第1話 保護者参観に行こう!(脚本)
〇地球
──この世界には
家族の数だけ家族の形がある。
〇オフィスのフロア
末厄牛耳「グハハハ! どこに不正の証拠があるというのだね!」
モブ主人公「クッ!いつか貴様の不正を暴いてやる!」
末厄牛耳「やれるものならやってみろ」
末厄牛耳「それじゃあ私は部下の金で 牛丼でも食べにいくかな!ガハハ!」
社会派ドラマ系ラスボス!
権力の王!末厄家父、末厄牛耳!
〇格闘技リング
末厄唯我「雑魚に用はありません 私の前に立っていいのは強者だけです」
末厄唯我「この大会もレベルが落ちたものね」
モブ主人公「あんなこと言って・・・!」
モブ主人公「いつかあなたを倒してみせます!」
スポーツ根性漫画系ラスボス!
絶対強者!末厄家長女、末厄唯我!
〇高い屋上
モブ主人公「クソ!また犯人は捕まえたけど 黒幕は取り逃がしてしまった!」
モブ主人公「いったい誰なんだ! シュークリームの生クリームを 全てカスタードに変えてしまう奴は・・・」
末厄裏切「まあそんなに落ち込むなって」
末厄裏切「黒幕はいったい誰なんやろうなあ」
末厄裏切(まあ俺なんやけど!)
ミステリーサスペンス系ラスボス!
まさかの裏切り者!末厄家長男、末厄裏切!
〇おしゃれなキッチン
末厄魔央「今日も良い日だわ〜」
魔王手下「魔王さま、大変です また魔法少女めが!」
末厄魔央「分かった、すぐ行く」
〇雲の上
モブ主人公「今度こそあなたを倒します!」
末厄魔央「フハハハ!かかってくるがいい、小娘!」
アクションアニメ系ラスボス!
お前の物は俺の物!末厄家母、末厄魔央!
〇地球
そんな愉快な末厄家4人家族
だが、彼らも最近悩みを抱えていた!
〇明るいリビング
それは最近になって
祖父から養子を押しつけられたことである!
名前は英雄・・・やべっ、紹介文違うわ
いったいどんなラスボスなんだ!?
素性不明!末厄家末子、末厄英雄!
とまあ、こんな感じで
末厄唯我「ナレーション! 台詞間違えるんじゃないわよ、邪魔!」
えっ、いや、その、でも
末厄裏切「でももしかもないわ いいから引っ込んどき」
えっ、あっ、はい。お疲れさんした・・・
末厄魔央「でも、お義父様から預けられたあの子、 謎が多いわ」
末厄魔央「養子とはいえ、ウチに来たということは ラスボスなんでしょうけど・・・」
末厄牛耳「ならば確かめに行くしかないな」
〇地球
末厄牛耳「保護者参観に!!」
〇田舎の学校
末厄魔央「というわけで英雄の学校に来たわ!」
末厄牛耳「なにも全員で来る必要はなかったのでは」
末厄唯我「そうよ! みんな学校とか会社とかどうしたの!」
末厄唯我「ちなみに私は優等生だから 1日ぐらい休んでも問題ないわ」
末厄裏切「替え玉を用意しとる。抜かりはないわ」
末厄魔央「手下に押しつけ・・・ いいえ、昨日のうちに家事を終わらせたの」
末厄牛耳「部下に押し付けた!!」
末厄裏切(さすが父さん母さん 身震いするほどの悪のラスボスやわぁ)
末厄唯我「シッ!来たわよ!」
末厄英雄「わーい!休み時間だ!」
末厄英雄「それじゃあ今日はみんなで外で遊ぼうか!」
クラスメイトたち「はい!英雄くん!!」
末厄牛耳「バカな!? 転校して数日でクラスを掌握してるだと!?」
末厄牛耳「なんというカリスマ・・・!!」
クラスメイト「おい、英雄!今日こそお前に勝つ! 俺と勝負しろ!」
末厄英雄「いいよー じゃあすぐにできそうなジャンケンね」
クラスメイト「ヨシ!その勝負、乗ったぁ!!」
末厄英雄「ああ、それと・・・」
末厄英雄「僕はパーを出すことを最初に宣言しておこう」
クラスメイト「なにー!?勝負を捨てたのか!?」
末厄英雄「じゃあ行くよ 最初は──」
クラスメイト「グー!!」
末厄英雄「パー」
クラスメイト「なっ、なんだってー!?」
末厄英雄「僕は宣言通りパーを出しただけだよ」
末厄英雄「『最初は』 という掛け声に騙された方が悪いのさ」
末厄裏切「平気でルールを破りおった!」
末厄裏切「俺には分かる。英雄は駆け引きの天才・・・」
クラスメイト「クソ!俺は英雄に勝てないのかよ!」
末厄英雄「諦めないで。君はとっても強い」
