妖怪の弁護士

尾長イルカ

EP1 妖怪の弁護士は妖怪を救えるのか?(脚本)

妖怪の弁護士

尾長イルカ

今すぐ読む

妖怪の弁護士
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒

〇寂れた雑居ビル
  日々 新たな妖怪が
  奴隷労働で搾取される時代
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「俺は縷縷 怜祇郎 妖怪の弁護士だ」
  妖怪には人権がないので
  ブラック企業で過労死事件が多発
  人権派弁護士ならぬ
  妖怪の権利を守る
  「怪権派弁護士」だ
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「本当は仕事に困っていたのを 妖怪のお陰で荒稼ぎ しかもブルーオーシャン!!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「妖怪を守ろうなんて変人 いねえからな・・・俺以外に」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「世間じゃ怪権派弁護士=怪しい弁護士と バカにする 知るかよ」
  だが決定的な弱点が・・・
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「肝心の妖怪が見えない 会話も聞こえない」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「妖怪をハナから信じてないからだろう」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「仕事は飯の種にすぎない」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「以前は妻が妖怪と話せたので 通訳してくれた だが妻は怖がり出て行った」
極(きわみ)「そこで姪の私が 妖怪の通訳してるの」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「お前は引っ込んでろ 小学生を巻き込みたくない!!」
極(きわみ)「ノンノンノン! 依頼者と話もできない癖に」
極(きわみ)「ホラ来た 人間に化けた妖怪が 叔父ちゃんは それも見えないでしょ?」

〇応接室
妖怪・兄 聡(さとし)「妹が行方不明で 店が怪しい・・・」
妖怪・兄 聡(さとし)「店を訴えたくて」
妖怪・兄 聡(さとし)「僕の言ってること聞こえてます?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「???」
妖怪・兄 聡(さとし)「なぜ笑う? そのサングラス 視線が泳ぐのを 隠すためでは?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「????」
極(きわみ)「叔父は極度の人見知りなの 話は全部バッチリ!!」
極(きわみ)「ガールズバーで働く妹が行方不明 妹さんに変なことさせる店を 訴えたい ですよね!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「勿論聞こえてる 調査しましょう」
妖怪・兄 聡(さとし)「妹は妖怪にしては美人で・・・ 変な男に騙されてないか心配で」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「ハハハハ」
妖怪・兄 聡(さとし)「僕はこっちですけど なぜ壁の方を向いてるんですか?」
極(きわみ)「ふ 風水に凝ってって💦 縁起の良い方角から調査始めたいの!」

〇シックなバー
  ガールズバーを調査した
極(きわみ)「うわわ 人に化けてる」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「俺には無人のカウンターしか見えない」
  極は 正体も見えるらしい
河童「いらっしゃい」
垢なめ「いい男」
極(きわみ)「コワ!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「だから来るなと」
極(きわみ)「極いないと 何も聞けないでしょ」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「人間のボーイに訊けば済む」
ボーイ「妖怪は見えないんで 何も知りません」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「・・・」
ボーイ「見える人は セクハラしまくりですね 美人でも中身は妖怪 訴えられないから」
ボーイ「ホテルに連れ込む強者もいます スケベは不気味に勝る」
レイ「オジさんも遊ぶ?」
極(きわみ)「・・・」
  極には こう見えていた
河童「優しくしてね ウッフン~💛」
  俺の方は何も気づかない
河童「壁ばかり見てるゾ コイツ見えてねーな!」

〇入り組んだ路地裏
  店を出た所で 話しかけられた
  極が通訳した
ミサト「愛ちゃんの件でしょ? お兄さんと お金貯めてたものね」
極(きわみ)「貯めてどうするの?」
ミサト「ご両親のお墓を立てたいって 人間に退治されたらしいの」
ミサト「妖怪だからって 5千年も住み着いてたのに ヒドイって泣いてた」
ミサト「愛ちゃんは優しい子で お兄さんを心配してたよ」
極(きわみ)「兄を心配してた?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「何の心配だ?」
ミサト「お兄さんは工場で過剰労働 体が壊れちゃうって・・・」
ミサト「安い労働力として こき使われてるの 労働基準法とかないからね 妖怪には・・・」
小豆洗い「人手不足 人手不足って 賃金あげる気ないのよ 人間様は どっちがバケモノだか・・・」
小豆洗い「アア! 小豆だけ洗ってたかったよ」
小豆洗い「でも愛ちゃんは人間を信じてた お兄さんと違ってね」
極(きわみ)「兄は人間を信じてない?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「なのに俺に依頼した 余程のことだな・・・」

