を わたしは知っている
観光客「これは・・・」
観光客「お墓を建てた お坊サマが 書いたのデーショカー?」
氷魔 おスズ「わからぬ」
観光客「これが本当だとしたら 真犯人は誰なのデーショカー?」
氷魔 おスズ「わからぬ」
氷魔 おスズ「何せ百年も前の事件じゃ」
氷魔 おスズ「今さら調べても 確かなことなぞ わからぬじゃろう」
観光客「・・・・・・」
観光客「この お墓に眠っていルーノ」
観光客「実はワタシの ご先祖サマなんデースヨー」
観光客「ミンナにはナイショ デースヨー」
村長「あー、お二人とも 先に来てらしたんですね」
村長「えー、昨夜は暗くて よく見えませんでしたが」
村長「こちらが切り裂きの邪鬼のお墓です!」
観光客「お墓に何か書いてあるぞ」
観光客「えー? これ、本当ー?」
観光客「やはりウワサ通り」
観光客「真犯人は役人だ だから なかなか捕まらなかったんだ」
観光客「わたしは犯行の手口から 犯人は肉屋だって説を押してるわ」
村長「実は私のご先祖様も 容疑者の一人だったんですよ」
「すごーい!」
氷魔 おスズ「何を嬉しそうに言うとるか」
氷魔 おスズ「村の者の先祖といえば 切り裂きの邪鬼とされた男を」
氷魔 おスズ「真偽も確かめずに 殺(あや)めたやつらじゃろうに」
氷魔 おスズ「それが本物の 切り裂きの邪鬼かもしれぬとは・・・」
観光客「百年も前の話デースカラーネ」
観光客「もっと早くにお墓の文字を 村の人が見つけていれバー」
観光客「文字は きっと消されてたデーショネー」
観光客「だけど ずっと土人形に 守られていたのデハー」
観光客「せっかく書いた文字を 誰にも見てもらえないデース」
観光客「だから切り裂きの邪鬼の お墓を建てた人ハー」
観光客「トキが流れテー 世の中が変わっテー」
観光客「こうなるの期待して 土人形に百年菊を植えたデースネー」
氷魔 おスズ「切り裂きの邪鬼の墓は今や」
氷魔 おスズ「村の大切な観光資源じゃ」
氷魔 おスズ「これからは村の者が 墓を守ってくれるじゃろう」
氷魔 おスズ「土くれ人形の代わりに、な」
氷魔 おスズ「百年菊・・・」
氷魔 おスズ「土人形の魔力を吸って」
氷魔 おスズ「しっかりと種が育っておるな」

コメント

  • 「氷魔おスズの旅語り二 百年菊の秘密」は、ファンタジー好きにはたまらない冒険譚です。殺人鬼の墓を守る魔法の土人形や、氷魔おスズの魔法など、想像力をかきたてる要素が満載です。また、物語は百年菊という美しい花を通して、人間の欲望や命の尊さを描き出しています。ストーリーはしっかりとまとまっており、読み終わった後には達成感があります。読者を魅了する作品であることは間違いありません。

  • おスズの活躍、もう大好きです!
    昔話・説話にありそうな骨組みを現代的な感覚で編み直したような物語で、懐かしさと目新しさの両方を感じられました。
    ええと、「号令務(ごうれむ)」という名称から、漫画の某男塾の民明書房を連想した私はアカン人でしょうか?

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