はじめての感情と弓道部入部(脚本)
〇高い屋上
・・・パァン!
原田光輝「なんだよ、人がせっかく寝てるのに・・・まったく」
原田光輝「この音は、ここからだと・・・弓道部か。 まったく、迷惑だ ふわぁ・・・ねみぃ」
そこで、俺は見た。
ポニーテールの、女子生徒を。
その女子生徒は、弓道場の射場に立ち、
綺麗なフォームで的(まと)に向かって射った(うった)
その放たれた矢は、的に吸いこまれる様に、真ん中に当たった。
原田光輝「すげぇ・・・」
純粋に、綺麗だと思った。
そのフォームも、女子生徒自身も。
俺は、こんな気持ちになるのは初めてで
これが
一目惚れなんだ。
そう思い、屋上を後にし、弓道場へ向かった
〇道場
──とある高校、弓道場内──
天水瀑「今日も完璧なフォームだな、空 射法八節(しゃほうはっせつ)がよくできてる」
射法八節(しゃほうはっせつ)とは、弓道の作法の1つだ。
8つの動きがある、ということで八節となっている。
水野空「・・・別に 私は、これしかないから」
自分には弓道しかないという空に瀑は
天水瀑「それでも、空は弓道 好きだろ?」
水野空「・・・ん」
天水瀑「なら、それでいいじゃないか」
水野空「瀑がそう、いうなら、そう」
天水瀑「何年見てきてると思ってるんだ? 全く。 空のことは、俺がよく知ってる」
天水瀑(例え誰かが、空の事を否定しても俺は)
天水瀑「俺は、お前の理解者だからな」
水野空「・・・? なんか、言った? 考え事してて、聞こえなかった」
天水瀑「いーや、なんでもないさ」
水野空「・・・変な瀑」
天水瀑「それはないだろ、部長〜」
水野空「そんなことより。 1年が見てる」
そこには、入部したての
1年、春上恋花がこちらを見ていた
春上恋花(こいつら、人前でイチャつきすぎでしょ! 天水センパイは私が口説くんだから、水野部長は邪魔なのよねぇ・・・)
天水瀑「ごめんな、春上。 こいつとは幼なじみでさ」
春上恋花「全然大丈夫ですよぉ〜 わたし、何をすればいいのか聞きたくてぇ」
天水瀑「そうだな、空。 部長から言った方がいいぞ 俺は的を取り付けてくる」
そういって瀑は矢取り(矢を取りに行くこと)と的を取り付けに行った
春上恋花(ちっ!! ターゲットがいなくなっちゃったじゃない こんな女と居たくないんだけど!?)
水野空「じゃ、恋花、ちゃん?でいい?」
春上恋花「はい! わたしも、空センパイでいいですかぁ?」
と上目遣いで空を見る。
水野空(うん。この子・・・可愛い 私が守らないと)
水野空「大丈夫。問題ない じゃ、ゴム弓(ゴムでできた簡単な弓) の後、素引(本物の弓を矢なしで引くこと)ね」
春上恋花「わかりましたぁ!」
春上恋花(めんどくさっ 早く天水センパイ帰ってきてよぉ)
と、恋花がゴム弓を取りに行くと
春上恋花(あらあら〜?)
光輝が弓道部に来ていた。
原田光輝(──いた。 あの人だ)
春上恋花(なかなかのイケメンじゃない! いい事思いついたわ!)
恋花は光輝に話しかけた
春上恋花「あれぇ〜?キミも弓道部入りたいのぉ〜?」
そう。恋花は光輝を入部させ、瀑も共に口説くつもりなのだ。
春上恋花「わたし、春上恋花っていうんだけどぉ」
原田光輝「ちょっと黙ってて!!」
春上恋花「は、はいい!!」
光輝は、恋花を見ることもなく、
空の射を見ていた。
原田光輝(やっぱり、すげぇ。 綺麗だ)
光輝は空に釘付けだった。
そう。後ろの人物にも気づかない程に
天水瀑「おっ、君、弓道に興味があるのかな?」
原田光輝「!!いや・・・そんな訳じゃ」
春上恋花「あのぅ・・・」
天水瀑「春上。 部長から練習メニューは聞いたかい?」
春上恋花「はい! ゴム弓と、素引、ですぅ! 今からしようとしてたらぁ、この人が弓道部に入りたいらしいのでぇ〜」
原田光輝「はっ!?」
原田光輝(一言もそんなこと言ってないし)
天水瀑「やっぱりそうか! 顔見たことないから、1年かな? 春上は知らないのかい?」
春上恋花「うーん・・・わたし、覚えてなくってぇ ごめんなさい、天水センパイ☆」
と可愛こぶる恋花
春上恋花(これで落ちる!!)
天水瀑「ははっ、春上は妹みたいで可愛いな 大丈夫。知らなくても、空がわかるさ」
春上恋花(い、妹ぉ!? チッわたしもまだまだね・・・)
そう恋花がイラついていると
原田光輝「俺は1年スよ 1年の原田光輝」
天水瀑(原田・・・? ここら辺だと有名な道場の苗字だな まぁ、聞くのはよそう)
天水瀑「原田くん。 入部したいみたいだけど 弓は触ったことあるかい?」
原田光輝(あんま目立ちたくねーな。 親父の道場の跡取りなんて知られたらめんどくせぇ)
原田光輝「いや・・・ない、です 触ったこと」
天水瀑「そうか! なら、春上と一緒だな。 弓道は何歳になってもできる武道だ やってみて損じゃないと思うぞ」
天水瀑「な!部長さま」
水野空「・・・ん 呼んだ? それに、1年の原田くん…だっけ どうしたの」
原田光輝「俺のこと、知ってるんスか!?」
驚く光輝。
それもそのはず。
弓道を避けていた光輝にとって、空や瀑の顔など見たことなかったからだ。!?
天水瀑「ああ、自己紹介してなかったね。 俺は2年の天水瀑(あまみずしぶき) 弓道部副部長だ よろしくな」
原田光輝「ッス」
天水瀑「それと・・・ まーた勝手に1年の名簿見たな?空。 先生に怒られるぞ?」
水野空「暇だったから。 ついでに、覚えた」
原田光輝(1年の名簿見ただけで全員覚えてるのか!?)
天水瀑「はぁ・・・ 全く。ウチの部長さまは手がかかる」
頭を抱える瀑。
それを見ぬふりをして、空は
水野空「部長の、水野空(みずのそら) よろしく 新入部員くん」
春上恋花「わーい!恋花、嬉しい~」
原田光輝(はぁ・・・ ま、惚れた人がいるし やってみるか)
光輝は、今まで避けていた弓道部に(強制的に)入部。
それから、空の過去を知ることになるのだった
すごく青春な感じで読んでいてドキドキしました💓
恋花、物語の登場人物としてだったら盛り上がるので読んでいて楽しいけど、現実で、それも自分の周りにいたら、たまったもんじゃないですよね!🤣
最後、黙っといてって言われてたの少しスカッとしました😜
続きがあったら嬉しいです☺️