〇応接室
  極が居ないと話が進まない
  小学生はダメと叱ったら
  閉じこもった
妖怪・兄 聡(さとし)「話聞こえてる? そもそも見えてます?」
妖怪・兄 聡(さとし)「なぜ入口にずっと立ってるの? 僕はとっくにソファーですよ」
妖怪・兄 聡(さとし)「ブザーを鳴らさなければ 来訪も気づかなかったのでは?」
妖怪・兄 聡(さとし)「妖怪が見える人間は半分だ 霊感が強く 正体まで見える人間は 1割しかいない」
妖怪・兄 聡(さとし)「見えないのに「妖怪の弁護士」なんて ペテン師め」
妖怪・兄 聡(さとし)「人間を信じたのがバカだった」
  その時 膨れっ面で奥の部屋から出てきた
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「早く訳せ」
  アッカンベーをした
妖怪・兄 聡(さとし)「君は1割の方だね 君が協力してくれるなら助かる」
極(きわみ)「ごめんね~ 小学生だからダメだって~」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「ダメなことないさ」
極(きわみ)「アレレ? じゃあ極が参加していいの~?」
極(きわみ)「小学生がガールズバーや 大人の世界を覗いてもいいの~?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「そ それは・・・」
妖怪・兄 聡(さとし)「君がいるなら このまま頼もうかな?」
極(きわみ)「アララ 他の弁護士探すって!! お兄さんが出て行っちゃうよ~」
妖怪・兄 聡(さとし)「え? まだ出て行かないけど?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「他を探す? 本当にそんなこと言ったのか?」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「仕方ない 今回だけ特例だ」
極(きわみ)「口約束はイヤ  助手として雇うって 契約書を書いて」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「うううう・・・」
妖怪・兄 聡(さとし)「お嬢ちゃん  僕を使って駆け引きしてない?」
極(きわみ)「さよなら~ 妖怪のお兄さ~ん ごめんなさいね~」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「誓約書でも契約書でも 何でも書くよ!!」
極(きわみ)「まいどあり~」
妖怪・兄 聡(さとし)「人間は子供でもペテン師なんだな」

〇見晴らしのいい公園
  極の協力もあり 妖怪の妹と連絡がついた
  兄弟を引き合わせる
  店を訴えるのは止め
  和解になるハズだった・・・
妖怪・兄 聡(さとし)「駆け落ち?」
妖怪・妹 愛(あい)「いい人なの 私のこと綺麗だ 綺麗だって!!」
妖怪・兄 聡(さとし)「お前は騙されてる いい人間なんていない」
妖怪・妹 愛(あい)「いるの! IT社長でお金持ち お兄ちゃんも キツい仕事辞めていいよ」
妖怪・兄 聡(さとし)「キツくないさ」
妖怪・妹 愛(あい)「嘘 奴隷労働で過労死するよ」
妖怪・兄 聡(さとし)「お前こそ騙されてる 人間を信じるな」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「妹のあとをつけるんだ」
極(きわみ)「さすが元探偵 さすが怪しい弁護士」

〇シックなカフェ
  店で知り合ったという男を突き止めた
極(きわみ)「仲良くしゃべってるよ」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「男は人間だな 俺にも見えるから だったら調査は簡単だ」

〇黒
  男のアジトを突き止めた
  男は保険金詐欺を仕掛けていた

〇古い畳部屋
詐欺師「アイツ見た目は人間だから大丈夫だ」
子分「妖怪女に保険金かけて殺すなんて アコギだね~兄貴」
詐欺師「バレなきゃガッポリ バレても捕まらねぇ 妖怪一匹殺してもな」
子分「むしろ退治したって☆△■ガー」
詐欺師「§ΔΣΨ☆」

〇古いアパート
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「仕掛けた盗聴器が壊れた!」
極(きわみ)「任せて! 新しいの仕掛けてくる」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「よせ 行くな」

〇古い畳部屋
極(きわみ)「恵まれない子供に愛の手を」
子分「募金か?」
詐欺師「変だな ここは空き家のアパートだが? だからアジトに使ってるんだ」
子分「震えて ペン落としたぞ」
詐欺師「まて!  以前同じ物  アキバで買ったぜ・・・盗聴器だ」
極(きわみ)「ただのペンよ  部屋に仕掛けようなんて 思ってないから・・・」
詐欺師「子供ってのは正直だな ハハハ」
子分「何が?」
詐欺師「解らないのか! ったく いいから捕まえろ」

