呪いの日記帳

里 惠

第壹譚・伍(脚本)

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〇街中の道路
  俺は、ノートを押し入れの奥へと隠した。なるべく視界に入れたくなかったからだ。
  しかし、朝起きるとノートは必ずリビングにあるテーブルの上に置かれていた。毎晩、誰かが部屋の中を歩き回る音も聞こえる。
  俺の精神は徐々に崩壊していった。精神病院にも行き、処方された薬を飲んだがまるで効果がない。
  神社仏閣にも行ったが、塩を掛けられたり突然念仏を唱えられたりした。
  そんなある日の事、俺は街中で一人の托鉢僧に出会ったんだ。
  彼は俺と目が合うと酷く驚いた顔をして、それから一心不乱にお経を唱え始めた。
橘旬(・・・・・・また、か)
  そう思い俺は元来た道を戻ろうとした・・・・・・すると、托鉢僧は俺に声をかけてきたんだ。
托鉢僧「・・・・・・お待ちなさい」
橘旬「! ・・・・・・なんですか ?」
  俺は訝し気な顔で托鉢僧を見た。
托鉢僧「貴方は、何か恐ろしい呪いに付き纏われていますね。・・・・・・残念ですが、私の力ではどうする事も出来ません」
  予想していた通りの言葉ではあったが、面と向かって言われるとショックは大きかった。だが、彼は言葉を続ける。
托鉢僧「だが、助かる方法がない訳ではありません」
橘旬「! ほ、本当ですか ! ?」
托鉢僧「その呪いの元凶を何処か遠くの山・・・・・・出来れば呪いの【主】に縁のある土地に埋めて来なさい」
托鉢僧「線香を持ち供養をして差し上げるのです。  ・・・・・・後ろの御仁だけならば、私の師が祓って下さる筈です」
  もう手の打ち様が無いと諦めていた俺にとって、それはまるで・・・・・・
  真っ暗闇の中、天からもたらされた細くて脆い蜘蛛の糸・・・・・・・・・・・・正に希望の光だった。

次のエピソード:第壹譚・呪いの誕生

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