エロい彼のストラテジー

金平 旺大

エピソード1(脚本)

エロい彼のストラテジー

金平 旺大

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〇名門の学校
あかね「キャーー やばっ、かっこよすぎて顔が見れないわ」
アイル「何のために正門で待ち伏せしてるのよ。 顔だけでもいいからちゃんと見なさいよ」
あかね「だって、体育祭の応援団やってる時より 爽やかでかっこいいんだもん」
アイル「まったく なんで、そんな男のかっこよさに高三のこの時期まで気付かなかったのか」
あかね「だって私、今まではお父さんみたいな頭のいい人がタイプだったから」
アイル「まあ、いいわ 今日こそ話しかけてきなさいよ。 私も毎日は付き合ってられないわよ」
あかね「ちょ、ちょっと 押さないでよー」

〇学校の校舎
颯斗(はやと)「なあ、聞いたか? 体育祭の優勝賞品の、卒アルの1ページの編集を応援団長と副団長だった俺ら三人に任せてくれるんだってよ」
タクト「聞いた。 俺、短歌書くのが趣味だから それを載せたいな」
イツク「じゃあ、俺、エロイのがいいなぁ」
イツク「みんなにバレない程度の小ささで、 エロい画像を差し込んでおくのとか良くない?」
タクト「俺はごめんだ。 先生が最終チェックするんだろ? 怒られるのが目に見えているよ」
颯斗(はやと)「・・・じゃあ、 バレない程度のエロい短歌を作って提出してみたらどうかな?」
タクト「なんで颯斗が乗り気になってんだよ」
颯斗(はやと)「俺、そういうのに、めちゃめちゃ興味があるんだよ。エロい話とかで盛り上がれるし、」
颯斗(はやと)「俺、女の子の好みも乗りのいい子なんだよ。エロい話でも乗ってきてくれるようなさ」
タクト「わかったよ。 短歌とエロを融合されるんだな? 先生に怒られたら二人のせいにするからな」
イツク「三人は運命共同体だろ 体育祭の前日にそう約束したじゃん 優勝した時の涙は嘘だったのかよ」
タクト「ったく、わかったよ」
颯斗(はやと)「決まりだ。 明日、イツクの放送部の部室で計画を立てよう。それじゃあな」

〇名門の学校
アイル「ゲッ、 イツクのやつ、また黙って放送部を私物化しようとしてる。 ちょっと一言言ってくる」
あかね「待って」
アイル「なによ。 急に引き止めて」
あかね「・・・ちょっとそのままにしてもらえるかな? 颯斗くんと近づくチャンスかもしれない」
アイル「『近づく』って、 あいつら、放送部でエロい・・・短歌? のことを話すだけだよ」
あかね「・・・・・・・・・・」
アイル「えっ、まさか・・・ あんた、そのエロい短歌を取っ掛かりにして颯斗くんと仲良くなろうとしてるの?」
あかね「・・・・・うん」
アイル「ダメだよ あかねはちっともエロくないんだから。 エロい話で乗り良くできないでしょ?」
あかね「うん、だから 短歌だけ作って渡そうかと思って。 お父さんも短歌を趣味で詠んでるから、ちょっと聞いてみるのもアリかなって」
アイル「・・・まあ、 一歩前進かぁ。 放送部に颯斗くんが来たら連絡するから、 自然な感じで遊びにきてね」
あかね「うん、ありがとう」
アイル「あっ、ちょっとぉ もう、あかねは好きになったら視野が狭くなるんだから」
アイル「・・・それにしても意外だったな。 颯斗くんってそんなにエロかったんだ。 日常の会話だけでは判断したらいけないなぁ」

〇綺麗なダイニング
ヒロノブ「おかえり~」
あかね「ただいま」
ヒロノブ「あかねもコーヒー飲むか?」
あかね「・・あ、うん」
ヒロノブ「ドリップするから ちょっと待ってろよ」
あかね「お父さん」
ヒロノブ「ん?」
あかね「お父さんって短歌とか詠んでるじゃない?」
ヒロノブ「あぁ」
あかね「それでエロい短歌とか作ったりするの?」
ヒロノブ「ハァっ」
ヒロノブ「・・何を言い出すんだ」
あかね「あっ、いや違うの 卒業アルバムに、れ、恋愛の短歌を載せることになって、男子がエロい短歌を持ってこい、って言うから」
ヒロノブ「驚かせるなよ 確かに恋愛の短歌はたくさんあるよ。 まあ、その中には文字には出てこないが、 なまめかしい表現のものがあるよ」
あかね「それ、それでいい なまめかしい表現のやつって どんな風に作ればいいの?」
ヒロノブ「・・・その男子ってどんな奴なんだ」
あかね「誰でもいいでしょ」
ヒロノブ「・・・・・いや、興味がある」
あかね「えっ?」
ヒロノブ「お父さん、今は大学の准教授で、教授になるにはもっと論文を書かないといけないんだ」
ヒロノブ「そこでさっきひらめいたんだ。 『晩婚化と若者の考え方について』の論文を書こうとね。それで高校生の考え方が分かれば・・」
ヒロノブ「データが集まって論文を書くのに便利になる。今度その子たちを呼んできなさい。 コーヒーとお茶菓子を用意して待っているから」
あかね「バカじゃない。 そんなことできるわけないでしょ」
ヒロノブ「おい、コーヒーはいらないのか? ・・・まったく。 死んだ母さんにそっくりになってきてるな」
ヒロノブ「フフフ。 家に連れてきていいぞ。 あかねの話し方じゃ、その男子が好きなようだから、俺が彼氏に向いているか判断できる」
ヒロノブ「一石二鳥じゃないか ガハハハハハ」
「お父さん、うるさい」
ヒロノブ「すみませんでした」

