第一話「復讐」(脚本)
〇体育館の舞台
楠木良太「フェアプレイで正々堂々と勝つ・・・」
楠木良太「そんな甘い考えで 生き残れると思ってんのかよ」
貫地谷進「あ、あ、あぁ・・・」
楠木良太「アハハ! 引き攣ったいい顔だなぁ」
貫地谷進「や、やめろ! 来るな・・・!」
貫地谷進「こんなの・・・おかしい! バスケで負けただけで、なんでこんな──」
兵士1「撃てぇぇぇ!!!」
貫地谷進「やめろ・・・助けて・・・輝ちゃん!!!」
〇流れる血
『教育再生プログラム―天才の復讐―』
〇大きな木のある校舎
─数か月後─
〇教室
伊良部輝明「伊良部輝明(いらぶてるあき)です。 みなさん、よろしくお願いします」
生徒A「はーい。質問です」
生徒A「輝明君はうちらみたいなバカ校に来る前は どこにいたんですか?」
生徒B「おい、バカ校言うなし」
生徒A「だってあの子、見るからに エリート感あるっしょ?」
生徒A「うちらとは違う世界の人間って感じ?」
伊良部輝明「どこにいたかは言えません。ただ自分が エリートだと思ったことはありません」
生徒A「はあ?」
伊良部輝明「俺の席、あそこの空席ですよね? 失礼します」
楠木良太「何突っ立ってんだよ。転校生」
伊良部輝明「お前が・・・ 楠木良太(くすのきりょうた)か」
楠木良太「あぁ?」
伊良部輝明「もうすぐ・・・今に見てろ」
〇学園内のベンチ
輝明が周囲をくまなく観察して、
メモを取っている。
伊良部輝明「なるほど・・・ 中庭は思ったより広いんだな」
久保桃子「あんた根暗なの? 趣味は? 好きな音楽のジャンルは何?」
伊良部輝明「誰だ?」
久保桃子「私は久保桃子(くぼももこ) あんたと同じクラス」
久保桃子「趣味は音楽。 好きなジャンルはロック」
伊良部輝明「すまない。転校したばかりで」
久保桃子「勘違いしないでね。声をかけたのは友達がいなそうなあんたに対する同情じゃない。ただの興味だから」
久保桃子「こっち来て早々、校内で迷子になってるかと思ったら、学校施設のこと嗅ぎまわってるでしょ? なんで?」
伊良部輝明「・・・・・・」
久保桃子「あ! 建物ヲタク? それとも測量マニアとか?」
伊良部輝明「そんなわけあるか・・・!」
久保桃子「顔は結構イケメンだと思ったけど、 ただの変人かなぁ・・・ま、いっか」
〇学校の屋上
〇体育館の舞台
〇学校の屋上
伊良部輝明「進は、運動神経が良かったんだ。 楠木にこんなラフプレイばかりやられ なければ試合に負けることはなかった」
小沼雄一郎「あー、それSNSでバズってたやつでしょ? その後、結構グロいシーンあるけど、 絶対作りもんだよねー」
伊良部輝明「お前は確か同じクラスにいた──」
小沼雄一郎「そ、小沼雄一郎(おぬまゆういちろう)。 伊良部君も屋上が好きだったなんて 意外だな」
小沼雄一郎「あ、僕は好きっていうか、ここだと いじめっ子たちに見つかりにくいって だけなんだけどね。あはは」
伊良部輝明「・・・この動画は、 作りもんなんかじゃない」
小沼雄一郎「え? なんで? 証拠は?」
伊良部輝明「ここに映っている奴は、俺の親友だ」
小沼雄一郎「うそ・・・マジ?」
〇屋上の入口
伊良部輝明「進・・・もうすぐだ。 俺、必ず進の仇を討つから」
〇教室
教師「────」
「わああああーーー」
小沼雄一郎「ねえ! 校庭見てよ。あれ何・・・!?」
〇大きな木のある校舎
武装した兵士たちが
何十人と学校に入って来る。
〇教室
伊良部輝明「とうとう来たか・・・」
教師「私の授業はこれで終わります。 皆さん、あとは頑張ってください」
サクマ「星が先高校、2年D組の皆さん。 ごきげんよう。サクマです」
生徒B「はあ? なんなの? おっさんたち」
サクマ「学のない皆さんでも 聞いたことあるでしょう」
サクマ「政府が推進している 教育再生プログラムです」
サクマ「今回はこのクラスがモニタークラスに なりました。おめでとう」
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