〇ボロい倉庫の中
  男たちに呼び出された
詐欺師「弁護士だって? ガキを返して欲しければ 調査はやめろ」
極(きわみ)「クスンクスン」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「すぐ助けてやる」
妖怪・兄 聡(さとし)「その子を離せ」
妖怪・妹 愛(あい)「やめて」
詐欺師「なぜ愛が?」
子分「いやぁ つい・・・」
詐欺師「愛に漏らしたのか? バカ」
妖怪・兄 聡(さとし)「解っただろ? アイツは悪党だ」
妖怪・妹 愛(あい)「何か理由が・・・そうよね?」
妖怪・兄 聡(さとし)「お前は本当に・・・」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「何が起きてる?」
極(きわみ)「愛ちゃん コイツは保険金掛けて あなたを殺そうとしてたのよ!!」
極(きわみ)「叔父ちゃん 妖怪の兄妹が来てるの!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「ホントに? そうだ 保険金詐欺なんだ!!」
極(きわみ)「もう どっち向いて話してるのよ!」
妖怪・妹 愛(あい)「そんな・・・」
妖怪・兄 聡(さとし)「畜生 許さん」
ぬらりぼ「ウオオオオ」
極(きわみ)「強い!!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「何だ? 何が起こってる?」
  子分は倒され 主犯は逃げた

〇街中の交番
詐欺師「助けてくれ」
警官「どうしました?」
詐欺師「バケモンだ」
警官「妖怪」
妖怪・妹 愛(あい)「やめて 撃たないで」
妖怪・妹 愛(あい)「お兄ちゃん・・・」
警官「妖怪だ 殺しても構わん」
妖怪・妹 愛(あい)「やめてよ やめて」
妖怪・妹 愛(あい)「もう とっくに死んでるのに まだ撃つの なんで」
  兄の死体にすがりつき泣き叫んでいる?
  見えなくても感じる
詐欺師「この女も人間の姿をしてるが 中身は妖怪だゾ!!」
警官「よし 退治してやる」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「おい 警官だろ!!」
妖怪・妹 愛(あい)「私が人間を信じたばかりに」
妖怪・妹 愛(あい)「ゴメンね お兄ちゃん」
妖怪・妹 愛(あい)「許さない 絶対に許さない」
警官「ウルサイ 死ね!!」
  俺は警官を投げ飛ばした
極(きわみ)「叔父ちゃん! 愛ちゃんのこと見えないのに・・・」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「見えなくったって 悲しみは伝わるさ」
  俺は男を捕まえた
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「妹は?」
極(きわみ)「消えちゃった」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「・・・・・・」
  本当は 悲しみ以上に憎しみを感じた

〇黒
  しばらくして
  妙な都市伝説が流れた

〇住宅地の坂道
男「夜中に何してるの? お姉さん」
愛「私 きれい?」
男「マスクしてても綺麗だよ」
愛「本当にきれい?」
男「カワイイよ 好みのタイプだ」
愛「また騙す気だね」
口裂け女「お前達は いつでも騙すんだ お前達こそ妖怪だよ」

〇寂れた雑居ビル
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「お前を巻き込みたくなかった」
極(きわみ)「大人の世界? 平気だよ」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)「いや 人間の醜さを見せたくなかったんだ」
極(きわみ)「・・・」
極(きわみ)「これ口裂け女だって 恐いね!」
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)(俺は妖怪の弁護士だ)
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)(しかし俺は 彼らを救っているのか?)
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)(むしろ恐ろしい妖怪を 生み出しているのではないか!?)
縷縷 怜祇郎(るる れいしろう)(果たして・・・)

コメント

  • 設定が面白いです!!
    愛が口裂け女に繋がるなんて思いもよらなかった展開ですが、凄く説得力ありました!!
    こういうの好きなので、引き続き読ませていただきます♪

  • 世界設定が面白いです!妖怪が町中に出て働いている!見える人が一定以上いることで成り立つ世界ですね!見えない人には働いてることも解らない💦
    妖怪も人間より強いものも居るので、抑圧し過ぎるとしっぺ返しくるのは当たり前なのに。
    極ちゃんとの会話もとてもおもしろかったです!

  • 「妖怪とは権利を踏みにじられた最下層の人たちのメタファー」とのことですが、だとすれば妖怪が見える人間が半分で正体まで見えるのは一割という設定は、最下層を見て見ぬ振りの現代社会の残酷さを的確に表現していて感心するやら切ないやら。妖怪の見えない怜祇郎が放った「見えなくても悲しみは伝わる」というセリフには重みがありますね。

コメントをもっと見る(7件)

ページTOPへ