〇学校の部室
イツク「先生、どうしてもダメですか」
鈴木「体育祭の前に部室を使っているのを黙認してたんだけど、校長からクレームが来ました。なので部室の利用を禁じます」
イツク「そんなぁ それじゃ、僕たちはどこでエロ・・」
鈴木「・・エロ?」
颯斗(はやと)「いや、なんでもないです ほら、イツク、早く行こ」
鈴木「まったく、もう」

〇学校の廊下
イツク「まったく、あのクソババァ」
颯斗(はやと)「もう諦めるか」
イツク「何言ってんだよ」
颯斗(はやと)「集まるところもないし、 話が筒抜けの教室でエロい話をするのも 気が引けるしなぁ」
あかね「・・あの・・」
颯斗(はやと)「・・君は隣のクラスの・・・・・」
あかね「放送部のアイルの友達の 白井あかねです」
イツク「あぁ、アイルちゃんの友達の・・」
颯斗(はやと)「その、あかねちゃんが何の用?」
あかね「アイルから聞いてます。 卒アルの1ページを編集のために集まる場所を探しているんですよね」
颯斗(はやと)「あぁ、そうだけど・・」
あかね「大学の准教授の父が、 ・・その、エロい短歌に興味を持ってまして、 私の家で良かったら使ってください、と父が言ってました」
イツク「マジで? よくわからんけど、使わせてもらおうぜ」
あかね「はい、どうぞ使ってください」
颯斗(はやと)「ん~、タクトも短歌が書けるのを楽しみにしてたし、一回、この人の家を借りようか。タクトにも連絡しておいて」
イツク「あいよ~」
あかね「ここから五分くらいのところに家はありますので案内します。 颯斗さん、こちらにどうぞ」
イツク「あれ?俺は~」
颯斗(はやと)「タクトを連れてきてくれ。 家の場所はあとで教える」
イツク「なんだよ 俺だけ損してる気がするなぁ」

〇綺麗なダイニング
ヒロノブ「はいはーい コーヒーでも淹れて待ってるねー」
  プープープー
ヒロノブ「ふっふっふ 飛んで火にいる夏の虫 高校生の恋愛の実態をつかんでから、 追い出してやる。 娘とは付き合わせんぞ」
ヒロノブ「・・しかし、三人もいるとは・・ まあ、エロい奴や論文の参考にならない奴は追い出していけばいいだろ」
あかね「お父さん、ただいま」
颯斗(はやと)「お邪魔します」
ヒロノブ「【フッ、 一人目の敵が現れたようだな。 しっかり話を聞かせてもらって、 しっかり追い出してやろうじゃないか】」
ヒロノブ「【楽しみだ】」
ヒロノブ「はーい、いらっしゃい リビングでコーヒーを淹れてるから 早くこっちに来なさい」
颯斗(はやと)「はじめまして 清野颯斗と申します」
ヒロノブ「『君が言う  叡智(エイチ)の道が  違うなら   恐ろしく清い  闇夜の海へ』」
颯斗(はやと)「へっ?」
ヒロノブ「・・・君はこんな短歌を詠みたいと思っているんだろ?」
颯斗(はやと)「・・はい、そうですね」
ヒロノブ「何か困ったときは呼んでくれよ。 じゃあ、 パーティーの始まりだ~」
颯斗(はやと)「よ、よろしくお願いします」

コメント

  • 短歌は俳句より文字数も多くて表現の幅も広いので、実はエロとも相性がいいんですよね。あかねの家でどんな作品が生まれるのか楽しみです。ちなみに私は穂村弘派です。

  • 短歌で交流?対決?ですか…知的でいいですね。
    文学的なエロ短歌が誕生しそうです。
    彼女の父が大学教授というのも楽しそうです。

  • キャッチーなタイトルと導入部から、あかねさんの可愛らしい恋心、そして短歌へと焦点が移っていって楽しいです!
    叡智な現代短歌、楽しみにしています。ちなみに私は枡野浩一さんの作品が好きです

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