第壹譚・肆(脚本)
〇高級マンションの一室
橘旬「・・・・・・阿呆くさ」
手紙を読み終えた俺は、呆れた様に呟いた。
橘旬「大体、死人がノートを持ってくるとか・・・・・・有り得ない。 呪いの次は、幽霊って・・・・・・流石に、設定盛り過ぎだろ ?」
俺は、心底馬鹿にした様な笑みを浮かべる。
手紙を封筒の中に戻して、今度は写真を見ようと手を伸ばした。すると、風が吹いた様に写真が宙を舞う。
すると、風が吹いた様に写真が宙を舞う。だが、窓は開いていない。
だが、窓は開いていない。
橘旬「! ・・・・・・脅かすなよ。隙間風か ?」
そして、床に落ちた写真を取ろうとしゃがみ込む。見ると二人の男女が仲良く並んで写っていた。
恐らく、ブログを書いた男とその妹だろ。ふっと、妙な気配を感じ俺は顔を上げる。
目の前の姿見には、自分とその後ろに立つ青白い男が映っていた。
橘旬「う、うわあぁああ !」
流石の俺も悲鳴を上げる。
振り向く事も鏡から目を背向ける事も出来ず見詰めていると、男と目が合った・・・・・・と思う。
何故なら、本来目がある筈の場所が空洞になっていて血が流れ出していたからだ。俺は目の前の現実が理解出来なかった。
自分は悪い夢でも見ているのか、こんな事・・・・・・・・・・・・こんな存在が居て良い筈がないのだ。
呼吸が上手く出来ない。冷や汗が止まらない。
男の口がゆっくりと動く。だが、声は聞こえない。
橘旬(な、なんなんだ ? なんで、こんな・・・・・・こんな、事 ! ある筈ない、有り得ない。有り得ない、のに・・・・・・)
窓の外からクラクションの音が聞こえる。すると、鏡から男の姿が消えた。
俺は振り返らず、写真を手に立ち上るとそのまま寝室へと駆け込んだ。
橘旬「・・・・・・・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・」
寝室に入ると俺は内側から鍵をかけ、その場に座り込んだ。逸る鼓動を鎮める為に息を整える。
そして、写真を確認した。
橘旬「・・・・・・マジかよ」
そこに写って居る男は、間違い無くさっき見た青白い男だ。幽霊の存在も今まで信じていなかった。
・・・・・・今も信じたくはない。
橘旬「・・・・・・・・・・・・でも、居たよな ?」
白昼夢か幻覚・・・・・・何かの見間違いかもしれない。そうは思っても、さっき見た男の顔が脳裏に焼き付いている。
あれは、間違いなく現実だった。
橘旬「くそっ・・・・・・、あんなメッセージ送るんじゃなかった ! !」
後悔先に立たず。俺は、自分の軽率さを悔いた。
今、一番の問題は・・・・・・リビングに置いたままになっている【呪いの日記帳】だ。
あの手紙の内容が本当なら、読まなければ良い。
だが、其それだとあの男の幽霊はどうなるのだろう。
無念を晴らしてやら無いからって、祟り殺されたりしないよな。