末厄英雄「いつかきっと僕を倒してくれるって信じてる」
クラスメイト「・・・今度は絶対勝つんだからな!」
末厄唯我「負けたライバルを励ます姿勢、とても良い!」
末厄唯我「ラスボスは切磋琢磨できる ライバルがいてこそよね・・・」
クラスメイト「あわわわ!転んじゃう〜!」
末厄英雄「・・・」
クラスメイト「あれー?転ばなかったー?不思議ー!」
末厄英雄「ホッ・・・」
末厄魔央「まさか超能力が使えるなんて!」
末厄魔央「しかも優しい・・・良い子ね、英雄」
末厄唯我「これでもう確定したわね」
末厄裏切「これだけの才能を見せられたら納得ですわ」
末厄牛耳「英雄はラスボスではない」
末厄魔央「まだ開花していないラスボス、つまり──」
〇地球
末厄家「英雄はラスボスの卵!!」
〇明るいリビング
末厄牛耳「・・・」
末厄牛耳「それでは第53回末厄家家族会議を行う!」
末厄英雄「ど、どうしたの?みんな? そんな怖い顔しないで」
末厄牛耳「突然だが、英雄・・・」
末厄牛耳「権力に興味はないかぁ〜?」
末厄牛耳「権力とカリスマ性で愚民どもを支配しよう」
末厄牛耳「きっと楽しいぞ〜」
末厄英雄「えっ、ハハハ。そうかな・・・?」
末厄裏切「あーもーダメやダメ! 父さんは古臭いんや!」
末厄牛耳「ふるくさっ!?」
末厄裏切「それより英雄〜! 今のトレンドは裏から人を操ることやで!」
末厄裏切「他人を裏切って騙して、笑っていこうや」
末厄裏切「駆け引きが上手い英雄ならできるって、 兄ちゃん信じてるで!」
末厄英雄「ハハハ。なんの話?」
末厄唯我「黙ってろ根暗!」
末厄裏切「ねくっ!?」
末厄唯我「あんな陰気臭いの放っておいて、 姉さんの言うことを聞いて」
末厄唯我「英雄はいますぐライバルを育成すべきよ」
末厄唯我「あなたの才能は凄いわ でもきっといつか孤独になる」
末厄唯我「そういう時の為に自分の高みまで 来れるライバルを作っておくの!」
末厄唯我「時には罵倒、そして時には罵倒することで 競争心を煽るのよ!」
末厄英雄「友達を馬鹿にするのはいけないよ・・・?」
末厄裏切「せやせや!英雄その通りや!」
末厄裏切「やっぱり英雄は黒幕系ラスボスに!」
末厄牛耳「いやいや社会派ラスボスに!」
末厄唯我「いえ、ライバル系ラスボスよ!」
末厄英雄「みんなの顔がこわい」
末厄魔央「そうよね あんな話は物騒で怖いわよね」
末厄魔央「ところで英雄、世界征服って興味ない?」
三人「あなたが一番物騒なのでは・・・」
末厄英雄「どうやらみんなは僕をラスボス? にしようと思ってるみたいだけど」
末厄英雄「僕はそういうのにはならないよ」
末厄牛耳「なんだって!?」
末厄英雄「僕は・・・」
末厄英雄「強い力で好き放題する人をやっつけたり、」
末厄英雄「友達を裏切って楽しんでる人を成敗したり、」
末厄英雄「才能に驕ってる人を倒したり、」
末厄英雄「世界征服を企む悪魔を阻止したり、」
末厄英雄「そういう主人公に僕はなりたいんだ!」
末厄牛耳「ムムム・・・」
末厄魔央「まさか英雄がラスボスじゃなく、」
末厄裏切「主人公志望やったとは」
末厄唯我「でもでもでもでも〜」
〇地球
末厄家「ラスボスを倒すのが 家族っていうのもいいな〜!!」
末厄家「う〜ん!悩ましい〜!!」
こうして末厄家は今日もてんやわんや
果たして英雄はどんな風になってしまうのか
頑張れ英雄!頑張れ末厄家!!
・・・
あー!良かった〜。ナレをクビにならなくて
今日は定時で帰っていい?
やったー!お疲れさんした〜
続く・・・?
家族全員がラスボス。
もうこの一文だけでも面白いのに、家族全員キャラが濃いことといったら!紹介が出るたびに吹き出しちゃいました。
対峙するのが各主人公タイプというのもいいですね。それぞれが主人公とどんな戦いを繰り広げているのか、もっと知りたい!
そして英雄くんの眩しさにも惹かれました。
これには家族こぞって夢中になるのも頷けます。ある意味既に最強の主人公……なのかも?
冒頭の家族紹介から笑ってしまいました。
人間の成長には環境的要因が大きいですから、英雄くんはこの家族からどのような影響を受けるのか、将来が楽しみですね!
滅茶苦茶喋るナレーションとか藤原啓治かよ?